野球のフォークボールと燃費の関係性?まさに変化球のような特殊な切り口。読むだけでクルマの見え方が変わるかも?
元プロが語る、メジャーリーガーの「おばけフォーク」
プロ野球でも捕手として活躍した、レッドクルーザーズの細山田武史コーチに、人生でもっとも驚いたフォークボールについて聞いてみた。
細山田
ニューヨークメッツで活躍している千賀滉大投手のフォークボールはすごかったです。
ソフトバンクホークス時代にバッテリーを組みましたが、球速がストレートと同じくらい速いうえに、ホームベースの近くで「グワン!」と急激に落ちる。あまりの落差に、ボールを後逸しないだけで精一杯でした(笑)
目には見えない空気の流れが、大きな影響を及ぼす。「燃費の良いクルマ」にも同じことが言えるのだ。
誰かに教えたくなるトリビアがたっぷり。2分ほどでクルマの空力に詳しくなれるので、楽しんでご覧いただきたい。
ボディ後方に台風が発生していた!?
クルマは、ボディ形状やエアロパーツなど、空気抵抗を考えて設計されている。
クルマの空気抵抗には2種類がある。「ひっくり返る傘」と「滑り台」をイメージすると、かんたんだ。
滑り台のように、接触する面(クルマでいうボディ表面)との間で起こるのが「粘性抵抗」。
クルマは走行時に空気とぶつかり続けている。そのためボディの表面積が小さいクルマほど、摩擦面が少ないので燃費は良くなる。
次は、強風で傘が裏返ってしまうように、空気の移動に逆らうことで受ける「圧力抵抗」について。
燃費を悪化させる要因にもなっているのだが、絵本のような動画で分かりやすく説明する。
前方は空気とぶつかって「高圧」に、後方は台風のように気流の渦が発生して「低圧」に。この圧力差が大きくなれば燃費は悪化する。
そのため、ボディ表面から気流が剥離せず後方まできれいに流れれば燃費は良くなる。
いつも目にしているクルマの形状は、これらの問題解決に一役買っている。具体例を紹介するのだが、今日からクルマの見え方が変わるかもしれない。
天井のアレの理由
見ていただきたい1つの例がリアスポイラーだ。動画を見れば一目瞭然。
渦がを後方に遠ざけることができるので、燃費向上を図れるのだ。ちなみにスポーツカーのリアスポイラーは、ダウンフォースを発生させて操安性も向上させており「渦」対策以外の役割としても装着されているようだ。
これらのパーツを、ただのファッションのように思っていた方も多いだろう。空気抵抗を減らすために工夫は、皆さんがいつも乗っているクルマにも多数詰め込まれているのだ。
自分たちの仕事は楽しい、という誇り
今回の記事のように、難しい技術の話を、興味を持たれやすい話で例え、一人でも多くの人に「モノづくりの楽しさ」を伝えようとする取り組みがトヨタの中で行われている。
1949年、モノづくりの楽しさを広めるべくトヨタの技術者たちで構成される「トヨタ技術会」が、社内で情報誌を創刊。現在は会員に向けたwebマガジンになっている。
「ラグビーのタックルから考える衝突安全」「絶対にうまくいく車内プロポーズから考える愛される商品」など企画は様々だ。
「もっといいクルマをつくろう」。そのためには新しい挑戦が必要であり、いくつもの難題がある。しかし、問題が難しいほど乗り越えていく醍醐味があるのだ。
今日も、モノづくりを心から楽しむ技術者たちが、それぞれの現場で何かをつくり出しているだろう。