世界パラ陸上（神戸）での海外GTTAメダル獲得シーンのイッキ見と、パリ大会出場権獲得に挑む、日本人選手たちの決意インタビューの2本立て特集。
6月7日のトヨタイムズスポーツは、パラ陸上競技を特集した。パリ2024パラリンピックが2カ月半後に迫り、いよいよ代表選手選考も大詰め。5月に神戸で行われた世界パラ陸上では、海外のGTTA（グローバルチームトヨタアスリート）が強さを見せた！国内GTTAはパリ大会出場が内定する銀メダル以内に入れなかったが、出場権獲得の目安となるハイパフォーマンスランキング8位以内を目指し、6人の日本人パラアスリートたちがラストチャンスへと挑む！
0.02秒差で逆転、フルール・ヨングが2つの金
まずは5月17日の放送で開幕日の模様をお伝えした、世界パラ陸上選手権の振り返りから。GTTAは11人の選手が計15個のメダルを獲得した。現地で取材した三好南穂アスリートキャスターは「お客さんの数や盛り上がりを見て感動しちゃいました」と振り返った。
なかでも金メダル2個の活躍を見せたのが、両足が義足のフルール・ヨング選手（オランダ）。T64の走幅跳と100ｍを制した。明るいキャラクターが魅力で、インタビューVTRでは「パリでは（メダルを）もう2つなんてどうかしら」と笑顔を見せていた。
彼女が自ら明かした強さの秘密は、トップスピードの速さ。そのため、世界記録を持つ走幅跳では、他の選手よりも助走距離を長く取って加速する。100mではゴール直前の驚異的な伸びで0.02秒差の勝利。パラスポーツを観たことがない人に是非見てほしい圧巻の逆転劇は8:11から。
メダルの奏でる音で夏の到来を予感
マール・メニエ選手（ドイツ）は、車いすの中距離3種目で金銀銅のメダルをそろえる活躍。金メダルを獲得したT54の800mでは、序盤から先頭に立ち、村岡桃佳選手らライバルを振り切ってみせた。
最後までハラハラの逃げ切りレースは12:16から。
メニエ選手や先ほどのヨング選手が語るコメントと併せて注目したいのが、首に掛けたメダルがインタビュー中にチリンチリンと鳴る音。視聴者からは「風鈴？」というコメントがチャット欄に寄せられていた。パリの熱い夏に向けて、複数の種目で活躍した超人だけが奏でられる心地良いサウンドなのかもしれない。
パリのメダル候補が続々登場
番組では、GTTAがメダルを獲得した残りの競技VTRをまとめてイッキ見せ。パリ大会に向けて予習しておきたい選手たちの活躍シーンは17:39から。
T38（脳原性まひ）の100mと走幅跳で金メダルのルカ・エクラー選手（ハンガリー）や、最速の義足ランナーと呼ばれT62の400mで金のハネス・フロールス選手（ドイツ）たちは、パリでもメダルへの期待大。T20走幅跳のアブドゥル・ラティーフ・ロムリー選手（マレーシア）、T54で100mのレオ＝ペッカ・タハティ選手（フィンランド）ら、金メダリストの名前を噛まずに言えた三好キャスターもパリへ準備万端だ。
当落線上の石田駆、高橋峻也
番組後半の話題は日本のGTTA。パリ大会出場の選考基準のうち、昨年と今年の世界パラ陸上での上位入賞をクリアできた選手はおらず、残る条件は「ハイパフォーマンスランキング上位選手」。一昨年の10月から今年6月16日までの間に、各選手のベスト記録で世界8位以内に入ることが目安となる。
ラストチャンスの一つである日本選手権は、放送翌日の6月8日と9日に三重県で開催された。4人のGTTAが出場した中で、出場条件の当落線上にいるのが、石田駆選手（T47・100m）と高橋峻也選手（F46・やり投）。共にランキング8位で、日本記録の更新を目指す若手2人のインタビューは24:46から。
日本選手権では雨と目まぐるしく変わる風向きの影響もあり、石田選手が11秒29、高橋選手が59m23と記録更新はならず。今後、ランキングを上回ってくる選手が出てくるのか、予断を許さない。
ベテラン佐藤圭太と芦田創の決意
森田京之介キャスターの思い入れが強いのが、ベテランの2人。佐藤圭太選手（T64・100m/200m）は「人生においてこれだけ 緊張感を持って何かに取り組めるっていうのは、そうそうあるものではないです。もしかしたらこれが最後になってしまうかもしれない。割り切って楽しむ気持ちを持ってスタートラインに立ち、最後まで闘志を持って自己ベストを目指して、勝ちに行くことも忘れずに臨んでいきたいと思います」と抱負を語っていた。
芦田創選手（T47・走幅跳）は、世界パラ陸上で負傷し、満足に練習できない状態で日本選手権を迎えた。「ケガをしてしまって、そこからどうすればベストが尽くせるかを考えてやってきました。自分の可能性を信じて、ワクワクを信じて、ビッグジャンプしたい」と話していた。
結果は、佐藤選手が100mも200ｍも3位で、芦田選手は6m43。ランキング入りは果たせなかったが、言葉が深く胸に刺さる2人のインタビューは28:22から。
村岡桃佳は最後の最後まで諦めない
「車いすで好タイムが期待できる競技場」だというスイスの国際大会に出場したのが、村岡桃佳選手（T54・100m/400m/800m）と鈴木朋樹選手（T54・800m/1500m）。鈴木選手は、パリではメダルを有力視されるマラソンが本命（放送時点でハイパフォーマンスランキング4位）となる。今回はトラックで海外選手とのレース経験を積んだ。
村岡選手の本命は東京大会で6位入賞を果たした100m。スイスでは2大会に出場し、土曜日の大会では16秒69、日曜日の大会では16秒77に終り、自身が持つ日本記録と、ハイパフォーマンスランキングの更新はならなかった。この後は、6月13・14日にパリで行われる大会に出場する予定だ。本当のラストチャンスに懸ける村岡選手の走りに期待しよう！
パリ大会に派遣される選手は、最終的に7月上旬に発表される予定。出場する選手はもちろん、残念ながら出場を逃した選手たちの想いを忘れずに、全てのアスリートたちにエールを送りたい。
選手が記録の先に見据えるもの
最後に、「Road to PARIS」（37:03から）のコーナーから、1cmでも記録を伸ばすために地道な練習を続ける高橋峻也選手の言葉を紹介する。
「障がい者スポーツの認知度を上げるためには、自分がもっと記録向上をして、トヨタ自動車のような大きな会社に負けないような、象徴となる選手になるというのが1番大きな目標です。障がいのある方たちに少しでもスポーツという道を選んでいただけるように頑張りたいというのはもちろん、記録を出さないことにはメディアも動いてくれない。そのためには、先頭に立ってパラスポーツを引っ張っていける存在になりたいと思います」
毎週金曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズスポーツ。次回（2024年6月14日）は、毎年恒例の新人アスリート特集をお送りする。今年の新人たちが「トヨタに入社して初めて言います。私、実は…」を告白。陸上長距離部の鈴木芽吹選手をはじめ、早めにチェックしておきたい注目アスリートが勢ぞろいだ。ぜひ、お見逃しなく！