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2024.03.27

自動車業界7つの課題に正副会長がオーナーシップ 自工会会見

2024.03.27

自動車業界を取り巻く7つの課題解決へ、正副会長がオーナーシップをもって進める自工会。会見では業界を横断した取り組みが語られた。

課題解決へ官民一体

ここからは質疑応答。記者からは、新体制となった自工会が政府とどのように連携を取っていくのか質問が上がった。

片山会長

経産省と国交省、環境省を中心に、しっかりと連携を取っていくことになります。

前体制のときに、岸田(文雄)総理とのモビリティ懇談会という枠組みをつくっていただきました。そこで特に将来のモビリティ社会をどう実現していくか。現在考えている7つの課題とも密接に関係してきます。しっかりと国の長期ビジョンと手握りをさせていただく。基本的に既にレールは敷かれておりますので、そういう形でやっていきたいと思います。

また、「『②電動車普及のための社会基盤整備』の具体的な取り組みは?」ということについて、内田副会長が応じた。

内田副会長

やはりEVを購入しない理由の一つに、充電インフラへの不安があると思います。

こういった点で見ると、例えば新しい集合住宅に対しては、いろいろな制度を設けていただいています。しかし既存のもので見ると、日本で集合住宅にお住まいの方は約4割で、都内では約7割。その中で充電(設備)が設置されているのは、わずか0.06%

(集合住宅への)充電設備の設置負担軽減のための仕組みづくりや、維持コストの低減、また機械式駐車場への設置、この3つを優先課題に置きながら、政府とも一緒にいろいろな論議を重ねながら進めていければ、EVを買っていただくお客様の不安要素を少しでも変えていけるのかなと思っています。

「⑤国内投資が不利にならない通商政策」では、自動車業界としての取り組み方を問われた佐藤副会長。「アジアでは産業振興の視点を忘れてはならない」と話す。

佐藤副会長

7つの課題の一つとして取り組んでおります、バッテリーEVに関わる電池そのもののエコシステムを構築していく中で議論していることですが、これまでも日本の自動車産業は、特にアジアに関しては、貿易というより産業振興の視点を常に忘れずに取り組んできたと思います。

電池についても、官民一体となってアジア各国における産業振興の視点を持ちながら取り組んでいく必要があると思っています。

一方で、ブロック経済的な動きが多い中で電池もまだまだ進化の途中にあり、多様な形が想定されています。それぞれがバラバラに動いてしまうと、産業としての生産性向上や経済合理性を獲得していくのが大変難しくなりますので、ある程度日本で上流から下流まで一気通貫となったエコシステムをつくり、その仕組みをアジアに展開していく中で通商政策への波及効果を生んでいきたい。

日髙副会長には、「⑦業界を跨いだデータ連携」の面での課題について質問があった。

日髙副会長

ウラノス・エコシステムは順調に構築されており、4月頃から一部メーカーでサプライチェーンの部品メーカーを含めた運用トライアルが始まる段階まで来ています。

元々は欧州電池規則に対応するため、電池一つひとつに対してデータを集めて連携するシステムとして構築しましたが、非常に汎用性が高く、今後あらゆる用途に広げていけると思います。

いろいろな産業をつなぎながら、データ連携ができる基盤として、(ウラノス・エコシステムの)ユースケースを広げていくのが1つ目の課題です。

2つ目は、各社のコンフィデンシャリティ(機密性)の高いデータを共有する際、その機密性をどう守るかです。現在は各社の外に(データを)共有できる会社をつくり、その会社が機密管理をすることも考えています。

3つ目は、(ウラノス・エコシステムが)ワンインプットかつグローバルで適用されるようにすることです。

ウラノス・エコシステムと各地域・各国のデータ基盤をつなぐインターフェースについて官民挙げてコミュニケーションを取り、ワンインプットかつグローバルに使えるものにしていく。

欧州電池規則に対応するためには来年2月が(ウラノス・エコシステムによる電池トレサビ実施の)デッドラインだと思っていましたが、欧州電池規則の施行が想定より遅れており、恐らく25年の夏以降、半年ほど遅れての施行開始になるのではないかと思っています。

今回の会見では業界の枠を越えて、課題解決に向けた取り組みが進められていることが示された。さらに実効性を高めていくために、官民一体となった連携が深まっていく。

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