国内外から多くの注目を集めたトヨタの新体制方針説明会。壇上の佐藤恒治新社長が語ったモビリティ・カンパニーへの変革の道筋とは。
モビリティ・カンパニーへの変革の中心はクルマ
佐藤社長
「カーボンニュートラル」と「移動の価値」。
この2つのテーマを柱に、私たちが目指すモビリティ社会のあり方をまとめたものが、「トヨタモビリティコンセプト」です。
安全・安心や運転する楽しさなどこれまで培ってきたクルマの本質的な価値を基盤に、もっと社会の役に立つ存在へクルマを進化させること。そして、誰もが自由に、楽しく、快適に移動できるモビリティ社会を実現すること。
そんな未来に向けて、今後、3つの領域で、モビリティ・カンパニーへの変革を進めてまいります。
1つ目の「モビリティ1.0」、ここで目指すのは、さまざまなMOVEをつなげてクルマの価値を拡張させていくことです。
例えば、BEVには、電気を運ぶモビリティとしての新しい可能性があります。エネルギーグリッドとして社会のエネルギーセキュリティを高める。
そんな役割も果たせます。
また、知能化により、クルマやお客様から集まる情報を活用すれば、クルマはもっと進化できます。
この新しいクルマづくりのカギを握るのが、ソフトウェア基盤のAreneです。
最新のハードとソフトがつながり、クルマとさまざまなアプリも自由自在につながっていく。Areneは、こうした進化を支えるプラットフォームとして重要な役割を担っていきます。
2026年の次世代BEVに向けてウーブン・バイ・トヨタと一緒に全力で開発を進めてまいります。
2つ目の「モビリティ2.0」で目指すのは、新しい領域へのモビリティの拡張です。
ご高齢の方々や過疎地にお住まいの方々、クルマ市場が成熟していない新興国など、私たちが、移動をお支えできていない方々が、たくさんいらっしゃいます。
また、「空のモビリティ」など、新しい移動の可能性も広がっています。
トヨタには、フルラインナップのクルマに加えて、e-Paletteなどの新しいモビリティや、MaaS領域をはじめ、産業を越えた仲間とのネットワークがあります。
こうした強みを生かし、今の事業範囲を越えて世界中のお客様の移動をお支えしていきたいと考えています。
そして、「モビリティ3.0」は社会システムとの融合です。
エネルギーや交通システム、物流、暮らしのあり方まで入り込み、街や社会と一体となったモビリティのエコシステムをつくる。
そして、ウェルビーイングを実現していく未来です。
そのために、Woven Cityでの実証実験を進めていきます。
例えば、新しい物流の仕組みづくりや、街と一体となった自動運転モビリティの開発、また、Woven Cityを起点とした、CO2フリー水素のサプライチェーン実証や暮らしの中で水素利用の可能性を広げる実証も進めてまいります。
デジタルを活用したこれまでの実証に加えて、2025年からは、リアルな街での総合的な実証を加速し、パートナーとともに社会実装につなげていきます。
このモビリティ・コンセプトで最もお伝えしたいことは「クルマが進化した先にモビリティがある」ということです。
モビリティ・カンパニーへの変革の真ん中には、クルマがあります。
クルマの持つ可能性を広げていく。そのためには、これまで培ってきたもっといいクルマづくりと町いちばんの考え方を基盤にした進化が必要です。
商品・地域を軸に、クルマの未来を変えていきます。