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2024.03.07

一人ひとりが成長実感できる職場へ 10年後に向け今改革を

2024.03.07

大詰めを迎えた労使の話し合い。人への投資、職場環境の改善へ、具体的な課題と解決策が議論されていく。

未来工場

これに応えたのは新郷和晃CPO(Chief Production Officer)。2023年9月、「人中心のモノづくりで、工場の景色を変え、クルマの未来を変えていく」をテーマに開催した、モノづくりワークショップの仕掛人だ。

新郷CPO

コロナ禍を含め、職場の皆さんには、本当に歯を食いしばって頑張ってもらいました。本年度は過去最大の生産台数で、生配差(需要と供給のギャップ)も縮めることができました。

一方で、我慢することが当たり前になり、「働く職場の改善」「魅力ある職場づくり」が後回しになってしまった。また、それに気づくのも遅くなってしまった。これは本当に反省しなくてはと感じています。

我慢して引き上げた競争力はサステナブルではありません。働く人の幸せと競争力の向上をどうやって両立させていくのか一緒に考えていきたいと思っています。

働く人から選ばれる工場はどんなものなのかを議論する「未来工場を考えるチーム」を設立して動き始めました。

いろんな職場を回り、働くメンバーの声を聞かせてもらいながら、3つの取り組みの方向をつくりました。

1つは職場の環境改善。もう一つは、TPSをもとに「DX化」「ロボット化」も含めた「自働化」「省人化」。3つ目は多様な人材が活躍し、成長できる職場です。

「明るさ」「温度」「臭い」「振動」の基準をモノづくりの基準ではなく、サービス産業も含めた基準に見直していきたいと考えています。

エルゴ*についても「補助器具」「作業姿勢」も改善して、基準を変えていきたいと思います。
*エルゴノミクス:人間の身体にあわせた機械・設備設計。作業負荷の軽減とともに、安全・作業効率の向上を目指す

もう一つ大事な軸が、多様な人材の活躍です。

北米・欧州では20%程度、女性が既にモノづくり職場で活躍していると聞きますが、国内のトヨタでは、現在6%です。

休憩所や託児所などの施設も含めて、先行している海外工場の事例を取り入れて進めていきたいと思っています。

実現は簡単ではないと思っているので、皆さんと5年、10年後には何が必要なのかを一緒に考えながら、設備と働き方をどう変えていくのか、今年、具体的な計画をつくり、工場の未来につながるアクションをとりたいと思っています。

職場環境の改善は工場だけではなく、事技系職場についても同様だ。「オフィスマネジメントは全社課題で取り組まないといけないと思っています」と東本部長。組合からは、関係会社や関係部署に無理がないように配慮を要望したうえで、労使一緒に進めていくことが伝えられた。

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