共に楽しみスーパー耐久シリーズ(S耐) ST-Qクラスに挑む自動車メーカー5社。第2戦、富士24時間の会見で各社の代表が語った未来にエンジンやモータースポーツを残すための挑戦を取材した。
カーボンニュートラル(CN)社会の実現に向けてST-Qクラスに参加するトヨタ、マツダ、SUBARU、日産、ホンダの5社が初めて一堂に会し「共挑5社 会見」が行われた。
モータースポーツで未来に貢献する
会見でスーパー耐久機構(STO)がスーパー耐久未来機構(STMO)に変わり、世界に対してどのような発信をしていきたいかと聞かれたGAZOO Racingカンパニーの高橋智也プレジデントはこう答えた。
高橋プレジデント
いろいろな地域の方々にこのST-Qクラスを見ていただいて、将来自分たちの生活が変わるんじゃないかと、少しでも感じていただけたら、S耐の場でこういう活動をやらせてもらっていることへの恩返しになるのかなと思っています。
STMO理事長に就任されるモリゾウさん(豊田章男会長)は、モータースポーツをサステナブルにしていきたい、ずっと未来にもこういう楽しさを残したい、クルマ好きに寄り添っていきたいと思っています。
僕たちGRとしても、同じ思いです。このような場でCNの技術が育って、モータースポーツ=悪じゃなくて、CNのこういう楽しみを残せることが未来への貢献だと思います。
メーカーの垣根を越え加速する脱炭素に向けた取り組み
ST-Qクラスとは、各メーカーが開発中のクルマをS耐に持ち込んで走らせることができるよう2021年に設立されたクラスとなっている。
その歴史は同年第1戦に開発車両として参加したROOKIE RacingのGRスープラに始まり、第2戦の富士24時間レースで参戦した水素カローラからCNの仲間づくりが始まった。
その仲間は、次世代バイオディーゼルで走るマツダデミオ、翌年の2022年には同じCN燃料を使用したGR86とSUBARU BRZ、さらにNISSAN Z Racing conceptが加わり、2023年にはホンダCIVIC TYPE R CNF-Rと拡大を続けてきた。
そして、ST-Qの仲間が増え続けるなかで、参加する各社はレースの会場で脱炭素に向けた情報交換を行うようになる。その活動に命名されたのが「S耐ワイガヤクラブ」だ。
「S耐ワイガヤクラブ」に参加する各社は共に挑むこの活動について、それぞれこのように話した。
高橋プレジデント
S耐のレースがあるたびに、みんなで集まって別にテーマを決める訳ではなく、一緒にやれることがないかと話し合ってきました。
2022年のオートサロンで、マツダの前田育男(シニアフェローブランドデザイン)さんが、「共挑」共に挑むというお話をされていました。
それを聞いて、ものすごくいい言葉だなと思い、この「共挑」という言葉をS耐のワイガヤクラブのキーワードとして使わせていただいております。
何に共に挑むのかというと、「クルマ好きを笑顔にする」ということだと思っています。
世の中のクルマ好きの方々を笑顔にする。誰ひとり取り残さない、そこが僕たち自動車メーカー5社で一緒にやれることかなと思っています。
S耐では、各社でいろいろな取り組みがありますが、僕らで言うと、商品開発、技術開発、あとは人材育成。そういうことをこの場でやることによって世の中のクルマ好きを笑顔にしたいと思っています。
僕らも楽しみながら、お客様も笑顔になっていただく。そういう場にしたいなと思っています。