モーグルのオリンピックメダリスト堀島行真選手を特集。放送直後のW杯では日本人男子初の種目別 年間チャンピオンを獲得! その地道な練習から生まれる強さの秘密に迫った。
3月8日のトヨタイムズスポーツは、フリースタイルスキーのモーグルを特集した。北京2022冬季オリンピックの銅メダリストでもある堀島行真選手は、惜しいところで年間王者を逃し続けていたが、モーグル最終戦でついに種目別の年間チャンピオンを獲得! 日本人男子初となる快挙の直前に放送された番組では、今シーズンの堀島選手の強さの秘密や、華麗なエアーの技、意外にも地道な練習に迫った。
絶対王者を上回り悲願の年間チャンピオンに
日本時間の3月8日夕方、カザフスタンで行われたW杯の第14戦(モーグル種目の最終戦)。堀島選手はここまで年間ランキングでトップに立つ。30ポイント差の2位は、数々のタイトルを独占してきた絶対王者、カナダのミカエル・キングスベリー選手だ。
決勝の1本目でトップに立ったのは堀島選手。勝負が決する2本目は、先に滑ったキングスベリー選手が高得点をたたき出して暫定トップ、最後に滑る堀島選手にプレッシャーをかける。そんな失敗が許されない状況でも、「ダブルフルツイスト」「コークスクリュー1080」と高度なジャンプを冷静に決めて、結果は2位。この日の優勝こそキングスベリー選手に譲ったものの、年間ポイントでは10ポイント上回り、僅差で年間王者に輝いた。
実は、公式練習で膝を打撲していた堀島選手。妻の誕生日ということで「すでにいい日なんだ」とポジティブな気持ちで試合に臨み、逆境を乗り越えて悲願を達成。「すごくいい日になった」と振り返った。日本でもトヨタ会館でパブリックビューイングが行われ、応援に駆けつけた森田京之介キャスターらが喜びを分かちあった。
自分で練習コースを作る、モーグル選手の地道な努力
最終戦を前に、番組は北海道・ニセコで練習中の堀島選手を取材していた。練習に向かう堀島選手が手にしていたのは、スキー板とストック、そしてホームセンターで見つけたという大きなスコップだった。
スキー場で黙々と雪かきをして、ジャンプの着地地点やコブなどの状態を整える作業が続く。堀島選手によると、競技に必要なコブなどの環境が常設された場所は日本で2、3カ所しかないそうだ。「練習環境を自分で作って、スキー場にもお願いして許可も得て、そういうところから始めないといけない」と話す。
「コブも少し細かく配置して、自分の苦手を克服するために作ったコースですけど。ちょっと厳しいコースを作ったな」と苦笑する堀島選手。世界に一つだけの手作りコースで、技に磨きをかける。取材の模様は12:29から。
トップ選手だけの異次元のジャンプ
練習では高いエアーを軽々と披露し、間近で見た森田キャスターも「うわー!すっごい!」と、その迫力に驚いていた。今シーズンの堀島選手の好成績の要因は、難易度の高いジャンプにチャレンジしたことが大きい。
スタジオでは、「ダブルフルツイスト」「コークスクリュー1080」をイラストで解説。どちらも最高難度の技だ。
堀島選手は、試合ではまず最後まで滑る6人に残ることを目指し、6位以内が確定すれば高難度の技で勝負をかける戦い方をしてきた。2回のエアーをこの2つの技で構成しているのは堀島選手とキングスベリー選手だけで、両方成功した方が優勝を手にしている。
驚異の安定性を誇るターン
モーグルの採点は、ターン60、エアー20、スピード20という配分。堀島選手は世界一と称されるカービングターンに加えて、空中での加点を重ねることで、キングスベリー選手を超えることができたのだ。
特別に堀島選手のヘルメットにカメラを付けさせてもらい、ターンをする映像も披露。外から見ると起伏のあるコースなのだが、撮れたのはほとんどブレていない映像。迫力には欠けたものの、逆に頭の位置がほとんど動かない堀島選手の驚異の安定性を証明することになった。映像は28:12から。
「意気込まず自分の1戦を大切に」
インタビューで堀島選手は、ダブルフルツイストについて「夏の間でも100本以上トライしてきて、今シーズンも試合で6人に残ってからは絶対にやっているので、ちょっとだけ苦手意識が少なくなったかな。あとは点数が出る自信がついてくれば、いつでも使える技になるなと思っています」と語った。
「ランキング2位で最終戦に向かうことはあったけど、ランキング1位で戦うのは本当に楽しみでありますし、絶好のチャンス。自分のアスリートとしての実力を示す場でもありますので。しっかりと今まで通りにやっていくことと、あまり意気込みすぎず自分の1戦を大切にしていきたいなと思います」
堀島選手のインタビューは18:58から。
総合での年間王者は来シーズンに持ち越し
W杯のモーグルは、1人で滑るモーグルと2人同時に滑るデュアルモーグルの2種目がある。翌日の第15戦を堀島選手が膝のけがの影響で欠場したため、キングスベリー選手がデュアルモーグル種目別と総合での年間王者になることが確定。今シーズンの堀島選手は総合2位に終わった。
視聴者が「キングのスベリ(滑り)」とコメントするほどの絶対王者に並んだが、最後の壁を超えるのは来シーズンの宿題となった。第1子も誕生し、さらに強さと安定感を増した堀島選手の活躍に期待したい。シーズンオフのスタジオ出演やチャレンジもお楽しみに!
次回はスーパーフォーミュラ特集、ゲストに近藤真彦会長!
放送の最後では、翌日に開幕が迫ったスーパーフォーミュラのプレスカンファレンスの模様を紹介した45:13から。今シーズンは、初の日本人女性ドライバーとなるJuju(野田樹潤)選手や、F2から参戦するテオ・プルシェール選手や岩佐歩夢選手ら、個性豊かなドライバーに注目。主催するJRPの近藤真彦会長は「一人一人のドライバーにいろんなドラマがある。そこも皆さんに見ていただきたい」と話していた。
毎週金曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズスポーツの次回(2024年3月15日)は、スーパーフォーミュラの特集! 昨年に続いてスタジオゲストに近藤会長を迎えて、鈴鹿での開幕戦や、今年の取り組みなどについて語ってもらう。ぜひ、お見逃しなく!