ケガの予防や復帰に向けたケア、そしてアスリートの交流の場にもなっているリコンディショニングセンター。心温まるトヨタアスリートたちからの感謝の声も!
11月23日に配信されたトヨタイムズ放送部は、「勤労感謝の日」にちなみ、アスリートを支える人たちとして「リコンディショニングセンター(通称リコセン)」を特集。ケガの予防や復帰に向けてのケアなどを行う同センターから、センター長の岡戸敦男さんをスタジオゲストに迎えた。さまざまな種目のアスリートたちが、VTRだけでなくチャット欄でも感謝のメッセージを伝え、競技の枠を超えたトヨタの絆を再確認させる放送となった。
モリゾウ対ラトバラ、ダートで再戦?
冒頭の振り返りでは、ラリー関連の話題が目白押し。12年ぶりの日本開催となったWRCの興奮が残る豊田市で行われたTGRラリーチャレンジの最終戦では、勝田貴元選手やカッレ・ロバンペラ選手、ヤリ-マティ・ラトバラ代表、モリゾウ選手がデモランを披露。トークショーでは、ラトバラ代表が全日本ラリー選手権(ラリー北海道)にドライバーとしてスポット参戦することが、モリゾウ選手の口から発表された。
また、TGRワールドラリーチームの2023年度の体制も発表。貴元選手は3台目のシートをセバスチャン・オジエ選手とシェアし、TGRとして参戦しないラリーにはチーム外で走ることができる。
ラリージャパンの翌日には、モリゾウ選手とラトバラ代表がダートで対決していたことも明らかに。その予告編が公開されているので、本編もお楽しみに!
「リコンディショニング」と「コンディショニング」の違い
特集ゲストの岡戸さんは、トヨタスポーツセンターに開設されているリコンディショニングセンターのセンター長。理学療法士でもあり、東京2020オリンピックの選手村では、診療所で海外の選手たちをケアしていた。
「リコンディショニング」とは、言わばコンディショニングとリハビリテーションの中間にあたる、選手へのアプローチ。身体の状態が下がっているのを、より良い状態へと回復させていく。「練習にも参加できない完全離脱のライン以下に陥らないように、アプローチするのもリコンディショニングになります」と岡戸さんは説明する。
選手の身体の状態を客観的に判断
リコンディショニングセンターでの実際の活動を、森田京之介キャスターが事前に取材したVTRも披露された。取材当日のリコセンにいたのは、陸上円盤投げの湯上剛輝選手、スケート部の横山世奈選手、硬式野球部の今井脩斗選手、ラグビー部の小澤大選手ら、多彩な競技の選手たち。
岡戸さんは湯上選手に対して、まずは立ち姿勢を確認。「トレーニングをしっかりやると(筋肉の)張りが出るのにともなって、前の柔軟性が低下してきて、姿勢が悪くなる」と説明し、競技と同様に体をひねる体勢をチェックした。
湯上選手が腰に違和感を訴えたため、岡戸さんは動作を再び確認し、股関節に問題があると判断。トレーナーがケアを行った。「そこ自体に問題がある場合もあれば、今回のようにどこかが問題で、それをかばっていることによって(別の場所に)負担が来ることもあります」と、岡戸さんは解説する。
「普段の練習の中でちょっと動きが悪いと感じた時に伝えて、客観的に自分の身体を診てもらえます。激しいトレーニングに伴ってケガの可能性も凄く高くなりますし、ケガ予防という意味ではすごく助けられています」と湯上選手は話していた。
トヨタアスリートの身体機能を定期的にチェック
強化運動部や個人競技の選手たちのほとんどは、年1、2回の「ファンクショナルチェック」をリコセンで受けている。取材時にチェックを受けていたのは、硬式野球部の佐藤勇基選手。膝を上げたり肩を上げたりした姿勢を確認したり、股関節を曲げた時やかかとを伸ばした際の角度などを測定していた。
具体的に測定していた項目は、大きく「徒手筋力検査」「関節可動域」「関節不安定性」の3つに分類される。身体の各部位の柔軟性を細かくチェックすることで、各選手の個性を見極められるだけでなく、選手自身の過去のデータと照らし合わせて問題を早期発見できるようになる。
「選手が動きにくいというところと、数値で関係づけをすることによって、原因を見つけていくことにもなります」と岡戸さん。今まで印象に残った選手として、「(硬式野球部の)佐竹(功年)君とかのレジェンドは自分の身体をよく知っています」と、全日本選手権でも活躍した39歳の名前を挙げていた。
競技の垣根を超えて選手が交流する場として
多くのトヨタアスリートが利用するリコセンは、さまざまな競技の選手が交流して、横のつながりを持つ場所にもなっている。取材では、湯上選手と横山選手がウサギを飼っていることをお互いに知り、“ウサ友”になったことも明らかになった。
湯上選手は「ここでいろんな選手とコミュニケーションを取って、お互いに応援しあって、刺激しあう関係を築いていきたいですね」、横山選手は「女子ラグビーの山中(美緒)選手とか、ここで出会って仲良くなった人が多いです」と話していた。
トヨタが誇る筋肉系アスリートの湯上選手と今井選手が並ぶのも、なかなか見ることのできないツーショット。ここでトヨタイムズ放送部が2人にリクエストしたポーズは、もちろん「パワー!」しかない!
