ミスの早期発見、対応にはリードタイムの短縮が必要と認識した労使。足場固めを進めてきた中で浮上した課題とは?
適正な人員配置は一律ではない
最後は、2-3月の労使協で打ち出した、「職場を健全化するため、能率・生産性などの指標による管理を1年間凍結」後の変化と課題について。
ポジティブな変化としては、コミュニケーション意識の向上に加えて、特に品質面に対して、メンバーの振り返りや、仕組みづくりの意見出しに時間を使えていること。ベテランと若手や応援者がペアになって、改善や作業訓練を実施する時間が生まれ、定着のため丁寧な指導ができるようになってきたことが紹介された。
しかし、適正な正社員比率、受援率になっていない職場では、本来育成や作業指導にあたるはずのチームリーダーもラインに入ってしまっているという。
凍結を提案した生産本部の伊村隆博本部長は、現場を見て回り、実態把握に努める中で見えてきたことについて語った。
伊村本部長
組合と今の環境に合わせた、我々の適正な人員配置、職場の体制は、どういうものか? ということをよく議論しています。これまで組立ショップ(工程)はチームリーダー1人に対して(部下が)5人か4人という構成だったと思うんですが、職場によって受援率が高くなれば、そういった体制でも運営が厳しいということも聞いています。その職場に合った人員配置にしなければ、上手くいかないと思っています。
私からのお願いでもありますが、「この組、部署は何人が適正ですか?」という話を、もっと具体的に詰めていきたい。その上で「人材育成も改善もでき、コミュニケーションもできる職場にするためには、どういう体制が必要か?」ということ(を話し合いたい)。
皆の健全な状態を見て、異常を管理するためには、どうするか議論を進めていきたいと思っています。
労使共通の基盤の強化に近道なし
認証事案の受け止めに始まり、足場固めの進捗・課題共有を行った労使。最後に鬼頭圭介委員長と佐藤社長が総括した。
鬼頭委員長
本日議論させていただいた内容は、すぐに解決できるものばかりではなく、まだまだ道半ばのものが多くあります。けれども「10年先の働き方を今つくっていこう」と佐藤社長が本年の労使協で話された言葉に、多くの組合員は勇気をいただき、少しずつではありますが、各職場で本音の会話ができるようになってきています。
そうした結果、いきいきと働ける環境が少しずつ増えてきているということを実感しています。
一方で、労使が膝詰めで話し合いをするほど、本音で会話をすることが本当に難しいことだと改めて痛感しています。
組合が声を上げづらい状態の職場では、そもそも「どうせ言っても変わらないだろう」という雰囲気がまん延していて、声を拾うこと自体にも大変な苦労をしています。仮に声が拾えたとしても、普段のコミュニケーションが上手くいっていない職場では、一見するとわがままのような意見ばかり出てきてしまう状況にあります。
各職場、また各階層の上司、部下の関係において、共通の基盤に立ってどれだけ会話ができているのかについては、残念ながら双方の態度にまだばらつきがあるのが実態ではないかと思っています。
組合としては、まず丁寧に声を拾う。そしてその裏にある課題をあぶり出し、話し合って、アクションにつなげていくことにこだわって、今後も活動していきたい。
こうしたプロセスを回して、あらゆる職場で徹底した話し合いを重ねること以外に、共通の基盤を強化していく近道はないと感じています。ぜひマネジメントの皆さんにも、この点にご理解をいただき、あらゆる職場で話し合いを前進させていきたいと考えています。