「人への投資」を議題に据えたトヨタの労使協議会。では販売店・仕入先の現状はどうなっているのか? 本音の対話は自動車産業550万人の仲間へと広がっていく。
【仕入先】腹を割って話し合える関係に
熊倉本部長
「今までこうだったから我慢しよう」とはならないようにしたい。
直そうといっても、それが染みついてしまっているから、すぐにはできないかもしれない。
でも諦めずにこういうことをやっていく。少しでも浸透させて、解を探って行きたいと思います。
宮崎副社長は総括として、仕入先との新しい関係を構築していこうとしていることを明かした。それは、トヨタの労使と同じく、腹を割って本音で話し合える関係だった。
宮崎副社長
1回話し合って答えが出るテーマではないことは、皆さんもわかっていると思いますが、この問題は日本に製造業を残せるかどうかということだと思います。
日本の自動車産業が生きていくためには、人が確保できなければいけません。いくら良いものをつくりたくてもつくれない。つくりたいのに、人がいなくてつくれず、原価が上がるのだとしたら、人や環境に投資をして、人に来てもらってつくるんだという発想があって良いと思います。
会社どうしのつながりでも、「言っちゃっていいんだ」「トヨタは(要望を)聞いてくれるんだ」「仕入先さんも言ってくれるんだ」という関係をつくろうとしています。
これまでは(サプライチェーンの)上から降りてくると、必ず何かタスクを持ってきたり、刈り取りに来たりということが多かったと思います。
一朝一夕にはいきませんが、皆さんと一緒に変えていければと思っています。
2日間にわたり販売店・仕入先との本音の対話を行った拡大労使懇談会。
課題も多く見えてきたが、トヨタが「人への投資」を打ち出したことで、販売店でも仕入先でも労使の議論が進んだという。
今回は、自動車産業全体の魅力向上に向けた一歩目。両日出席した宮崎副社長が「こういう会話があって初めて気づく部分も多いので、継続させていただければ」と語ったように、これからも対話は続いていく。