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Haas F1とトヨタが提携 「世界一速いクルマに乗れるかも」 夢追う子どもたちへモリゾウが開いた道

2024.10.11

「世界一速いクルマに乗れるかも」――。子どもたちが夢を抱けるように、モータースポーツ発展のために、HaasとTOYOTA GAZOO Racingが手を結ぶ。そこに込めた豊田章男の想いとは。

主役の場所をつくる

記者との質疑応答では、改めてモリゾウがレーシングドライバーへの想いや小松代表との出会いを語る一幕があった。

――昨年9月、14年ぶりに日本に来た日本グランプリを訪れて、日本のF1や鈴鹿のファンがすごく温かい声援でモリゾウさんを迎えられていたが、今回の決定にその声援は何か影響しているか?

モリゾウ

鈴鹿に行ったときの話ですが、実は、私と平川選手、小林可夢偉選手、中嶋一貴選手と4人で歩いていました。ところが観客からは「モリゾウさん」としか声をかけられないんです。

そこで3人に「君たち大丈夫? 現役でしょ? 僕はレーシングドライバーでもないよ」と。

そのとき思ったのは、「私よりもハンドルに近い人間が、もっと主役にならなきゃいけない」「主役の場所をつくってあげなきゃいけない」ということでした。

それと、F1の会場に行ったときです。皆様もご存知のように、私はトヨタでF1をやめた人間なので、(あんなに)ウェルカムな雰囲気で迎えられるとは正直思っておりませんでした。

ですから余計に、世界への道(がないか)、若い人たちが夢を追える勉強がどこかでできないかと思っていました。

そうしたときに、今回の話がありました。鈴鹿に行ったときは、まさか今日、こういうことをやるなんて、お互い全く思ってもいませんでした。

――F1に再参入ではない形で関わるということだが、F1の技術をどう市販車に生かしたいと思っているか?

モリゾウ

私はクルマ屋です。社長になってから、ずっと言い続けている言葉が、「もっといいクルマをつくろうよ」という、この一言だけだったんです。14年間社長をやり、トヨタのフルラインの商品ラインナップが、「私のガレージに並べたいクルマに変化してきた」とよく販売店さんから言ってもらいます。

GRカンパニーのクルマは、モータースポーツを起点にしたもっといいクルマづくりというところが起点になってくると思います。

ドライバーだけの道をつくればいいわけじゃなく、クルマをつくるエンジニア、レース活動を支えるメカニック、それから、いろんなスタッフなどもいて、モータースポーツは成り立っています。

Haasさんは、言葉を選ばずに言えば、非常にコンパクトなチームだと思うんです。コンパクトなチームなのに、大恐竜(規模の大きいチーム)に向かって戦っているわけです。

そういうチームであるがゆえに、学べる環境はものすごくあるんじゃないかと思い、今回の第一歩を踏み出させていただきました。

ですが、これは時間のかかることだと思います。人が育つにも、世の中が変わるのも時間がかかる。

ですから、皆様方には、まずモータースポーツに興味を持っていただく、そして、その最高峰であるF1に対してリスペクトしていただく。長期的な応援体制をぜひよろしくお願いします。

――(2009年の)F1撤退が正しかったと思う理由は?

モリゾウ

当時は「もっといいクルマをつくろう」というより、「もっと大きな会社にしよう」というトヨタ自動車だったような気がします。

「もっと大きい会社をつくろうよ」と、目的が売上高とか利益などに行っていた会社に、F1のような活動はあまり適さないと、当時社長として判断しました。

今は、「もっといいクルマづくり」とか「モータースポーツを起点にしたもっといいクルマづくり」の会社に変革してきております。そこには、それを担う人が必要なんです。

長い間、モータースポーツ(F1)に絡ませなかったということもあり、ゼロから、もしくは、マイナスからになるかもしれませんが、人づくりから始めるトヨタの決意をぜひとも応援いただきたいと思います。

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