日本でのプレーが今季で最後となるモ二カ・アボット選手を中心に、女子ソフトボール部 レッドテリアーズを特集! その他、硬式野球部レッドクルーザーズの日本選手権優勝シーンも紹介。
11月16日に配信されたトヨタイムズ放送部は、女子ソフトボール部レッドテリアーズを特集した。数々の輝かしい実績を残してきた背番号「14」モニカ・アボット選手は、14年間の日本での現役生活が今季で最後。独占インタビューのほか、JDリーグ初代女王に向けて大詰めとなったラスト登板の模様をお届けした。試合の数日前、激励に駆け付けた豊田章男社長は自ら打席に立ち、アボット投手と対決。その結末は?
硬式野球部が日本選手権で6度目V!
この日の放送部は、まずは硬式野球部レッドクルーザーズのうれしいニュースから。11月9日に京セラドーム大阪で行われた日本選手権の決勝で勝利し、6度目の優勝を果たした。番組では、優勝の瞬間の映像や、MVPの嘉陽宗一郎投手のインタビューを紹介した。
翌日には、トヨタ会館に凱旋しての優勝報告会。藤原航平監督は「全員一丸で闘って勝ち取ってきた日本一」、東崇徳 本部長(公式解説員)は「一瞬一瞬のプレーをみんなが魂入れてやってくれた結果。技だけじゃなくて心も豊かになったチーム」と話していた。
広島東洋カープからドラフト指名された長谷部銀次投手や、八木健太郎選手、松本健吾投手ら活躍した選手たちのコメントも。そして、今年も見事な投球を見せたミスター社会人野球、佐竹功年投手の喜びの声も見逃せない。
アボット選手の元相棒、峰幸代さんが試合を取材
ソフトボール特集のスタジオゲストは、元日本代表でレッドテリアーズOGの峰幸代さん。米国代表のアボット選手とはオリンピックで対戦し、トヨタではバッテリーを組んだ間柄だ。
11月12日、峰さんが向かったのは、JDリーグの初代女王を決めるダイヤモンドシリーズが行われたZOZOマリンスタジアム。西地区を24勝5敗で1位通過したレッドテリアーズは、豊田自動織機と準決勝を戦う。
試合前のインタビューで意気込みを語る馬場幸子監督や鎌田優希キャプテン。アボット選手は、峰さんと楽しそうに話し込む姿も見られ、日本語で「レッドテリアーズ、めっちゃ元気だよ! 頑張りましょう!」と気合十分だ。
ラストゲームも見事に無失点
試合は、先発の後藤希友選手が、伊波菜々選手らの好守にも助けられて5回を無失点。だが、相手投手を打ち崩せずに緊迫した試合が続く。リリーフで登板したアボット選手は6回と7回を見事に抑え、延長タイブレークに。8回表、再び登板した後藤選手がホームランを打たれ、善戦及ばず2-0で敗れてしまった。
翌日の決勝に進めなかったため、この試合がアボット選手のラストゲームとなった。試合終了後、アボット選手はスタンドのファンに向かって何度も手を振り、丁寧におじぎをしていた。そして。峰さんらと抱擁し、グラウンドを後にした。
ベンチ裏では、「河合おやじ」こと河合満顧問が「みんな胸を張って豊田に帰ればいい。負けたけど、本当に全力でやった結果。下は向かなくていいから、また来年、頑張りましょう」と選手たちに声を掛けていた。
悔しさは残ったが、各選手が成長した今季のレッドテリアーズ
今年のJDリーグは、決勝でビックカメラ高崎が豊田自動織機を破って初代女王に。長年のライバルでもあるビックカメラと戦ったのは、勝利した開幕戦の1戦のみ。レッドテリアーズにとっては悔しさの残るシーズンとなった。
個人成績は、後藤希友選手が西地区の最多勝と防御率で2冠。準決勝では最後に悔やまれる一球となったが、峰さんは「彼女にとってあの一球が、これからの成長の糧になっていくと思います」と話していた。
西地区のベストナインは、後藤希友選手、切石結女選手、鎌田優希選手、新加入のバッバ・ニクルス選手。打率4位の山田柚葵選手には新人賞(11月30日発表)の期待がかかる。
モニカ・アボットVs対豊田章男、ファイナルマッチ
実は、シーズン最後の試合を前に、豊田社長がトヨタスポーツセンターを訪問。「皆さんのプレーを見て、ソフトボールやってみたい、運動を何かやってみたいと思う人もいます。自分以外の誰かも、みんなのプレーを見て元気づけられています」とチームを激励していた。
すると、なんと豊田社長がヘルメットを被って打席に立ち、アボット選手との対決が実現。前回対戦した2010年は、三振に終わっていた。豊田社長は「ファイナルマッチ」とリベンジを誓う。
ノビのある速球を繰り出すアボット選手。ためらわずスイングする豊田社長。バットは何度も空を切る。かろうじて当ててファウルにしたが、1打席目は空振り三振。2打席目も2ストライクまで追い込まれて勝負の3球目。その勝負球のチェンジアップを、狙いすましていた豊田社長が、快心のレフト前ヒット!
