"道が人を鍛え、クルマを鍛える"。トヨタが販売を開始したGR Yaris Rally2。開発チームが、どのように成長してきたのか1年間の軌跡に密着した。
2022年のラリージャパンにて世界初公開となったGR Yaris Rally2。フィンランドで開発を重ね、2023年に入ると、日本でも全日本ラリーを舞台に進められた。開発ドライバーを託された勝田範彦選手。トヨタイムズニュースでは、そのトライ&エラーの道を追い続けていた。
クラッシュから判明した「大チョンボ」、ラリー本番で明らかになった排気漏れ。「絶対に忘れられない誕生日」となった無念のリタイアと、そこで見つかった部品の劣化…。
いずれも勝田選手が、モータースポーツという極限状態でGR Yaris Rally2の限界を引き出さなければ分からなかった不具合だ。
一方で勝田選手も「要修行です」。クルマの能力を常に最大限発揮するため、時にはライバルからも運転技術を学ぶ。エンジニア、メカニックたちは、コンマ1秒を争う世界で、いち早く問題個所を見つけ、修理するために腕を磨く。
“道が人を鍛え、クルマを鍛える”。モリゾウが、ドライビングの師、成瀬弘から受け継いだ理念が、開発の最前線で感じられる。
GR Yaris Rally2は2024年1月、FIA(国際自動車連盟)から正式に販売可能なラリーカーとして認定された。自動車メーカーが直接参戦するワークスチームでなく、個人で参戦するプライベーター向けのクルマとして、ラリーの裾野拡大の役割を担う。
GR Yaris Rally2の初号車はモリゾウの手に渡った。これには、トヨタが大事にしている“モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり”において、会長としてではなくモリゾウがマイカーとして不具合を出し、いち早く他のクルマへシェアするという想いがあった。「『あなたの運転技能はここまでね』とバカにしないクルマ。」「世界に通じる道具が1つできた。(トヨタにとって)大きな1歩」と語った。
だが、改善後は改善前。開発チームが最大のミッションとして捉えている今年のラリージャパンに向け、何度も走って壊して直して、進化は続く。
ここでしか見ることができない貴重な映像の数々が収録された、今回のトヨタイムズニュース。ドライバー、エンジニア、メカニック。役割は違えど同じ想いで、1台のクルマに情熱を燃やす姿に、きっとあなたも痺れるだろう。