認証事案の再発防止策や足場固めに動くトヨタ。その中で開催された労使懇談会。労使が抱く課題はどこにあるのか?
労使懇談会(労使懇)が7日、愛知県豊田市のトヨタ本社であった。
プリウスなどのリコールや株主総会、型式指定に関する認証事案とそれに伴う是正命令、そして2025年3月期第1四半期決算――。3月の労使協議会(労使協)の回答日以降も、さまざまな動きがあったトヨタ。
労使はこれまで、挑戦のための余力創出と足場固めに本気で取り組む姿勢を打ち出し、人への投資を浸透させるべく、各職場だけにとどまらず、仕入先や販売店とも議論を重ねてきた。
労使協から約半年、話し合いの中で見えてきた課題をどう受け止め、どう解決しようとしているのか。
トヨタイムズでは今回の労使懇を、主に経営陣が認証事案について語った前半と、足場固めを進めるために労使で話し合った後半に分けて紹介する。
労使懇から2日後、再発防止策を提出
まずは認証事案をめぐる、これまでのトヨタの動きをおさらいしたい。
トヨタは6月3日、2014年以降に生産された7車種6事案(生産終了となった車種も含む)で、国が定めた基準とは異なる方法で試験を実施していたと発表した。これを受け、国交省は4日から立入検査を実施。
7月5日、トヨタは過去10年分の国内向けモデルの認証プロセスについて調査を完了し、新たな事案は確認されなかった旨を国交省に報告。ところが国交省の調査により、新たに7車種8事案で規定の手順に沿っていないことが確認された。
国交省は同月31日、道路運送車両法に基づきトヨタに初の是正命令を発出。1カ月以内に再発防止策を、その後四半期ごとに実施状況を報告するよう求めた。
8月9日、トヨタは国交省に再発防止策を提出。対策として「経営陣による定期的な認証現場巡視を行い、現場と本音の対話を行う場を設定」、「認証関連組織への人的・物的リソース充当」、「認証業務規程作成の統一ルールを制定し、規程間の齟齬や現場判断での委任を防止」などが挙げられている。佐藤恒治社長は是正命令が出された7月31日と、再発防止策を提出した8月9日に従業員に向けてレターを出し、現場と経営が一緒になって正しい職場環境をつくっていけるよう呼びかけた。
その再発防止策提出の2日前に開かれた労使懇。鬼頭圭介委員長は、是正命令に対して「会社として今後どのように取り組みを進めていくのか」と問い、佐藤社長が応えた。