うれしそうに1塁まで走り抜けた豊田社長に、アボット選手が笑顔で駆け寄ってハイタッチ。ハッピーな大団円となり、最後に豊田社長がアボット選手にメッセージを送った。
「レッドテリアーズという名前を決めたのも彼女だし、 彼女がレッドテリアーズ、そしてソフトボールのために残してくれたことは、トヨタ自動車およびこのチームにずっと残っていくと思います。それを実現していくのが現役のチームメンバー。笑顔で元気にアメリカに送り出してあげてほしいです。モニカ、Thank you very much! ありがとう!」
アボット投手の投球フォームで、笑顔の2ショット。
インタビューで語った、チームとトヨタへの思い
対戦の終了後、森田京之介キャスターからのインタビューにアボット選手はこのように答えていた。
- モニカ・アボット
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トヨタの一員として、レッドテリアーズの一員としてプレーできてとても幸せです。14年という歳月が流れましたが、毎年違う、夢と挑戦のような日々を送ってきました。トヨタの代表として、この場にいることができて、本当に幸せで、胸がいっぱいです。
私は最初、1年間だけトヨタのために何ができるか、一緒に考えてみようと思いました。そしてその1年は、何年も続くことになりました。それは、とても楽しい時間を過ごし、成長を実感し、変化を感じ、また、地域社会や家族の絆を感じることができたからです。
私はここで成長したと思います。22歳でトヨタに来たのですから、人として本当に成長したと思います。たくさんの人とコミュニケーションをとる方法を学びました。もちろん、ここでプレーしたおかげでソフトボールも上手になりました。
チームメイトやレッドテリアーズのスタッフに言いたいのは、常に人のことを考え、人と人との関係を大切にし、それを第一に考えることができれば、プレーも気分も、全てがうまくいくということです。もちろん、私たちは一生懸命働き、トヨタ自動車とレッドテリアーズの代表としてベストを尽くします。そして、いつも通り、決してあきらめないことです。
チームワークと、様々な人の様々な考えを尊重することが、トヨタの素晴らしいところだと思います。コミュニケーションとチームワークが、トヨタの特徴です。彼ら(豊田社長や河合顧問)がソフトボール場に何度も来てくれることが驚きです。ソフトボールチームは、人々、従業員に喜びと愛を与え、一日を明るくすることができるといつも信じています。
視聴者からも感謝のメッセージ
峰さんは「モニカ・アボットというピッチャーを打ちたいと長年戦ってきた選手の皆さんは、その偉大さを感じています。彼女の内面から出るアスリートとして、そして一人の女性としての強さも感じることができました」と、アボット選手の存在の大きさを語る。
視聴者のコメント欄でも「ありがとう、モニカ」「最後まで全力で闘ってくれてありがとう!感動しました!」「感謝しかありません」など、アボット選手へのメッセージが続々と寄せられていた。
「アボット選手の技術、マインド、そしてパッションは、チームが受け継いでくれる」と峰さん。引き継がれた思いと今年の悔しさをバネにして、「立ち上がれっどてりあーず!」。来年以降のレッドテリアーズにも声援を送り続けよう!
毎週水曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズ放送部。次回(2022年11月23日)は「勤労感謝の日」に合わせ、トヨタアスリートを支える人々を特集する。トヨタスポーツセンターに開設されているリコンディショニングセンターの岡戸敦男先生、ラグビー部ヴェルブリッツのS&Cコーチ牧野慎二さんを取材。あの選手もインタビューで登場。ぜひ、お見逃しなく!