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現場に息づく「もっといいクルマづくり」への想いが、不可能を可能に!?

2023.09.15

新しいセンチュリーの開発責任者およびチーフデザイナーによる開発インサイドストーリー。今回は、実車を前に「継承と進化」についてさらに掘り下げていく。

乗降時の所作にまでとことんこだわって…

田中や園田たち開発チームが、センチュリーに新たなる価値を与えるべく「進化」させた最たる例が、ミニバンをショーファーカーとして利用する昨今のVIPの新しい価値観に応える、ゆとりと機能性を兼ね備えた後席空間だ。

実際、田中は後席の空間づくりにおいて、VIPがミニバンの空間のどこに価値を見出しているかを探求したという。

田中

セカンドシートのヘッドクリアランス(頭上空間)やレッグルーム(足元スペース)など、ミニバンと比べても遜色ないゆとりの空間として仕上げました。

機能性としては、左右が完全に独立し、電動オットマンを備えたリヤシートは、座面を前方にスライドさせることなく53度までリクライニングできる。

さらに前方にスライドすることで、飛行機のファーストクラスのようにフルリクライニングにもなる。

左側後席は、助手席に採用した、より前方に移動できるエクストラスライドによって、さらなる足元空間を確保できる。

シート開発では、高いクッション性と同時に、姿勢保持のしやすさも徹底して追求。理想的な座り心地を実現するために、通常の車両開発の10倍もの試作を行った。

田中

同じようなカタチのクルマは世の中に存在しますが、このスペースと機能を兼ね備えた空間という点で、新しいセンチュリーは一線を画していると思います。ショーファーカーとして企画したこともありますが、0.1mm単位でこだわるトヨタの設計だからこそできたと思っています。

さらに、後席中央のアームレスト(センターコンソール)には、13インチ程度のPCを載せて操作できる大型のテーブルを装備。

リヤガラスおよびリヤクオーターガラスには、スイッチひとつで曇りガラスになる調光機能付きプライバシーガラスを採用。外からの視線をさえぎりながら柔らかな外光を取り込むことで、落ち着いた空間を創り出すという。

田中

すでにお話ししましたが、昨今のVIPは移動中にお仕事もされますし、次のビジネスに備えてお休みになられる方もいらっしゃいます。

あるときは「走る執務室」として、あるときは「貴重な休息の場」として、いつでもご満足いただけるように、ゆとりある空間と機能性を追求しました。

リアシートは後席のお客様にとってクルマとのインターフェースですし、このクルマで何よりも実現したいのは快適な後席空間です。

新しい技術や考え方をしっかり取り入れながら、最後の最後までこだわって開発しました。

乗降性については、その所作の美しさまでとことんこだわったと、田中と園田は口を揃える。一般的にミニバンは、座面がセダンより高い位置にあり、乗り降りがしやすいといわれる。しかし、実際はセカンドシートが比較的奥に設置されているため、乗降時に頭を下げ背筋を屈める必要がある。

園田

新しいセンチュリーでは、周囲の視線を集めるVIPのお客様にふさわしい、乗り降りする際の「美しく凜とした立ち振る舞い」をサポートすべく、パッケージや意匠にこだわりました。

大きく開くドア、高さにゆとりのある開口部、シートやグリップの位置、段差のないフロア、足を運びやすい電動ステップの高さや幅など、何度もテストを繰り返しながらつくり込んでいきました。

田中

着物を着ていらっしゃったり、ハイヒールを履いていらっしゃったりする女性にも美しく乗り降りしていただけるよう、実際に女性スタッフにもつくり込みに協力してもらいました。

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