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2024.03.27

自動車業界7つの課題に正副会長がオーナーシップ 自工会会見

2024.03.27

自動車業界を取り巻く7つの課題解決へ、正副会長がオーナーシップをもって進める自工会。会見では業界を横断した取り組みが語られた。

副会長が注力する課題

②電動車普及のための社会基盤整備

内田誠 副会長(日産)

自動車産業を取り巻く今の環境は大きく、急速に変化しています。新たな課題や競争相手も次々と登場しており、今までのやり方の延長線上では対応できないケースが多いと思います。

そういう面においては、先ほど片山会長がおっしゃったように、我々自工会における会長副会長が一丸となり、どう協調領域を広げながら、個社の競争領域を守り、我々の競争力、日本の力を出していけるかが一番のポイントだと思っています。

そういう中で私は7つの課題のうちの2つ目「電動車普及のための社会基盤をどう構築・整備できるか」に取り組んでいきたいと思っています。

まだまだ日本における電動化比率は高くありませんので、これからの日本でどう(電動化を)促していけるかを関連企業と話をさせていただき、政府とも連携しながら進めていければと思っています。

「日本の競争力をどう出せるのか」という点においては協調領域が多くあるかと思います。正副会長の中で話をさせていただきながら自工会として方向性を出していければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

③国産電池・半導体の国際競争力確保

三部敏宏 副会長(ホンダ)

私は7つの課題のうち、半導体の領域について取り組みを進めていきます。

ここ数年で自動車製造における半導体不足が問題となりました。半導体の中でも「レガシー半導体 * 」さらには「アナログ半導体」という、自動車にとっては基幹の半導体について、今後需要もさらに拡大することで、それにうまく対応し、安定調達を確保したいという狙いで取り組んでいきます。

*主に自動車、エネルギー開発、インフラ関連(BtoB)などの分野で使用される、非先端プロセスを用いた半導体。

特に自工会だけでは完結できませんので、自工会並びにティア1のサプライヤー、商社、半導体メーカーの皆さまにも広くご協力いただいて、官民一体となった企画検討を進めていきたいと思います。

④重要資源の安定調達/強靭な供給網の構築、⑤国内投資が不利にならない通商政策

佐藤恒治 副会長(トヨタ)

特に7つの課題を中心に大変精力的な議論が進んでいると感じています。

副会長間の連携、テーマを跨いだ連携も多々ありまして、ある一定の進化を見せているのではないかと感じています。

7つの課題について私が取り組んでいますのは、「重要資源の安定調達」「国内投資が有効に活かせるような通商政策への反映」です。

昨年のG7(サミット、主要国首脳会議)で発信した、日本らしいカーボンニュートラルのあり方、マルチパスウェイ。これを基軸に置きながら、その一つの手段であるバッテリーEV(電気自動車)の普及・浸透に向けた大きなエコシステム(の構築)。材料調達から電池の二次利用、並びにリサイクル。このような大きなサイクルをしっかり描いていくことは非常に重要だと捉え、さまざまな課題の検討を進めています。

特に重要資源の調達につきましては、半導体についても安定した調達ルートを確保しておくことが非常に重要になります。三部副会長とも連携しながら、自工会全体でしっかり取り組むということ、並びに産業を跨いだ連携を意識しながら、具体的な取り組みに落とし込んでいきたいと考えています。

⑥競争力あるクリーンエネルギー

鈴木俊宏 副会長(スズキ)

片山会長を副会長、理事がしっかりとサポートしながら、全員が自動車業界の課題解決に向けて積極的に取り組んでいけるようにしたいと思っています。

自工会としてワンボイス、原理原則に基づいて正しい情報を発信できるようにしていく。そして異業種も巻き込みながら日本の発展に寄与できるように頑張りたいと思っています。

7つの課題では、競争力あるクリーンエネルギーということで、カーボンニュートラル燃料の早期実装を目指したいと思っています。

自工会がマルチパスウェイで取り組んでいる中で、多様な選択肢の一つ。とはいえ、商用化および普及拡大に向けては、課題が山積みだと思います。

自動車業界だけでなく、石油業界、他業界、経団連、政府を巻き込みながら、一つひとつの課題を解決していきたい。まずはやってみることが大事だと思っています。

⑥、⑦業界を跨いだデータ連携/部品トレサビ(トレーサビリティ)の基盤構築

日髙祥博 副会長(ヤマハ)

7つの課題に関して、私が担当しますのは、課題⑥「競争力のあるクリーンエネルギー」と課題⑦「業界を跨いだデータ連携や部品トレーサビリティー * の基盤構築」の2つです。

*製品の原材料の調達から生産、消費または廃棄までを追跡可能な状態にすること。

課題⑥は鈴木副会長と連携し、さまざまなクリーンエネルギーを競争力のある形で活用する環境を整え、マルチパスウェイを具現化していきたいと考えています。

また、課題⑦のIT基盤の話ですが、まずは目の前にある欧州電池規則にきちんと対応すべく、ITシステム「ウラノス ** 」を活用した電池トレサビを進めながら、「モビリティスマートパスポート構想 *** 」の実現を目指しつつ、経団連モビリティ委員会の企業の皆様と協力してデータ連携の輪を広げていきたいと考えています。

**ウラノス・エコシステム。経産省が中心となり、社会課題の解決に向けた企業や業界、国境を跨ぐ横断的なデータ共有やシステム連携を行うための、日本版データ共有圏構築に向けた取り組み。

***マイナンバーカードと運転免許証の一体化を契機に、人とクルマのIDをつなげて、さまざまなデータの統合や利活用を可能にするデータ連携基盤を構築する構想。

いずれにしても、7つの課題を推進しつつ、正副会長一丸となって日本の自動車産業を盛り上げていきたいと考えています。

また、自工会の永塚誠一 副会長は、難局を乗り越えるためにチーム一丸を強調した。

永塚 副会長

自動車業界を取り巻く環境は非常に大きく変化していまして、さまざまな課題が山積している状況です。今後とも自動車産業が基幹産業として日本の経済社会を支え続けるためにも、7つの課題を初めとする困難な課題にも真正面から向き合って、業界の垣根を越え、他の産業の皆様とも連携し、自工会チーム一丸となって対応していきます。

事務局を預かるものとしましては、これまで豊田前会長が自工会変革を通じて築いていただきました枠組みがございますので、この枠組みをブレない軸として片山会長をしっかりとお支えし、各副会長の皆様、理事の皆様とともに、この難局を乗り越えていきたいと思います。

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