2023.04.11
「カーボンニュートラル」と「移動価値の拡張」。新経営陣が示した2つのテーマを、一問一答で掘り下げる。
「私から一番お伝えしたいのは『クルマの未来を変えていこう』という強い意志です」
7日に行われた新体制方針説明会の壇上、記者から最も届けたかったメッセージを問われ、佐藤恒治社長は力を込めた。
この日のプレゼンテーションでは、クルマの未来を変える2つのテーマとして、佐藤社長から「カーボンニュートラル」と「移動価値の拡張」が示され、中嶋裕樹、宮崎洋一両副社長がそれぞれ、商品軸・地域軸の観点で踏み込んで解説。
新しい体制となったトヨタが進んでいく道筋を提示した。
トヨタイムズでは、この2つのテーマに分けて、記者との質疑応答のやりとりを紹介。新しい経営陣が掲げた方針を深めていく。
発表内容まとめ
佐藤社長は会見で「クルマがこれからも社会に必要な存在であり続けるために、クルマの未来を変えていく必要がある」と主張した。
そのための2つのテーマが「カーボンニュートラル」と「移動価値の拡張」。発表内容のポイントは次の通り。
①カーボンニュートラル(マルチパスウェイで多様な選択肢を追求)
・HEV(ハイブリッド車)
└新興国を含め、販売強化
・PHEV(プラグインハイブリッド車)
└選択肢を増やすとともに、電池の効率を上げ、EV航続距離を200km以上に
・BEV(電気自動車)
└2026年までに10モデルを新たに投入。販売台数は年間150万台へ
米国:2025年に3列SUVを現地生産(米国生産バッテリーを搭載)
中国:2024年に現地開発2モデルを追加
新興国:年内にピックアップトラックを現地生産。小型BEVも投入
└2026年に次世代BEVを投入。航続距離を2倍にするとともに、こころ揺さぶる走りとデザインを両立└開発・生産の工程を1/2に削減
└開発、生産、事業の全権を委ねたリーダーが率いる専任組織を新設
・FCEV(燃料電池車)
└商用FCEVの量産化(中型・大型トラックから)
・水素エンジン
└モータースポーツを活用した技術開発
└大型商用車向け基礎研究を昨年開始
・カーボンニュートラル燃料
└エネルギー産業と連携し、技術開発
└新車の20倍にも及ぶ保有車でCO2を削減
これらを通じて、全世界で販売するクルマの平均CO2排出を2030年には33%、2035年には50%以上削減(2019年比)する。
②移動価値の拡張(電動化、知能化、多様化が進み、クルマが社会とつながる)
・知能化
└クルマ:次世代BEVで、車両OSの進化とともに、乗り味をカスタマイズ
└サービス:輸送効率を高める物流システム、BEVの充電ネットワークも拡充によるエネルギーグリッド化に向けたシステムなど、本年、社会実装を開始
└社会:社会実装で明らかになった課題をWoven Cityで改善し、再び社会実装へ
・多様化
└クルマ:コネクティッドを活用したサービス、用品・部品ビジネスを拡大
└移動:ワンタッチで車いすを固定できる装置を開発し、今年、実装
└エネルギー:水や廃棄物からつくった水素、バイオマスからつくったカーボンニュートラル燃料をモータースポーツの現場で鍛える
「カーボンニュートラル」「移動価値の拡張」を2本柱に、トヨタが目指すモビリティ社会のあり方をまとめたのが「トヨタモビリティコンセプト」。
モビリティ・カンパニーへの変革を進める中でトヨタが取り組む3領域として、「クルマの価値の拡張」「モビリティの拡張」「社会システム化」を挙げた。
※新体制方針説明会のスピーチ全文はこちら。