7月のS耐第4戦で発表されたFCEV(燃料電池車)ゴミ収集車に続き、第5戦ではFCEVロードサービスカーを披露。続々と投入し、水素社会実現を目指した実証実験。この裏側にある想いとは?
9月2日と3日に栃木県茂木町で行われた「ENEOS スーパー耐久シリーズ2023 Supported by BRIDGESTONE」第5戦 もてぎスーパー耐久(S耐) 5Hours Race。
この会場で初公開されたトヨタとJAF(日本自動車連盟)が共同開発した水素ロードサービスカー。前回のS耐オートポリス(大分県日田市)に続き、2戦連続で発表されたFCEV(燃料電池車)の働くクルマ。そこには日本のメーカーとしての意地とこだわりがあった。
水素社会実現のために必要なクルマ
7月のオートポリスで公開されたFCEVゴミ収集車に続き、モビリティリゾートもてぎのイベント広場で初披露されたJAFの水素ロードサービスカー。
このクルマは水素社会の実現に向けて、水素で動くクルマが万が一水素切れを起こした際に駆け付けるお助けカーとして用意された。
JAFのロードサービスのうち、年間約50000件が燃料切れの救護で、その内、BEV(電気自動車)の電欠が700件、水素欠が20件程度発生しているという。
水素社会が実現し、FCEVが増えた際に水素欠をレッカーではなく、他の燃料と同じようにその場で、対応するために共同開発されたクルマが今回お披露目された水素ロードサービスカーだ。
中嶋裕樹副社長
先回の大分オートポリスで水素を、より市民生活の身近なところで使っていただく一つの提案として「ビジネス to ガバメント」の考え方をご紹介しました。
今回はJAFさんと共同で研究開発しているクルマの第1号を持ってきました。
まだ、プロトタイプですが、FCトラックに水素モジュールを積んで、そのままダイレクトに給水素ができます。公道で水素ステーションが近くにないところで、水素切れを起こしてしまった場合、今はレッカー車で移動するしか手段がありません。
そのときに給水素ができるクルマで駆けつける。ロードサービスの一環でもありますが、将来的には水素をデリバリーするときにも、このようなクルマがあれば、ご家庭の水素発電、定置発電のユニットに給水素をすることができます。
JAFさんの多大なるご協力で、ただ給水素をするだけではなく、JAFのクルマとして必要な機能も一緒に合わせました。
JAF 四宮慶太郎副会長
水素社会の発展のために研究されているトヨタと一緒になって、こういうクルマを開発させていただきました。
このクルマはタイヤのパンク、バッテリー上がり、燃料切れなどの5大トラブルの要素を全て兼ね備えた上、給水素できるようになっています。
JAFではこれからエネルギーの選択肢が増えるなかで電気、ガソリンも含めてエネルギーがなくなったときに対応できるクルマを開発しています。
中嶋副社長
この取り組みは水素社会実現のために、まずはモビリティからという想いでスタートしております。
ロードサービスのサポートもないと安心して皆さんに水素のクルマをお使いいただけないので、いち早くこういう取り組みをJAFさんとさせていただきました。