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トヨタが、クルマではなく「指」を開発!?担当者を直撃すると...

2024.03.21

本業とは関係ないように見える取り組みを紹介する「なぜ、それ、トヨタ」。今回は指づくり。一体何のために...?

ロボットをいいものにしていく仕事

世界中でロボットの開発や導入が急速に進められる一方で、人と協働する上での安全評価が追いついていない側面もある。森主幹は自分の子どもたちに「ロボットを、よりいいものにする仕事をしている」と話すそうだ。

指ダミーの開発は、まず、医学部もある名古屋大学とスタート。そこで発生しうる指の怪我を「裂創」「挫傷」など6種類に明確化。

当然、本物の人の指で実験できないので、裂傷用の指ダミーをパナソニックと共同開発するに至ったそうだ。

倫理上、人の皮膚を使うことは難しい。そのため開発過程では人に近い“豚の皮膚”を用いて実験。実際に指ダミーを触ってみると、まるで人の指のように弾力がリアルだった。

森主幹
人の皮膚の弾力を人工軟材料で再現しています。また骨と同じ太さの“芯”も入れてあります。

成人男性の指だけでなく、男女差や年齢を考慮して、女性やシニアを加味した仕様になっています。

一人で進めるプロジェクトだけに、自問自答したり、孤軍奮闘したりすることもあったのかを聞くと「みんな協力的で研究開発を進めやすい」と笑う森主幹。

人との協働ロボットが急速に導入されていく時代、指ダミーは確実に必要とされており、大きなやりがいにつながっているようだ。

森主幹

今後は、より人とロボットが近接化していきます。安全安心にロボットと共生する社会のために自分が貢献できることが嬉しいです。

先日も、クルマの荷室と乗車スペースを仕切る“トノカバー”をつくる部署から、指ダミーを使って安全評価をしたいと要望がありました。

また、クルマのドアに指を挟まれた際の評価など、製造現場だけでなくお客様のさらなる安全にもつなげていきたいです。

一般販売もされているので、クルマに留まらず、家具での指挟まれなど、グローバルで幅広く応用が見込まれる指ダミー。

最先端のテクノロジーとは違い、分かりやすく日の目をみる研究ではないかもしれない。

ただ、こういった誰かの幸せを願う地道な研究が、労働力不足が見込まれる今後、女性やシニアなど誰もが安心して働ける世界につながっていくはずだ。

懸命に働く人のために。さらにそのご家族の幸せのために。意外な領域で「幸せの量産」は進んでいた。

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