
長蛇の列が消えた!? ある取り組みによって待ち時間が劇的に短縮。話を聞いたらすごかった!

この写真を見ていただきたい。

夏休みなどハイシーズン。那覇空港の近くでクルマを借りようとすると、空港からの連絡バスで行列。さらにはレンタカー店舗でも長蛇の列が…。
でも最近、待ち時間が大幅に短縮されたという。一体なぜ?
150分から10分に短縮
2018年のトヨタレンタカー那覇空港店。当時は約30〜60名のスタッフが総動員で、1日あたり最大1,000台の貸し出しをしていた。
待ち時間はなんと、最大2.5時間!
「いつまで待たせるんだ!」「旅行が台無し」などクレームも多数。顧客満足度は九州沖縄地区で最下位。スタッフは疲弊し従業員満足度も低下。離職率も高かったという。
しかし、現在は受付から貸し出しまで最大10分程度。
10分!? 測り方が間違っていないか疑うほどの変化だが、その裏にはいくつもの理由があった。まず、2022年3月に日本最大規模の「那覇空港シーサイド店」を新設、さらにキャパを超える場合は満車お断りで総量を調整したという。

どれほどスムーズになったか疑似体験していただきたい。まず、空港からの送迎バスで店舗に着くと、スタッフの誘導で迷わず受付へ。

無人受付システムRaCCU(ラクー)が大量導入され、スキャンによる免許証確認や保険加入、クレジット決済などが約3分で完了。

すぐ横のカウンターでクルマのキーを受け取り、

歩いて30秒ほどの大型発車場へ。保険に加入していればスタッフと傷の確認も不要なのでそのまま出発!ここまでわずか7分だった。

取材中も団体客のバスが到着したが、おもしろいほどスムーズに発車場へと人が流れていた。このように大型店舗の新設や貸出台数の調整で、過剰な行列がなくなった。
そして、ここからがトヨタらしさの真骨頂だ。顧客満足度と従業員満足度をさらに高める“TSL改善”が行われたという。…TSLって何だ!?

30年ほど前に、一人の室長が…
仕事をラクにすることを前提に、トヨタではムダを徹底的になくし、よいものを安くタイムリーにお客様に届けるトヨタ生産方式「TPS」が徹底されている。
製造現場ではじまったTPSを、30年ほど前にある社員が販売現場に取り入れた。

改善活動で「物溜」を「物流」に。その結果、従業員とお客様の幸せをつくり出す「トヨタ販売物流方式」。通称TSL(Toyota Sales Logistics)だ。
ちなみにある社員とは当時、業務改善支援室を立ち上げた豊田章男係長である。
はじめは「モノを『つくる』のと『売る』のではまったく違う」と販売店からの反発も多かった。しかし多くの社員が店舗に常駐し、改善活動を続けるうちに仕事がラクに。すると理解者も増加。
今でも多くの販売店で自律的・継続的な改善活動が行われており、今回のトヨタレンタリース沖縄もその一つだ。

一体どのような改善活動をしたのか。話を聞くと、これがおもしろい!
まずは現状のお客様とクルマの流れを把握するために、トヨタ自動車TSL推進部のメンバーと一緒に物と情報の流れ図を作成。するとあたり前だと思っていた部分に、多くの問題点があった。

トヨタレンタリース沖縄 OJTシステム改善室 鷹觜大介 次長

これまでお客様のクルマを準備するタイミングは、スタッフの勘やコツが頼り。ベテランから新人、アルバイトと多様なスタッフがいるにも関わらず、仕事のルールが曖昧でした。
翌日に貸し出すクルマを先に準備していたり、せっかく洗車しても雨が降って2度洗車するなど、ムリ・ムダ・ムラが多かった。繁忙期は車両移動に時間を取られ、クリーニングが行き届かずクレームにつながることもありました。
そこで役立ったのが、トヨタの工場でもおなじみのアレだ。トヨタイムズの読者なら分かった人も多いかも?