
"超"大型新人ドライバー、小林可夢偉選手が初参加したラリチャレ豊田。モリゾウから一番近い取材場所としてコ・ドライバーを用意された自動車研究家 山本シンヤ氏がその様子をレポートした。
無駄のない可夢偉選手のドライビング
ラリー当日は快晴。開会式では「豊田市わがまちアスリート」に選ばれたモリゾウさんが挨拶。

ちなみに今回は選手ではなくデモランのドライバーの担当だが、ここでも可夢偉選手にモリゾウ流のおもてなしが。

「今回は小林可夢偉選手が『ラリー出たい!!』ということで愛車のGRヤリスを貸し、いつもは早川さんとタッグを組む山本シンヤさんを『コ・ドラにしたい』と言うので、早川さんは僕のコ・ドライバーのノリさん(勝田範彦選手)を貸してしまったので、僕は参戦できませんでした(笑)」と語ると、場内は爆笑。これには可夢偉さんもタジタジだった。

セレモニアルスタートを行い競技が開始。SS1は豊田スタジアム横の河川敷を使ったショートコースだ。コース自体は難しくはないが、スタート直後の8の字でいきなりミスコースと初参戦の洗礼……。

「サイドを使いながら回る8の字のパイロンスラロームで、あまりにシンヤさんが『上手上手!!』と褒めるので調子に乗り過ぎて余分に回ってしまいました(笑)」。
ただ、それを差し引いてもそれほど悪くないタイム(ミスコースのペナルティで公式記録は最遅タイム+10秒)。
SS2はトヨタテクニカルセンター下山内の特設ダート。こちらも難しいレイアウトではないが、起伏があるので先が見にくい上にコーナーのRが一定ではない曲者コースだ。
可夢偉選手はスタート順がほぼ最後尾なので、路面コンディションもかなり荒れていてスタート地点は段差ができるほど掘られている状態だった。
ただ、ここで可夢偉選手は2位との差を2秒近く離して全体ベストを記録!! しかし、途中の360度ターンでサイドの使い方を失敗してロスをしているので、それがなければもっと凄いタイムだったかも⁉
このコースは短いのでペースノート指示は最小限に留めたが、そのおかげでドライビングをジックリと堪能することができた。
そのドライビングは決して無理することなく“クルマなり”に走らせている。
ステアリングの舵角は必要なだけ、タイヤもスライドもするかしないかのギリギリの所を上手に使いながらと、とにかく無駄がないのだ。例えるなら、ダートなのに舗装路を走っているような感じ。
SS3は今回唯一の林道。道幅は狭い上にタイトなコーナーが連続するレイアウトで、レッキ時に可夢偉選手は「こんな所、本当に走るの?」と驚いていたほど。
ただ、いざスタートするとそんな心配をよそに快走。ちなみに初の林道にも関わらず、全体で10位以内に入るタイムだった。
舗装路では曲がりにくいクルマをねじ伏せることなく上手に曲げるコントロールは、実に清々しい。もちろん、筆者が夜なべして作成したペースノートの指示も役にたったと信じている(汗)。
SS3が終わり、サービスパークに戻るリエゾンの途中で、「シンヤさん、リエゾンではどこかに立ち寄ってもいいですか?」と。
指定時間にTC(タイムコントロール)に辿り着ければ問題ない上に、規則書にもNGの記述は見当たらない。
トイレかなと思い聞いてみると、「マクドナルドに寄りませんか? グラコロ出たばかりなので食べたくて(笑)。せっかくなのでチームメンバーのお昼も一緒に買って帰りましょう」と。