トレーナー同士もチームトヨタで横連携
選手だけでなく、各チームのコーチやトレーナーが連携を取るハブとしての役割も、リコセンの特徴の一つだ。「選手たちも日々努力して鍛えているわけで。我々トレーナーも知識や技術をレベルアップして、選手たちと同じようにモチベーションを持たないといけないということで、勉強会や情報交換会を開催しています」と岡戸さんは語る。
ラグビー部の牧野慎二S&Cコーチは、「トヨタの全てのスポーツがハイレベルなので、その人たちの情報をゲットしない手はない。チームトヨタでやれれば一番いいと思います」とインタビューに答えていた。
牧野コーチは、選手たちがハードなトレーニングを乗り越えるモチベーションを保つために、常に声を掛けて、雰囲気づくりを大切にしているそうだ。実際のトレーニングの様子のVTRも紹介されると、視聴者から「声かけのイメージ違った」「めっちゃ熱い!」と驚きのコメントが集まるほど。超モチベーションUPな声かけは、ぜひアーカイブで確認していただきたい。
引退する河合完治が語った感謝の言葉
特集の最後は「岡戸先生、支えてくれて、ありがとう」と題して、選手たちからビデオメッセージが寄せられた。スケート部の寺尾悟監督は「おかげさまでケガ人も減って練習にフォーカスできる。ついつい頼りがちになってしまうんですけども、今後もよろしくお願いします」、横山選手は「愛知のお父さんと思っています」と感謝の言葉を送っていた。
生放送のサプライズでリモート出演したのが、硬式野球部の河合完治選手。「7年連続14度の肉離れ」というフレーズがあるほどケガで苦労してきた選手で、岡戸さんの手厚いサポートを受けてきたことを「岡戸先生の明るさは僕ら選手にとってすごく励みになってて、ケガしているのを忘れてしまうぐらい」と振り返っていた。
そして、河合選手が報告したのが、今季での現役引退だった。最後のシーズンについて「4月に手術をして復帰は難しいと思っていた中、日本選手権に間に合わせていただいて感謝しています。またバットが握れて、公式戦のユニフォームも着られましたし、最後にいい思い出を岡戸先生からいただいたと思っています」と語る。
岡戸さんは「本人の努力といろんなサポートがあって、私のはその一つのちょっとしたサポート。でも、そのちょっとが河合君にとって良いことであれば、本当に幸せだなと思います」と語り、引退への決断をねぎらっていた。
DeNA入りの吉野光樹からもメッセージ
放送を見ていたスケート部やビーチバレーボール部の選手たちからも、チャットで「お世話になっております」「いつもありがとうございます」など、岡戸さんへの感謝の言葉が続いた。プロ野球の横浜DeNAへの入団が決定した吉野光樹選手からは「DeNAに行っても身体大事に頑張ります。横浜で待ってます!」とメッセージが寄せられた。
森田キャスターは「リコンディショニングセンターという場所が、トヨタのアスリートにとって大切な場所なんだなというのを感じました。今回はリコセンにフォーカスしましたけれども、チームのマネージャーがいたり、食堂で栄養管理をしてくれる方がいたり、アスリートを支える方々にあらためて感謝を申し上げたいと思います」と締めくくっていた。
毎週水曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズ放送部。次回(2022年11月30日)はリーグワン開幕を控えたラグビー部ヴェルブリッツを特集する。スタジオゲストは2回目の登場となる福田健太選手と、岡戸さんが「お腹に何が入っているのか知りたい」という伊尾木洋斗選手の2人。ぜひ、お見逃しなく!