誰かに命じられたわけでも、仕事が残っているわけでもない。トヨタ社員が業務時間外に集まる理由とは?
既存の延長にないチャレンジを
かつてA-1に参加し、現在は運営の一員になった先進プロジェクト推進部の田中友実。
豊田社長(当時)の言葉「バッターボックスに立とう」でチャレンジへの憧れが芽生えたが、実行の一歩目が出なかったという。
田中
挑戦したくても「自分に何ができるのだろう」と考えるだけで、行動に移せずにいました。
何をすればいいのか、どうすればいいのかが分からない。そんな迷いがありながらも「まずはやってみよう、申し込むのも挑戦だ」と思い切ってA-1に参加。
新しい仲間と出会うことができ、世界が広がりました。
田中はA-1をきっかけに事業企画に興味をもち、手を挙げ続けたことで関連部署に異動。「現状に満足せず、A-1をより良い場所にするため私自身も成長し続けたい」と語った。
迷いがあっても、等身大の自分で殻を破る。
2023年最終プレゼン後のあいさつで、A-1発起人の1人である島貫はトヨタにそんな場があり続けてほしいと語った。
島貫
本当の課題はどこにあるのか、その問題が起こる真の原因は何なのか、それを解決するためにはどうすればいいのか。
どのチームも顧客課題を現地現物で捉え、アイデアの改善を重ねていた。トヨタの問題解決の本質が表れていたと思う。
自分を変えたい、世の中のために何かしたい。でも、やり方が分からない。
そんな人たちが想いを共有し、業務に関係なく互いに応援しあい、既存の延長ではないチャレンジができる場であり続けてほしいです。
起業、ボランティア、個人のキャリア。形は違っても、時間外の有志活動であるA-1をきっかけに実現したものは多い。
終了後のインタビューで島貫は「トヨタは“業務外のつながり”も重視してきた会社だと思います。だからこそチームワークを企業文化として醸成できた。A-1という時間外活動も、先の読めないこれからの時代における価値創出のモデルになってほしい」と人事目線での思いを語った。
私服の自分が変われば、その先に新しい価値が生まれるかもしれない。
既存の延長にないチャレンジを促し、まだ見ぬイノベーションを起こそうとするA-1に、これからも目が離せない。