コラム
2025.02.13
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"超"大型新人ドライバー!? 小林可夢偉選手がラリーデビュー

2025.02.13

"超"大型新人ドライバー、小林可夢偉選手が初参加したラリチャレ豊田。モリゾウから一番近い取材場所としてコ・ドライバーを用意された自動車研究家 山本シンヤ氏がその様子をレポートした。

初心者にも優しいコース設定で、安全かつ手軽にエントリーできる入門者向けラリーTOYOTA GAZOO Racing(TGR)ラリーチャレンジ(ラリチャレ)。

2024シーズンを締めくくる特別戦「ラリチャレ豊田」が2024年11月30日~12月1日に愛知県豊田市を舞台にして行われた。

この最終戦でラリーデビューしたのが世界耐久選手権でTOYOTA GAZOO Racingのチーム代表兼任し、2021年のWEC(FIA世界耐久選手権)ル・マンで総合優勝を飾った小林可夢偉選手。コ・ドライバーを務めた自動車研究家 山本シンヤ氏がその様子をレポートした。

ラリチャレからステップアップ

(以下、山本氏執筆)

TOYOTA GAZOO Racingは2017年からWRC(FIA世界ラリー選手権)への参戦を開始。最大のミッションは「勝つこと」だが、ただ勝てばいいと言うわけではない。その本質は「勝利できるようなクルマづくり」と、「その技術を市販車へフィードバックすること」である。

撮影:三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY

これはTGRが参戦するすべてのモータースポーツカテゴリーに共通する部分だが、そのなかでもラリーは「普段走る道で、いかに速く走るか」を競うモータースポーツカテゴリーだ。

普段走る道で極限の状態を経験することで、人が鍛えられ、クルマが鍛えられる……というわけだ。

その一方で、そんなラリーの入り口と言ってもいい存在がTGRラリーチャレンジ(通称:ラリチャレ)である。

国内ラリーの入門編として、その前身となる「ニュースタイルワンメイクラリー TRD Vitz challenge」から数えると20年以上の歴史を持ち、「参加型モータースポーツ」の代表格と言える存在へと成長。近年はエントリー枠が毎回受付開始とともに埋まってしまうほどである。

撮影:三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY

その人気の秘密はエントリーするうえでの敷居が低いことだろう。JAF公認競技のためJAFが定めるライセンス(国内B)を取得する必要はあるが、GRヤリスやGR86などのスポーツモデルのみならず、ヤリス/アクアなどのハイブリッド車に加えて2ペダル(AT/CVT)のモデルでも参加可能となっている。

そんななか、このラリチャレに“超”大型新人ドライバーがエントリーした。

その人とは元F1ドライバーで現在TGR WECチーム代表兼ドライバーの小林可夢偉選手である。そのキッカケは2023年のラリージャパンだった。

撮影:三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY

可夢偉選手は豊田スタジアムで行われたスーパーSSを“観客”の1人として観戦していたが、「あのコースを見ていたら、一度は走ってみたいなという思いが芽生えた」とラリーへの興味が一気に高まったそうだ。

豊田スタジアム内につくられたスーパーSS 撮影:三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY

ラリージャパンの翌日、TGR は名古屋市内で2024年のWRC/WECの体制発表会を行ったが、筆者・山本シンヤは発表会後のぶら下がり取材で可夢偉選手と話をしていた。

可夢偉選手は、そこに通りかかったTGR-ワールドラリーチーム(WRT)の勝田貴元選手に「僕、WRCに出たいんですよね」と直談判。貴元選手は苦笑いをしながらも、「まずは皆さんと同じようにラリチャレから初めてステップアップしてください」とアドバイスをした。

その翌週開催されたラリチャレ豊田(2023)で主催者挨拶をしたモリゾウ選手が、豪華ゲストの一人として可夢偉選手を紹介すると、可夢偉選手は「来年WRCの下のカテゴリーに出たいなという目標をもっています。そのためにラリーチャレンジからスタートしようかなと思っています」と宣言。

この発言に会場内から大きな拍手が上がったが、正直言うと「可夢偉選手も多方面で忙しいから、実現するのかな?」と筆者は思っていた。

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