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モリゾウがリーク連発! ニュースだらけのWRCトークショー

2022.12.01

トヨタの地元・愛知県豊田市で行われた草ラリーのトークセッションに、5人のドライバーが登壇! ラリーファンにとって豪華すぎるステージは、サプライズ満載だった。

WRC(FIA世界ラリー選手権)と同じ場所を拠点とした草ラリー大会「TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジ in 豊田」が、ラリージャパンの翌週末の11月20日に開催された。

メジャーリーグに例えれば、ワールドシリーズが終わった翌日に同じ球場で草野球の大会が開かれるようなイメージだろうか。

そんな地元のラリー祭りを「トヨタのラリーチーム代表であるヤリ-マティ・ラトバラ」、「弱冠22歳でチャンピオンになった最年少王者カッレ・ロバンペラ」、そして「母国の世界戦で3位表彰台を掴んだ勝田貴元」の3名が、帰国を遅らせて盛り上げてくれた。

今回は、この3人が登場したトークセッションについてお伝えしたい。セッションは意外なスタートを切った。

司会者はなんと!?

「ただいまよりWRCドライバーを招いたトークショーを始めていきたいと思います。それでは、司会の方よろしくお願いいたします」

そのアナウンスで登場したのは、マイクを握ったレーシングウェア姿の豊田章男社長。自ら「こんにちは。“司会”の豊田章男でございます」と紹介した。

司会が一人ずつ紹介していき、壇上には(司会も含め)5人のラリードライバーが揃った。最後の一人は勝田貴元の父であり、全日本ラリーで過去に9度王者に輝いている勝田範彦選手である。

左からモリゾウこと豊田社長、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのラトバラ代表、 ロバンペラ選手、勝田貴元選手。一番右が貴元選手の父であり、全日本ラリー9度の王者を誇る範彦選手
モリゾウ(豊田章男)

まず、このメンバーが、ここにいてくれること、本当にありがたいと思います。日本のファンの感謝を伝えるために、皆さんちょっと拍手で迎えていただけますでしょうか。

今年もドライバーズチャンピオン、コ・ドライバーズチャンピオン、そして、マニュファクチャラーズチャンピオンを2年連続で獲ってくれました。(チーム代表の)ヤリ-マティ・ラトバラさんから、ぜひ今シーズンの振り返りをお願いしたいと思います。


このトークセッションは、本当に「司会 豊田章男」で続いていく。

ラトバラ

アリガトウゴザイマス、アキオサン。そうですね、この2022年のシーズンはひと言で言うと「アメイジング」だったと思います。

可能な限りの全てのタイトルを獲得することができました。それから勝田貴元について言えば、実は「2回表彰台にのぼる」という目標を設定していたんですが、彼は本当に2回表彰台にのぼりました。

モリゾウ

ありがとうございます。次に、今年、ワールドチャンピオンに最年少で輝かれましたカッレ・ロバンペラ選手です!

彼は8歳からドリフト(走行)をやっています。ですから、年は若いんですが、ラリー経験は非常に長いドライバーでもあります。今シーズンどうでしたでしょうか?

ロバンペラ

皆さん、こんにちは。もちろん、今年は私たちにとって、そして、私にとって、とても良い年だったと思います。

「2年連続チャンピオンが守れるかどうか?」というチャレンジの年だったんですが、きちんとチャンピオンになることができました。

また、今年は、ハイブリッドのRally 1(規定)のクルマの最初の年でした。早い段階で、クルマのことを学べ、上手く乗れるようになったと思います。

チームにとってすごく良かった年ですし、私にとっても、もちろん良い年でした。

たしかに若いチャンピオンなのかもしれませんが、モリゾウさんがおっしゃったようにラリーのドライビングは8歳からやっていますので、結構経験はあるかなと自負しています。

WRCドライバーが走った日本の道

司会は若いチャンピオンに「日本の道」の感想を聞いた。

ロバンペラ

はじめて日本でラリーを経験しました。ほとんどのWRCドライバーにとっても、はじめての道だったと思います。その感想を言うと「とても難しい道」。色々なことを求められる「ディマンディングな道」でした。

道幅は狭いですし、すごくテクニカルで、自分のテクニックも必要になる道でした。そして、コンディションとしては「トリッキー」。でも、ドライバーとして、すごくチャレンジングな道です。

グリップについても「どうやってマネージしたらいいのか?」「どうグリップを活かすのか?」「どうグリップを感じていったらいいのか?」など、色々とこの道について学びながらでした。

ステージによってもコンディションも違いましたし、そうですね…、トリッキーな難しい道でした。

トリッキーという言葉が何度も出てきた。チャンピオンをもってしても、日本の道は「チャレンジングな難しい道」ということだ。「そんな道をまた走ってみたいか?」と豊田社長が聞く。

ロバンペラ

もちろん! 他のドライバーたちも皆そう思っていると思います!私たちTOYOTA GAZOO Racingにとっては、ホームグラウンドですので、日本は本当に大事です。

それに加えて…、ドライバーはチャレンジが大好きです。そういった意味でも、またもちろん戻ってきて、日本の道を走りたいです!

