現場で自ら考え、動いた経験は、たとえ失敗しても成長につながる。一律をやめ、一人ひとりがやりがいを持って働けるように、議論は熱を帯びていく。
数字は異常を知らせるもの
新郷和晃CPO(Chief Production Officer)が続く。
新郷CPO
能率は一旦やめて、新しい指標を一緒につくりたいと思っていますが、現場で起きた異常を判定する指標は、よく見ていく必要があると思っています。
例えば、定着率・応受援率の数字がここまできたらおかしいといった指標は残して、一緒に見ていく。
競争力は我々の根源だと思っているので、競争力は上げていきながらも、現場で起きているサステナブルじゃないところを直していく。
我慢しながらやっていても、競争力アップとは言えないと思います。
もう一点、能率が上がらない要因の一つが、要員不足、高い応受援率だと思います。こういったところを根本的に解決していくことも一緒に進めていく必要があります。
工場の職場(環境)は今の時代に合っているでしょうか。「困っています」「暑い、寒い」という声も一緒にあげていける会話も進めていきたいと思っています。
能率・生産性ばかりを追求することをやめる判断を示した伊村本部長と新郷CPO。宮崎洋一副社長は「数字は異常を知らせるもの」と考え方を変える必要性を説く。
宮崎副社長
普段の仕事から、数値目標の達成が目的化してしまうマインドが私たちにあると思います。
日々改善することが体に染みついているので、今の数字よりも良くならないと、マネジメントの皆さんも気持ちが悪いし、仕事を与えられている皆さんもしっくりこない。
それを変えていくと、今日、(伊村本部長から)宣言いただいたと思っています。
「数字そのものは目標ではなく、異常を知らせるもの」ととらえて見ていく。同じ理解でコミュニケーションしていくのが大事だと思います。
人員不足で組長やチームリーダーが人材育成に向き合えないことについては、組合から「組長、チームリーダーが、プレーヤー化し、一人ひとりのめんどう見が希薄になってきている」と懸念の声。
再び伊村本部長が手を挙げる。
伊村本部長
今までのやり方だと、能率・生産性があるから一人工を追求*する。改善しても、生み出した余力となる人員は全部持っていかれる。ずっとピンと張った状態が続いてしまう。
*従業員一人ひとりの作業の「ムダ・ムラ・ムリ」を削減して、作業に要した人員と想定人員との差を極力近づけて生産性を高めようという働き方
過去と比較し、今は受援率が高くなっています(30%を超えている)。そういった状況下では管理スパン*をチームリーダー1人に対して5人にしようが、おそらく運営できないと思います。
*上司・管理者1人が把握できる部下の人数、業務の領域(スパン)
先ほど「能率・生産性を1回凍結します」と言いました。皆さんが生み出した改善があり、生まれた余力を体制整備などこれからの余力(づくり)のために、それを自分たちで使ってください。
そして「自分たちで余力をつくるために頑張ってください」ということです。
皆さんのために会社側もやっていくし、みなさん一人ひとりも行動を起こしてほしい。全員活躍は全員でつくるもの。会社がつくるものでもない、組合だけでつくるものでもない、ぜひよろしくお願いします。