株主との質疑に先立ち、一連の認証問題で佐藤恒治社長が改めてお詫び。「一つひとつ現場に向き合う」と誓った。
トヨタ自動車の株主総会が6月18日、愛知県豊田市の本社で開かれた。今年は豊田章男会長が2009年以来15年ぶりに“回答者”に回り、佐藤恒治社長が議長席に座った。
出席者4,656人の中から寄せられた質問は、ステークホルダーへの還元や、クルマづくりへの意気込み、多様性など多岐にわたった。
その中には、3日に公表した型式指定申請にかかる認証問題について問う声も。
質疑に先立ち佐藤社長が、改めて今回の件についてコメントした。
豊田会長とともに
佐藤社長
決議事項のご説明に先立ちまして、この度の認証問題について、お客様と株主の皆様にご心配、ご迷惑をおかけしておりますこと、心よりお詫び申し上げます。
日本国内における認証制度は、主に安全と環境の分野において、ルールに沿った測定方法で、定められた基準を達成していることを確認する制度でございます。
認証試験で基準を達成して初めて、クルマを量産・販売することが可能になりますが、今回の問題は、正しい認証プロセスを踏まずに、量産・販売してしまった点にございます。
現在、トヨタグループ各社の事案も含めまして、会長の豊田がグループの責任者として先頭に立って、現場に根ざした改善の取り組みを進めております。私も会長とともに、現場で再発防止にしっかりと取り組んでまいります。
認証問題については、3日の公表時に豊田会長、宮本眞志カスタマーファースト推進本部長が経緯を説明。その際、豊田会長自身が現場に赴き、「TPS自主研究会」を実施して、認証業務の工程における「物と情報の流れ」の見える化を始めていることを明らかにしている。
また、日野自動車やダイハツ、豊田自動織機の「グループ各社の事案」では今年1月、グループビジョンを発表。以降も豊田会長は、グループ各社の現場のリーダーと本音の対話を通じてアドバイスを送ったり、ダイハツの販売店代表者会議に出席して、販売店やお客様の声を聞くなど、現地現物で実状や困りごとの把握に努めてきた。
この日株主からは、グループ各社の問題が発覚した際に、なぜトヨタ内部では見つけられなかったのかと、調査の甘さを指摘する声や、今後の経営戦略への影響に対する懸念が寄せられた。
中嶋裕樹 取締役副社長はマルチパスウェイ戦略について、地域のエネルギー事情やお客様の使い勝手に応じたパワートレーンの選択肢は狭めないと応じた。
宮本本部長と同じ、カスタマーファースト推進本部の柳景子副本部長は今年3月、ダイハツの非常勤取締役にも就任。TPS自主研究会では、ダイハツの作業服で参加するなど、現場に密着し、コミュニケーションを取りながら調査を進めていることを伝えた。