国内の商用大手2社が経営統合へ。親会社のダイムラートラック、トヨタを加えた4社が目指すのは、脱炭素時代を生き抜き、商用車の未来を変える競争力強化だった。
CASE技術は待ったなし 小木曽社長(日野)
4社の最後に語ったのは、日野の小木曽聡社長。足元では認証不正問題からの再建に取り組みながら、将来に向けた技術開発も待ったなしの状況にある。
会社を立て直し、物流・人流を通じて人々の暮らしへ貢献していく決意を話した。
小木曽社長
日野は、昨年公表した認証不正問題を重く受け止め、二度とこのようなことを起こさない会社に変わるべく、昨年の10月に公表した3つの改革を推進しております。
お客様をはじめとした全てのステークホルダーの方々から、再び信頼をいただけるように、全社員で一つひとつ愚直に取り組んでおります。
日野の強みは販売からアフターセールスまでの全てにおいて、商品に留まらず、品質、耐久性、メンテナンスのトータルでお客様のビジネスに貢献する取り組みにあります。
今回の不正問題に向き合い、立て直しを図る中で、ご迷惑を実際おかけしているにも関わらず、販売会社をはじめとした多くの方々に日野ブランドを守ろうとお客様に向き合ったさまざまなご協力をいただいております。
こういったことを通じて、お客様へ将来にわたって貢献し続けられるように生まれ変わることがいかに大切か、ひしひしと感じております。
一方で100年に一度の大変革期の現在、カーボンニュートラル、ドライバー不足、そして交通事故などの社会課題への解決に向けたCASE技術の開発の取り組みは、待ったなしの状況です。
日野として不正問題への徹底した対応、そして、カーボンニュートラルなどの将来に向けた対応を検討し続けてまいりました。
お客様をはじめとしたステークホルダーの方々の期待にどうすればお応えすることができるのか。日々仲間と悩み、検討し続けています。
不正の対応については日々の活動の中で手応えを感じてきていますが、これからのカーボンニュートラルなどの環境変化への対応を同時に実現することは、日野単独では実際は非常に厳しいです。
ずっと悩んでまいりました。こういった中で私たちは今回の4社の枠組みを千載一遇の機会と捉えています。
CASE技術にも優れた商用車、乗用車のリーディングカンパニーのダイムラートラック、トヨタ。そして、日本の商用車メーカーとして長い歴史を持つ三菱ふそうとともに移動を支え、社会に貢献したいという志を一つにして、将来に向けて歩んでいけることの意義や意味の大きさを改めて、強く感じております。
日野としては、認証問題などの基盤は自らしっかりと立て直し、そしてこの4社の枠組みで将来の姿をつくっていきたいと思っています。
三菱ふそうと日野は、東南アジア諸国にも早くから進出し、現地に寄り添い、物流・人流を通じて人々の生活に貢献してまいりました。将来にわたって貢献し続けるためにも、この協業がまさに必要であると考えております。
日野としても全社でこのプロジェクトを進め、2024年末ごろに予定されている統合後は、先ほどのデッペンCEOのチームとともに学び合い、共感し合えるチームをつくり上げたいと、決意を新たにしております。
「未来はみんなでつくるもの」
今回の協業で、トヨタと国内の商用車メーカー全てが直接的、間接的に資本関係が結ばれることになった。
この相乗効果について、記者に問われた佐藤社長は次のように答えている。
佐藤社長
「未来はみんなでつくるもの」。これに尽きると思っています。
資本関係などの観点は大変重要ではありますが、これから自動車産業が向かい合う未来は、一社でどうこうできるものではありません。
より大きな連携を実現して、スピードを上げて、社会で実現させていくことが大変重要になります。
多くのパートナーシップが進むことで、多面的なテーマを同時進行で取り組むことができ、幅の広いチャレンジができる。
それが最終的には、モビリティ社会をより豊かで実りあるものにしていくために大変重要だと考えています。
「未来はみんなでつくる」。その想いで、いただいたチャンスを生かして、連携をそれぞれ深めていきたいと思っています。