2025年11月に行われたS耐最終戦。会場ではNASCARが走るなど、いつものS耐とは違うアメリカンな雰囲気でいっぱいになっていた。そんなモータースポーツを通した文化交流を取材した。
モリゾウが語るNASCARの魅力
このNASCAR SHOWRUNの2日前、豊田会長はモリゾウとして、自らNASCARのステアリングを握り、富士スピードウェイを走っていた。モリゾウがNASCARを運転するのも15年ぶり。久しぶりのNASCARをこのように振り返る。
モリゾウ
NASCARを運転しました。NASCARって普通はドアが開かないんですよね。ですから、窓から入って座るんですけど、デモンストレーション用のクルマだったので、ドアが開くようにしてくれていました(笑)。やっぱりあのスピードと音がすごいなと。
僕は、クルマ好きの普通のおじさんですけど、音が大きくて、野性味のあるクルマが大好きなんですよ。
ただ、僕の運転技能では、ちょっと曲がりづらい。そして、リアが滑りやすい。重いってこともあるので、なかなか難しい馬を乗りこなすような感じでしたね。
ジミー・ジョンソンさんは何回もチャンピオンを獲っているわけでしょ。彼はすごいスピードで、なにも問題ないように走りますけど、やっぱりすごい技能です。
アメリカで本当に毎週毎週あるような人気のスポーツの一つであるということは、本当によく理解できます。
日米豪華ドライバーの共演
NASCAR SHOWRUNでドライバーを務めたのは、NASCARカップシリーズで7度の王者に輝く「NASCARの帝王」ジミー・ジョンソン選手、次世代を代表するトップドライバーのジョン・ハンター・ネメチェック選手、NASCAR Xfinityシリーズに出場する古賀琢麻選手、そして、昨年、一昨年にNASCARカップシリーズに挑戦した小林可夢偉選手、さらに日本のトップカテゴリーで活躍する大湯都史樹選手、小高一斗選手の6名だ。
NASCAR SHOWRUN後、メディアの囲み取材に応じたジミー・ジョンソン選手、ジョン・ハンター・ネメチェック選手、小林可夢偉選手、古賀琢麻選手の4人が感想を話してくれた。
ジョンソン選手
私たちの役割は、NASCARという競技そのものを、アメリカを代表して伝えることだと思っています。
接近戦でのレース、必要以上とも言えるほどの馬力を持つマシン、そして加速や減速が簡単ではない車——そうした要素が詰まっています。でも、とてもエンターテインメント性が高く、観ていて本当に楽しいスポーツです。
私たちのスポーツの大きな魅力の一つは、音、迫力、そしてマシン同士が信じられないほど近い距離で走るその動きです。
今日のデモンストレーションを通して、私たちのスポーツをうまく表現できて、そうした魅力の一端をお見せできていたら嬉しいですね。
ネメチェック選手
NASCARのカルチャーや、私たちが普段やっていることを表現するという意味でも、今日走ったラップやバーンアウトのデモンストレーション、そして優勝後に行うおなじみのパフォーマンスを感じてもらえたと思います。
私も走っているとき、1秒1秒が楽しくてたまりませんでした。この富士スピードウェイで日本のサーキット文化にも触れて帰りたいなと思っています。
小林選手
今回、STMO(スーパー耐久未来機構)並びに日本自動車会議所、みなさまの協力があって、NASCARを走らせることができ、本当に感謝しています。
最近のレーシングカーで、こういう音を聞ける機会がないので、日本で、富士スピードウェイで、この音を聞かせられたということは、本当にファンにとってもエキサイティングだと思うし、我々も走らせることができて光栄に思います。
古賀選手
僕は日本人ですが、レースのキャリアのほとんどがアメリカからスタートしています。STMOおよび自動車会議所のみなさまのサポートで、僕にとっては日常になっているNASCARのエキサイティングな音や迫力を、母国である日本のレースファン、クルマ好きの方に見て、触れていただけたことは本当に感動です。
メディアからNASCARのイベントを開催することでアメリカ車が売れる効果はあるのか質問されると、小林選手がこのように答えた。
小林選手
クルマを買うのはトヨタではなく、お客様です。つまり、誰が買うか、誰が日本に輸入するかは、基本的に自由です。
クルマを愛する人にとってはチャンスだと思います。トヨタだけでなく、シボレーやフォードにも素晴らしいクルマがあります。
結局、買うのはお客様です。日本の人たちも、どのクルマを買うか選択できる機会が増えることになります。これは私たちにとって良いニュースだと思います。
私自身もクルマが大好きです。クルマを買う機会が増えるのはとても嬉しいです。私はヨーロッパやアメリカでレースをしてきましたが、アメリカにも素晴らしいクルマがたくさんありますので、アメリカからそのクルマを手に入れられるのはとても嬉しいことです。
例えば、トヨタ・タンドラのような大きなクルマがありますが、日本では販売されていません。しかし将来的には手に入るかもしれません。それは素晴らしいニュースですし、私も楽しみにしています。