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トヨタが芝生をつくっていた!?理由を聞くとなんと...!

2024.04.12

本業とは関係ないように見える取り組みを紹介する「なぜ、それ、トヨタ」。今回は驚きだらけの芝生づくり!

悪循環を好循環に

農業は、人手不足をはじめ、資材価格の上昇や気候変動など複雑な問題を抱えている。トヨタはどんな想いで芝生づくりを進めているのか。

松井主査

芝生の価格は安く、生産者も、流通や販売に携わる方も正当な利益を得るのが難しい。付加価値の高い芝生を開発することで、そうした方々にちゃんと利益を配分し、持続可能な芝生の生産につなげたいという想いがありました。

TM9の生産に携わる鳥取県芝生産組合の中本昭典さんは「芝生の生産者の平均年齢は70代。その要因は従来の芝生だけでは儲からなく、跡継ぎがいないから」と語る。

鳥取県芝生産組合 組合長 中本さん

これまでトヨタ以外の企業が開発した品種も生産してきましたが、事業という意味では難しいものがありました。まだ若い生産者が少なく問題は多いですが、持続可能性について考えるキッカケになったのがTM9です。

芝生の需要は少しずつ減少。さらに、芝生の品質は使用してからでないと理解されないため、新規取引先の場合は価格競争に陥ってしまう。

この悪循環を断ち切るためにも、新しい芝生の開発が重要だったのだ。

トヨタから生産の相談を受けた鳥取県芝生産組合の石川浩二さんは「なぜトヨタが芝生を!?」と当初は耳を疑ったという。

鳥取県芝生産組合 営業部長 石川さん

従来のコウライシバに対して価格が23倍だったので、当初はお客様に受け入れていただくのに苦労しました。

しかし、一度購入していただくと維持管理の簡単さや長期的なコスパでのメリットをご理解いただけて、販売量も徐々に増えていきました。

流通が広がった今、生産者の飴谷大作さんはこう語る。

芝生生産者 飴谷大作さん

農作業の手間はこれまでの芝の半分ほど。すごくラクです。刈りカスの量もかなり減りました。何よりも販売単価が高いので、同じ面積でも入ってくる金額がまったく違います。

同じく生産者の髙見雄樹さんも「真夏は大変だし腰も痛くなる。そんな中で生産者が稼げる仕組みができたことがうれしい」と笑う。

鳥取県芝生産組合はTM9の販売代理店にもなっている。生産者としての利益も、販売店としての利益も生まれる仕組みができているのだ。

TM9の生産者である髙見雄樹さん(左)、伴中潤さん(中)、そして飴谷大作さん(右)

現在、TM9は鳥取県芝生産組合のほか、鹿児島県、茨城県、埼玉県の7法人が生産に携わっている。いずれも、高い品質が確保できる厳選された生産者だ。

TM9の施工事例は名門ゴルフコースなど多岐に渡る。販売実績は東京ドーム約100個分の面積に相当する。

松井主査

地道に品種改良を続け、省管理で環境にいい芝生を提供することで、緑化面積が広がり、カーボンニュートラルに少しでも貢献したいと考えています。

アグリバイオ事業室の役割はますます重要性を増していくだろう。

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