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2024.08.22

「リードタイム短縮し、異常へ素早くアクション」 認証事案で佐藤社長

2024.08.22

認証事案の再発防止策や足場固めに動くトヨタ。その中で開催された労使懇談会。労使が抱く課題はどこにあるのか?

数字で見るトヨタの現状

山本本部長

4-6月の3カ月間ですが、無事決算を締めることができました。13,000億円の連結営業利益はものすごく大きな数字ですし、これは現場の方も含めて皆さんの努力の結果の数字だと思っています。また、支えてくださっているお客様はじめ、販売店、仕入先の皆様が一緒にクルマをつくっていただいていることは、私たちは絶対に忘れてはならないことだと思っています。ただ、この13,000億円という数字と、皆さんがこの3カ月間感じられていることに大きなギャップがあるんじゃないかなと思っています。そこをブレイクダウンしたいと思います。

収益の前提となる3カ月の連結販売台数が2252,000台でした。グローバル全体の前年同期比は96.8%で少し下がっています。

特に、その内訳として日本が79.2%。これが多分皆さんの本当の実感である「クルマをつくりたくてもつくれなかった。売りたくても売れなかった」、この3カ月の実績です。しかしグローバル連結で見ると、北米や欧州アジアの地域が頑張ってくれて、グローバル全体だと96.8%ということでした。

なぜ日本の販売生産が苦しかったのかを少しご説明します。

4-6月の3カ月間の国内生産は、元々日当たり14,000台レベルを計画していましたが、実績は、4月が12,500台、5月と6月は12,600台でした。

その要因はさまざまありますが、プリウスをはじめ、リコールがいろいろなクルマでありました。そして認証事案で生産がストップした工場もありました。また、新型車のラインオフ遅れや、工場では、設備の不良によりチョコ停*が発生してしまったり、全ての工場で計画に対してつくれなかったという実態があります。

*小さなトラブルでの一時的なライン停止。

働いている方々にとって、突然仕事がなくなるというのは、ものすごく生活へのインパクトが、精神的・肉体的にも大きかったと思います。こういう中で、この3カ月間、頑張っていただいたのが現場の実態だと思っています。工場だけでなく、仕入先さんも全員がこの影響を受けていたと思います。

続いて、連結営業利益増減要因です。前期と比較し、1,870億円の増益でした。中身ですが、まず為替変動の影響で、トヨタの場合は、ドルと円の関係でいきますと、円安になると増益になります。大体300万台国内で生産したもののうち、約半分を輸出しています。工場など根の生えたものをつくってそこで雇用を産んで、地域とともに事業をやっていく以上、短期の為替変動のコントロールは難しいと思っていますけれども、ただ、これはそこで事業をやっている意志でもあると思っています。

超円高のときに、または東日本大震災でいろいろなものを失ったときに、日本の雇用、日本の産業を自動車で守ろうと、当時豊田社長がTMEJをつくりました。それも含めて今の(国内生産)300万台があります。

次に、原価改善の努力550億円(の内訳)です。年初から仕入先の賃上げ、またはエネルギーの高騰で苦しまれていることに対して、我々もサポートしていくため、仕入先基盤強化/資材価格の400億円は、当社からすると減益です。また、原価改善プラス950億円は、(例年)大体年間で3,000億円ぐらいですので、3カ月としては非常にペースが良いように見えます。これはおそらく皆さんの実感とちょっと違うところじゃないかと思っています。

国内生産は、頻発する生産停止や不安定な生産、足場固めで時間を使っていこうという中で、この3カ月間、皆さんの持ち前の改善力が発揮できたかというと、おそらくできてなかったのではないかと思います。それは数字にも表れています。

ではなぜ950億円という数字が出せたかというと、我々には海外の工場もあります。この原価改善の中には、設計・仕入先さんも含めたVA*活動や新しいクルマの新製品効果で何年もかけて積み上げてきた原価改善がここで実現できた。そういう効果が出たことで950億円ということになっています。

*Value Analysis。既存の製品・資材サービスを研究し、コスト低減する活動。

営業面の努力が700億円。こちらは先ほど台数のマイナスはありましたけれども、それ以外のところはしっかりと販売活動ができているということです。

続いて、2,250億円の諸経費のところですが、こちらは先日の賃金の改定の部分です。それから、足場固め、職場環境をしっかり整えていくために積極的に投資をしている部分。また、従前から、デジタル化などこれから将来の種まきのために投資を使っていく部分に意志を持って2,250億円使っています。そのいろいろな積み上げの結果が、13,084億円です。

一朝一夕でできることではないんですが、しっかりとした商品、クルマをつくっていくことを改めてこれからしっかり、続けなきゃいけないことだと思いますのでどうかよろしくお願いします。

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