「いま、内装デザインが面白い」って本当?デザイン拠点で語られた内容とは

2022.12.09

「クルマのデザイン」といえば、流麗なクーペフォルムや、四角く武骨なSUVなど、多くの人が外形デザインをイメージするかもしれない。しかし今回取材したデザイナーは、むしろ今の時代は内装デザインが面白いと力説。

内装デザインに情熱を燃やし、その魅力を熱く語る3人を直撃。知られざる内装デザインの世界をご紹介する。

きれいなネイルを傷つけたくない

「クルマの内装は、1ミリ変わるだけで違和感が生まれる。そんな繊細で奥深い世界なんです」と語るのは、レクサスデザイン部の主任、八木大実(やぎ ひろみ)だ。

外形デザインから内装デザインへと異動した経歴をもつ。

「1ミリ変わるだけで違和感」というのはさすがに過剰では?そう感じた我々取材班に、八木主任は早速、会社に保管している付け爪をつけ、車内のダイヤルを操作する様子を見せてくれた。

八木主任

付け爪をして、操作のしやすさをチェックするのはもちろんですが、大事にしているのはネイルにこだわる女性の想いです。

“きれいなネイルを傷つけたくないという想いを汲んでいくと、寸法のシミュレーションだけではわからなかった、ダイヤルの適切な角度までわかってくるんです。

その横では別のデザイナーが、重りの入った装具を膝につけて歩き出す。

八木主任

このような重りや関節を固定する装具をつけ、シニアや身体が不自由な方でも、スムーズにクルマから乗り降りできるかチェックします。

他にも赤色が見えにくい人でも、赤いハザードスイッチを認識しやすい位置に配置できているか特殊なメガネで確認。あらゆる使用要件を検討し、さまざまなお客様にとっての“使いやすさ”と“格好良さ”の両立を目指しています。

取材を進めると「愛車と過ごす時間の99%は車内」、「この5年で内装の進化は目覚ましい」など内装へのこだわりが言葉の端々ににじむ八木主任。

1ミリの精度を突き詰める。

そこには世界中のダイバーシティに応えようと、あらゆる人の気持ちになり“人間中心”のクルマづくりを行うトヨタ/レクサスの思想が息づいていた。

レクサスRZの内装を「あえてスッキリ」にした理由

内装デザインの奥深さについて、とにかく楽しそうに語る八木主任。開発を担当した、レクサス初のBEV専用モデルであるRZへの発言が興味深い。

RZのインテリアはあえてスッキリにしました」と話すのだ。

BEVはエンジンを積まないため、室内が前後に広い空間になる。

従来の内装デザインでは、運転席前面のインパネを主役に考えるのが通例だが、新型RZでは「ドアにフォーカスした新しい空間構築を目指した」という。

スケッチ段階から「車内空間の伸びやかさを強調することを意識した」と八木主任。その結果、車内はクリーンで開放的に。ステアリングやメーターなども丁寧につくり込み、モノづくりの「細やかさや上質さ」も感じられる空間が完成。

内装デザインをつくることは、居住空間をつくること。さらにそれは、人間の心地よさを追求することでもある。クルマからモビリティへと可能性はますます広がっている。

そして突然ですが、クルマ好き読者の皆さまに質問。内装のなかでここ数年、進化の目覚ましいパーツはどこか。

次のページで答えが明らかに。

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