誰かに命じられたわけでも、仕事が残っているわけでもない。トヨタ社員が業務時間外に集まる理由とは?
業務時間が過ぎたはずのトヨタの会議室。
何やら多くの人が集まり、プレゼンに耳を傾けている。
「共働き夫婦のコミュニケーション」「リラックス効果のあるアロマ」。
聞こえてくるのは、クルマづくりとは関係ないようなものばかり。いったい何が行われているのか?
阿呆(あほう)たちを応援
実はこれは、トヨタ有志が行っている社内ビジネスモデルコンテストだ。
クルマに限らない自由な事業アイデアを競う「A-1 CONTEST」。世の中を良くしたいと考える“阿呆”(A-ho)のナンバーワンを決める。
“阿呆”の由来は、豊田喜一郎がトヨタ創業当時に語った「こんな事業を向う見ずにやる者は、よほどアホーだと私自身も思っています。誰もあまりやらない、又やり難い事業をものにしてみる所に人生の面白味がある」という言葉。
創業から続くトヨタのイノベーションスピリットを、現代の社員で体現したい。そんな想いが“A”の一文字に込められている。
毎年約100人のトヨタグループ社員が参加。8月ごろにチームを結成したのち、約4カ月かけて顧客課題に向き合い、事業アイデアをブラッシュアップ。
12月に行われる最終プレゼンで、その年の優勝チームとアイデアが決まる。
今回トヨタイムズは、2023年の最終プレゼンの現場に潜入した。
地方活性化や買い物代行など、さまざまな事業が発表され、なかには試作品をつくってきたチームも。
リモートでの同時中継も行われ、幅広い職種と年齢層の社員が参加した。
最優秀賞の審査基準は収益性ではなく「顧客課題に真摯に寄り添っているか」。
2023年度は、どんなアイデアが優勝したのか。
答えは記事の後半で発表。ぜひ最後までご覧いただきたい。