「世界一速いクルマに乗れるかも」――。子どもたちが夢を抱けるように、モータースポーツ発展のために、HaasとTOYOTA GAZOO Racingが手を結ぶ。そこに込めた豊田章男の想いとは。
旧知の仲のように
――モリゾウと小松代表が初めて会ったときに共鳴したところ、情熱を感じた言葉、お互いに交わした言葉、あるいは、態度など、お互いにとって印象的だったことは?
モリゾウ
「本当に今日が初めて?」というのが正直なところです。「どこかで会った?」「どこかで話しましたっけ?」と思うぐらいでした。
「初めまして」の一言もなかったと思いますね。小松さんも、僕も。会った途端にいろんな話が進んだみたいな感じでした。
ずっと昔から、ずっと語り合っていた人と会えて、ちょっと先の話をしたというのが私の正直な感覚です。
小松代表
全く同じです。僕もお会いするまでは、豊田章男会長を知らないわけじゃないですが、実際には…。
モリゾウ
実際、僕はどんなイメージでした?
小松代表
トヨタって僕の中ではすごく堅苦しい、大きな会社だと思っていました。
モリゾウ
官僚的で嫌なヤツ?
小松代表
何をやるにも時間がかかってすごくイナーシャ(慣性モーメント。運動状態の変化を妨げる力)があって。
先ほどおっしゃっていましたが、遠くから見ていると、F1を辞めた方。僕は「何で辞めるんだ!」と思っていたわけです。
(モータースポーツの)文化をつくっていかなきゃいけないのに、日本のメーカーは行ったり来たりして。そういうことは本当にやめてほしいという話もしたんですけど、それが初対面で話せちゃう。
心から打ち解けて、「なんでこういうこと(F1撤退)をやったんですか?」って素直に疑問を持って話せる。そんな感じだったんです。あり得ないですよね、普通に考えれば。
本当にずっと知っているかのような感じで、すごく楽しい会話ができたので、感覚的にこういうインスピレーションや想いを持っている方と一緒にできるってなんて光栄なことなんだろうって本当に思いました。
人生の出会いの一つで、こういう出会いがあって本当によかったなと思います。後はその出会いを最大限に生かすしかない、生かさないとダメですよね。
世界を相手に戦ってきた者同士、2人が意気投合するのは必然だったのかもしれない。「TOYOTA GAZOO Racing」が記されたレーシングカーは、Haasの母国となる次戦のアメリカグランプリ(10月)から走り出す。