10年先の働き方を今つくるために、話し合いを重ねてきた労使。会社からの回答に際して、佐藤恒治社長が語った"ブレない軸"とは。
約1カ月にわたり話し合われた労使協議会(労使協)が3月13日、回答日を迎えた。
これまで3回の協議を通じて見えてきた、一律の数値目標に縛られた働き方、マネジメントと現場の双方向のコミュニケーション不足といった根深い課題。
こうした課題が浮き彫りになったのも、これまでの労使が築いてきた共通の基盤に立ち、本音の会話ができたからこそ。鬼頭圭介委員長は、「それぞれの職場が抱えている根深い課題を、真摯に受け止めていただいた」とし、さらに続けた。
文化や風土の改革は一朝一夕ではない
鬼頭委員長
(こうした話し合いができたのは)決して当たり前ではなく、労使が互いに努力し続けなければこの基盤は守っていけないということを、忘れることなく、今後も行動していきたいと思います。
一方で、良い議論ができたということで終わらせることなく、着実にアクションにつなげていくことが必要だと思います。個々の働く意識を変えていく、会社全体の文化・風土を変えていくことは、一朝一夕で簡単に達成できる話ではないと思います。
モビリティカンパニーへの変革に向け、引き続き、労使で取り組みを着実に進めさせていただければと考えております。
佐藤恒治社長の回答の前に、東崇徳 総務・人事本部長は、昨年から続く一連の労使の話し合いについて、所感を述べた。
東本部長
昨年の労使協議会以降、「だれもが、いつでも、何度でも、失敗を恐れずにチャレンジできる」(会社になる)ということを議論し、「多様性」「成長」「貢献」の3つの柱で、仕組みや制度づくりを進めてきました。
その後、1年間を通じた話し合いを進めていく中で、人材育成や安全・品質といったところの優先順位がおかしくなっている実態を把握することができてきました。
昨年12月に佐藤社長から全社宛に今の実態を把握するために「まず踊り場をつくろう」ということをレターで発信し、挑戦するための足場固めのための「踊り場」づくりに取り組んできました。今回の労使協議会の話し合いを含め、継続して皆さんと議論を進めてこれたと思っています。
これから佐藤社長より「人への総合的な投資」という形で回答させていただきますが、3回までの話し合いを含めて会社の中で議論を重ねて今回の回答に至っています。
皆さんから声を上げていただいた課題については、引き続き支部ごとの話し合いを本部長、プレジデントとともに、執行役員も入りながら継続して行い、「良い話し合いで終わったね」で終わらないように進めさせていただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
鬼頭委員長の正面に座った佐藤社長は、東本部長に続いて、今回の労使協に臨むにあたって考えていたことや、回答に込めた想いを伝えた。