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大動脈構想に第3世代FCシステム...仲間と築く水素社会の未来

2026.07.14

超電導液体水素ポンプを搭載した水素エンジンカローラが走ったS耐富士24時間レース。その会場で中嶋裕樹副社長らがメディアに、水素社会に向けた展望を語った。

水素ステーション、どう普及させる?

水素大動脈構想では、主要幹線道路への水素ステーションの設置が重要となる。一方で、水素ステーションは高圧ガスを扱う設備であり、ガソリンスタンドとは異なる規制が適用される。中には機器のメンテナンス・安全確認のため、稼働を2〜3週間停止するケースもある。

水素そのものの価格に加え、こうしたメンテナンスに伴う費用や負担も、水素ステーションの持続的な運営における課題となっている。事業者は関係機関と協議を重ねながら、TPS(トヨタ生産方式)を活用したメンテナンスの効率化や、充填ホースの耐久性向上などを通じ、コスト低減に取り組んでいる。

中嶋副社長、山形プレジデントは、水素普及に向けて、繰り返し安全性を示していくことの必要性に言及している。

中嶋副社長

(日本の)水素ステーションは安全面の制度要件が厳しく、セルフ営業の導入が容易ではありません。そのため、欧米で広く見られる24時間セルフ営業は、日本では数例に限られています。実績を積み重ねてデータを示すことで、「安全」を確保した上で、利便性の向上につながる動きを進めていきたいと思います。

山形プレジデント
水素は正しく管理すれば安全に利用できるエネルギーです。正しい理解が広がり、ガソリンスタンドで燃料を扱うように水素を利用できる環境が整えば、より身近で扱いやすい存在へと変わっていくことが期待できます。

また水素価格については、官民連携で立案した水素大動脈構想に基づき、幹線輸送に水素トラックを活用することで需要を創出、水素ステーションの稼働を安定させることで、小型トラックやタクシー、乗用車への展開が期待される。

中嶋副社長はグレー水素でもまずは使いつつ、並行してブルー、グリーン、ホワイト*への開発を進めることが重要だとした。

*天然水素ともいう。地中で自然生成し、ガスの状態で埋蔵されている水素。人工的に製造するグリーンやブルーと異なり、掘削することで入手できる。

ル・マン24時間レース

メディアからは、トヨタレーシングのジャイアーノ(中嶋副社長)に「ル・マン24時間レースで一番伝えたいことは何か?」という質問もあった。

富士24時間レースの1週間後に行われた、WEC(世界耐久選手権)ル・マン24時間レース。トヨタレーシングはTR010 HYBRIDでトヨタ勢4年ぶりの頂点に立った。

この大会では、液体水素を燃料とするTR LH2 レーシング・プロトタイプがサルト・サーキットで世界初公開され、デモランを実施。

その狙いを中嶋副社長は、次のように説明した。

中嶋副社長
実際に(サーキットを)走ることによって、次のステップとして水素活用のレースができないか。

これは既にモリゾウがS耐でやっていることを、もっと世界に広げていこうということです。それもクルマのカテゴリーも全然違うハイパーカーです。

非常にスピードも速いです。公表はしていないと思いますが、時速250キロ以上で走れる状態で準備しています。実際に(そのスピードで)走るかどうかはわかりませんが、そういうところまで鍛え上げています。

走行している練習映像を見ましたが、音が良い。音を楽しむというレースの醍醐味を、クリーンでありながら実現できるということ。これは本当に大きな一歩になるのではないかと思いましたし、近い将来ル・マンを水素エンジン車で戦っているところも想像できました。

ただ24時間走るということで、給水素の回数をいかに減らすかと考えていきますと、今回S耐で、新たに(水素エンジンカローラを)超電導を使ったポンプのシステムで走らせてみました。こういった一つひとつの技術開発が、将来(ル・マンのような)大きなレースにつながっていく可能性があると思います。

第3世代FCシステム

この日、富士スピードウェイに設けられた説明会会場では、大型商用車に搭載する第3世代FCシステムも登場した。

昨年2月に開発が発表された第3世代FCシステムは、従来比で耐久性を2倍に向上させ、商用利用においてもメンテナンスフリーを実現。また、燃費性能やコスト面でも改良が加えられ、本格展開を見据えた進化を目指している。

市場投入時期については、まだ明かせないとのこと。だが、太田チーフエンジニアは「水素大動脈構想に貢献できるタイミングで出していきたい。開発スピードは今まで以上に上げていく」と宣言した。

サーキットを飛び出し、産業の枠を越え、官民に広がってきた共感の輪。水素社会の実現は、ここからさらに加速していく。

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