袋に入った謎のマテリアル、トヨタオリジナルの香りレシピ、4人のデザイナーは何をしているのか。
自動車会社がつくる香りとは
もともとボディーカラーや内装を担当するものだと思っていた、カラーマネジメント室の南 安さん。アロマ検定の資格を取り、自身で香りを調合してテイスティングしている。
南 安
香りの面白いところは、一瞬で気分を変えてくれるところ。
香りの効果で、ドライバーや同乗者にいかに快適な移動体験を提供できるかを考えています。リラックスや集中はもちろん、気持ちの高まりをサポートすることもできます。
直近では「クルマのなかで自然を感じられる香りを」とリクエストがあったので、天然香料を中心にオリジナルレシピもつくりました。
日本人は、香りに対して繊細な感覚を持っているとも言われます。日本人ならではの感性を大切に、多角的な「感性のデザイン」をやっていきたい。トヨタがどんな体験を創っていくのか楽しみにしていてください。
新たな領域に積極的にチャレンジすることが求められるカラーマネジメント室。社内のリクエストに応えるだけではなく、自ら提案することも多いという。
岡本グループ長
私はレクサスブランドとGRブランドの、先行開発から量産までを一貫してディレクションしていますが、たとえばレクサスでは、日本のモノづくりや産業全体にいかに貢献していけるかを強く意識し、CMFXを通して提案しています。
伝統産業の担い手が減り、日本ならではの新しいクリエイションが生まれにくくなっているなか、レクサスが積極的に日本のモノづくりにフォーカスすることで、社会全体に訴えかけられることがあるのでは、と思います。
CMFXデザインで考えることは、単に見た目のよい内外装ではなく、そこでユーザーがなにを体験するか。レクサスであれば“日本のものづくりがもたらす上質な移動体験とは?”という問いにもつながっていく。
ハッピーって、多様なんです
加藤舞グループ長
トヨタには“幸せを量産する”というミッションがあるんですが、それってクルマがもたらすことよりも、まずお客様にとっての幸せって何か?を考える必要があって。
この世界にはハッピーって、たくさんあって多様なんですよね。その多様なハピネスやWell-beingを、CMFXデザインを通じていかにクルマに込めていくかをみんなで考えています。
クルマは“愛車”と、愛を付けて呼んでもらえる数少ない工業製品。そんなクルマに、今までにはなかった「愛される理由」がまだまだ増えていくように感じた。
心地いいマテリアルの可能性を探ったり、人間の幸せについて掘り下げたり。そして社会のトレンドにも目を配る。クルマを通じた幸せの拡張へ、さまざまな領域でCMFXデザイナーたちのチャレンジは続く。