全日本ラリー選手権の初戦となるラリー三河湾にて、モリゾウチャレンジカップが初開催! その見どころと各選手たちの思い、大会結果をレポート。
DAY2:初戦とは思えないほど盛り上がったバトル
山間部のSSがメインとなった最終日のDAY2。路面は基本的にターマック(舗装路)だが、SS/11と14の「SSS KIZUNA」ではグラベル(未舗装路)を走ることになるため、素早いマインドの切り替えや対応力を問われることになる。
その「SS11/KIZUNA1」で覚醒したのはKANTA/保井隆宏組。ギャラリーが詰めかけたクローズドコースということもあってか、ドリフトの王者として期待に応え面目躍如の勝利をあげた。
前日まで2位だった山田選手は「SS9/岡崎桑谷山1」を制して首位に。貝原選手は「SS10」を制するものの一歩及ばず、午後のループでも「SS12/岡崎桑谷山2」を制した山田選手にタイム差を20.1秒にまで拡大されてしまう。
しかし貝原選手は、「SS13」を圧巻の走りで奪取し、再び首位に。この段階でのタイムは、トップの貝原選手が1:16:39.9、追う山田選手が1:16:40.2と、その差はたった0.3秒の接戦となりギャラリーをざわつかせた。
十分逆転が狙えるタイム差という情報が拡散し、ギャラリーからも熱い視線が送られるなか迎えた最終タイムアタックの「SS14 KIZUNA2」。
距離は580メートルと短いものの、砂や大小の小石が混ざるテクニカルなグラベルコースとなるため、一瞬の気も抜けない展開が予想される。
先に出走したのは貝原/西﨑組。前のSS13でパンクを喫しエアプレッシャーを失っていたせいか、いまひとつ攻めきれない印象のドライビングでフィニッシュした。
0.3秒で追う山田選手が満を持してスタート。中盤のターンで一瞬もたつく場面もあったものの、安定した走りをみせ危なげなくゴール。貝原選手との差を逆転することに成功。5.1秒差でモリチャレカテゴリー優勝はもちろん、JN-2クラスでの優勝まで果たした。
そして、タイムアタックは終わっても、無事にサービスパークに帰投するまでがラリー。リエゾンに設定された一般道を法規に従って走行し、ラグーナビーチにあるサービスパークに到着。モリチャレ選手たちの初めての挑戦は幕を下ろした。
モリゾウチャレンジカップ・ラウンド1「ラリー三河湾」の最終的なリザルト、各SSの勝者は以下の通り。
1位:山田啓介/藤井俊樹(1:17:21.9)
2位:貝原聖也/西﨑佳代子(+5.1)
3位:KANTA/保井隆宏(+4:18.8)
4位:星涼樹/梅本まどか(+5:37.4)
リタイア:大竹直生/藤田めぐみ
リタイア:中溝悠太/小藤桂一
リタイア:最上佳樹/前川富哉
(出走7台、完走4台)
“モリチャレ”でお気に入りNEXTヒーローを見つける
さまざまなバックグラウンドを持つ若手選手がエントリーする「モリゾウチャレンジカップ」。異なるモータースポーツの価値を知る者たちがライバルとして切磋琢磨し、世界を目指す仲間としてラリーに打ち込むことで想像もしなかった才能が開花する可能性にはワクワクさせられる。
日本人唯一のWRCドライバーである勝田貴元選手もサーキットからラリーに転身し、いまやラリーの頂点であるWRCで一線級の走りをしているのはみなさんご存知の通り。
第一戦を制した山田啓介選手は「最終SSのスタートでは、いままでのラリーシーンがフラッシュバックして、ここで勝たないと意味がないと2人で気合を入れて挑みました。勝つことができて素直に嬉しい。良いスタートが切れたので、今回見つけた課題を一つずつ改善し、レベルアップしてシリーズチャンプを目指したいです」とコメント。
そして自称大会の“チアリーダー”でもあるモリゾウ(豊田章男会長)は「レベルの高いカテゴリーと同じ舞台で戦うことで、自分たちがいまどこにいるかが理解できる。ものすごく遠くなのか、頑張れば手が届くのか。それがわかるだけで頑張れる。そういう意味で今回のラリー三河湾は(モリゾウチャレンジカップにとって)最高のスタートになったと思います」と大会を締めくくった。
次回のモリゾウチャレンジカップは、4/12〜14に佐賀県で開催される「ツール・ド・九州2024 in 唐津」。いまから「モリゾウチャレンジカップ」でお気に入りの選手を見つけ、応援しながら追いかければ、ラリーの世界をより深く楽しむことができるだろう。