技能五輪金メダリストによる座談会。後半はリフレッシュ方法や、これから目指す姿について語ってもらった。また、彼らを導いてきた指導員の想いにも迫る。
2024年の技能五輪国際大会、全国大会で金メダルを獲得したトヨタ勢8人を集めて開いた座談会。前半は大会に臨む姿勢や愛用の道具について語ってもらった。
ここから話題は、訓練の合間のリフレッシュ方法や後輩に伝えたいことへ。ドライブ、アウトドア、折り紙…大舞台で闘う選手にもひと時の安らぎは必要だ。
そして、金メダル獲得という一つの節目を迎え、これから目指していく姿とは――？
座談会続きをどうぞ。
改善の種は他の職種に
――訓練の中で、他の職種の話を聞いたりすることはあったのでしょうか。
プラスチック金型・久保日暖（以下、久保）
直接話を聞きに行ったわけではないですが、プラスチック金型もパソコンで金型の設計を行います。製図工程の面でいくと、機械製図職種の森岡（優輝）先輩がよく知っているのでは？ と考え、「図面の書き方は大丈夫かな」とか、「もっと速い書き方はないかな」とか、指導員を通じて、コミュニケーションを取ることで、書き方や効率的な手順を学ばせてもらいました。
機械製図・森岡優輝（以下、森岡）
僕も久保のいるプラスチック金型に、指導員を介してですが、プラ型（プラスチック金型）しか持っていない情報を共有してもらって、（作業が）速くなりましたね。
僕は昼食を他の職種の人と食べているんですけど、そのときに最近の課題や作業の状況を聞いて、考え方を取り入れたりしています。
（試作モデル製作・水野碧泉さんを指して）加工系は、基本的に一品ものをつくり続けているので、作業がとても習熟していて、不要な部分をものすごく排除しています。そういういらない部分が、（機械製図なら）どこなのか、当てはめて標準作業として組み込んで、自分たちもより良くしていこうとしています。
――水野さんは加工系（試作モデル製作）ですが、自分の作業に集中して取り組まれていたのでしょうか。
試作モデル製作・水野碧泉（以下、水野）
そうですね。今年は事前に課題が公開されてからは、自分の力で全部やってやろうという気持ちでいました。最初の方は1人でやらせてほしいということを（指導員に）伝えて、1個目の課題をつくるまでは（誰にも）何も聞かずにやっていました。
それぞれのリフレッシュ方法
――すごく集中して課題に取り組まれていたということですが、気分転換などはどうされていましたか。
試作モデル製作・水野 7月ぐらいにクルマを買いまして、ドライブすることがリフレッシュ方法でした。
――他には、「こんな方法でリフレッシュをしていた」という方はいらっしゃいますか。
プラスチック金型・久保 中学まで水泳をやっていて、なので休みの日は疲れない程度に軽く泳ぎに行っていました。あとは（豊田市の）実家に帰って猫やウサギと遊んだり、五輪とは別のことを考えたりして、リフレッシュしていました。
メカトロニクス・唐牛桜河（以下、唐牛）
自分はどちらかというと、こういう（メカトロニクスのような）機械よりも自然の物が好きですね。クルマを買って遠出できるようになったので、近くの川で遊んでリフレッシュしてました。
実家 * の雰囲気に近いところが何カ所かあったので、故郷を思い返すじゃないんですけど、落ち着きました。
＊唐牛さんの故郷は青森県。徒歩3分ほどで田園風景が広がっているという。
――体を動かしていると聞いて、山崎さんは首を横に振っていましたが。
メカトロニクス・山崎颯大（以下、山崎）
もともと、アクティブな方で趣味も運動だったんですけど、どうしてもケガをしてはいけないので。メカトロニクスは全身使う競技で、どこをケガしても影響が出てしまうのでやめました。たぶんこの中だと一番地味な趣味だと思うんですけど、折り紙をやっていて。
一同 えぇ～。
メカトロニクス・山崎 そんなに驚く？ 折り紙って図面見て折るじゃないですか。メカトロニクスも、図面を見ながら（設備を）組み立てるんですけど、そこ（に通じるところ）があります。（設備の組立は）どうしても大きいものになるんですが、細かい部分を丁寧に合わせていく作業の積み重ねが、最終的に出来上がるものの見ばえに関わってくるところも（折り紙に）つながっているかと思います。
メカトロニクス・唐牛 何時間やっているんだっけ？
メカトロニクス・山崎 一番時間をかけたものだと8時間ぐらい。ずっとやってましたね。大会が終わったので、今は少しずつ体も動かしています。
