共に楽しみスーパー耐久シリーズ(S耐) ST-Qクラスに挑む自動車メーカー5社。第2戦、富士24時間の会見で各社の代表が語った未来にエンジンやモータースポーツを残すための挑戦を取材した。
CN燃料の現在地
このS耐で使用しているCN燃料の開発状況について参加したメディアから質問された5社はこのように説明した。
高橋プレジデント
CN燃料はその素性が市販のガソリンとは、まだまだ違うので、そのまま使えるかというとまだ使えません。
今、世の中に出ているエンジンにガソリンじゃなくて、CN燃料を入れても、お客様が普通に走れることが最終的なゴールだと思っています。
最初は本当にわからなくて、エンジンのなかでオイルが希釈して大変なことが起きていました。
今は徐々にそういう課題がわかってきてエンジン側の対応と、燃料側での対応、それぞれどういうことをやっていけばいいのか方向性がある程度見えてきました。
CN燃料をこういう場で使わせてもらっていますが、普及という部分では、お客様からすると、まだまだ遠い存在だと思います。
それをどう皆さんの当たり前に変えていくのか、そういうことは自動車会社だけではできません。
エネルギー産業の方々とか、国、経産省の方々を巻き込んで一緒に未来を創ることが必要だと思っています。それが今後の課題です。
SUBARU 藤貫CTO
2年前はe-fuelをつくっている会社からそのまま買って、使っていました。そのなかで、いろいろと普通のガソリンとは違うということが分かりました。
でも、今あるクルマに使えるようにするために、去年は我々から燃料メーカーさんにリクエストを出して、こういう特性であれば使えるといったアプローチも始めました。
NISMO 石川常務執行役員
3年前に使ったCN燃料はオイル希釈がすごくて、レースで使うのにも課題があるという感じでした。
たぶん3社が今使用しているCN燃料は我々が使っているものと同じような燃料ですが、だいぶ市販のガソリンに近いです。
だから技術的にCN燃料がガソリンの代わりになるというのは、非常に良いペースで革新が進んでいます。
あとは国内で「つくる」。モータースポーツで使い始めたことが力になって、進むというのが次の段階かなと思っています。
HRC 桒田室長
HRCでいうと二輪のレースもあります。このCN燃料の使用は二輪のレースでも国内選手権含めてスタートしていますが、四輪と同じような課題があります。
使われ方が違う、エンジンが違うということで異なる課題もありました。
CN燃料がひとつのソリューションだとすると、どうやってお客様に使ってもらえるようにするか、生産能力のほか、もう一つの大きな問題としてコストがあると思っています。
これは我々だけでどうにかできるものではなく、石油産業やサプライヤーの方々と、いろいろフィードバックをしながらやっていく必要があります。
コストは下がるけど、問題が多くなってはいけない。だから何が問題になるのかをしっかりフィードバックして、より早く将来的に皆さんに買っていただける燃料をお届けしたいと思って取り組んでおります。
MAZDA SPIRIT RACING 前田代表
マツダは1社だけバイオ燃料をやっています。最初は「レースで使える訳がない」というところでスタートでした。
今は軽油と同じパフォーマンスが出せるようになりました。ただゴールとしては、普通のガソリンスタンドで普通に給油できるということ。
そういう状況までいかないとレースだけの活動になってしまいます。
CNと言い続けても、地球環境にどれだけのプラスがあるか言えない状況になってしまいます。
特にバイオ燃料は簡単にはたくさんつくれません。ですので、同じ素性でも違ったつくり方とか、違った構成で何とか同じパフォーマンスを出せないかという研究に着手をし始めたところです。
この辺りがST-Qクラスでやっている意義と思っています。