豊田社長は地元出身の勝田貴元にも「道」の感想を聞いた。

貴元

やはり日本の道はヨーロッパの道と比べると、カッレが言ったように、すごく狭くて、テクニカルな難しい道が多かったです。

もちろん広い道もあったんですけど、70~80%ぐらいが、林道と言われる“すごい狭い道”だったので、そこのグリップの変化を読むのが非常に難しくて…。

僕も全日本ラリーに過去数戦だけ出た経験があるんですけど、そのときとはクルマも違い、タイヤも違うので、景色が全く違ったように感じました。

Rally 1カーって、どうしてもワイドですし、パワーもすごくあるので、そのパワーをうまく使うのが難しかったなと感じています。

司会“豊田章男”だからこその会話

司会者“豊田章男”は、登壇するメンバーにとっては自分たちの雇い主“チームオーナー”である。しかし、会話を聞いていると、そんな関係には思えない。

ドライバーのことを一番よく知る人が、トークを進行すべく、マイクを握って出てきたという感じである。勝田貴元選手のことも普段から“タカ”と呼んでいる。タカのことをファンに紹介するのかと思いきや…。

モリゾウ

タカはね、元々サーキットドライバーなんです。フォーミュラをやっていて、その経験が今こうして(活きているんです)。

WRCで走れるようになり、来年からは“ワークスチームメンバー”になるということもあるんですけど、今までの経験がどう活かされてきたのか? ラリーとサーキットレースの違いはなんなのか? そして、どっちがタカとしては好きなのか?

貴元

なかなかストレートな質問ですね(笑)。

モリゾウ

こういうのは僕しか聞かないから(笑)。

貴元

そうですね…。モリゾウさんがおっしゃったように、日本の道を走ってみて、いろんな経験をしていく中で、来年からは新たなチャレンジとして、ワークスの一員として走らせていただく場も増えるので、僕は、とにかく、そこで自分の実力を出しきれるように全力を尽くしたいなと思っています。

レースの経験は、最初の頃は、どうしても、ラリードライバーになろうとすることに対して、ネガティブな方向に働いてしまっているのかなって感じるときがありました。

サーキットだと、同じところをラップしているので限界にトライをしても、ある程度“小さなミス”で済んじゃうんですけど、ラリーの場合、それをやっちゃうと、崖から落ちたりとか、木に当たったりしてしまうので、それが原因でクラッシュも多かったです。

でも、WRC2(一つ下のクラス)からトップカテゴリに上がってきてからは、データの見方もなんですけど、サーキットの経験が、すごく生きる部分も増えてきているので、僕としては、カートから、フォーミュラまで経験していてよかったなと、すごく思っています。

あとは、カートの動きって結構クイックで、すごくダイレクトなんです。そういった経験もすごく大事だったんじゃないかなと感じていますね、個人的に…。

勝田貴元は2015年にサーキットレースからラリーに転身し、当初はフィンランドの国内ラリーで修行を積んだ。その頃はコースオフも多く、本人が言うように「崖に落ちたり、木に当たったり」を繰り返していた。

当時、彼の運転席には「完走第一!」「タイムは気にしない!」と貼られていたほどである。

「貴元がコースオフしてリタイヤしちゃいました…」

当時、豊田社長にも、その知らせは逐一届けられていた。その度に「体は大丈夫か?」「焦らず、まずは完走!」「ゴールにクルマを届けられないドライバーはダメだ。とにかく走りきって」。そんな言葉をかけ続けていた。

その頃から貴元のことを見続けている豊田社長は、ある意味、父親のような存在なのかもしれない。“だからこその会話”がステージ上からファンに披露されていた。

その後、司会が、話を貴元の“本当の父親”に切り替える。

モリゾウ

タカは、今回(ラリージャパンで)表彰台を獲れましたけど、最後のパワーステージは、クラスの違うお父さんよりも遅かったですよね?

貴元

そうなんですよね。後からタイムを見て、衝撃を受けました。 僕の5秒ぐらい速かったんだっけ?

5秒ぐらい僕の父の方が速かったんで、これは来年のシートが危ういなと…。

モリゾウ

あのシート(WRCドライバーの座)が危ういのは、僕も狙っているからだよ(笑)。

貴元

そうなんですよ! 狙っている人が多いんで…(笑)。言われるまで気づかなかったんですけど、言われて見てみたら、父の方が速かった…。

WRCの勝田(息子) vs 全日本の勝田(父)

貴元の“本当の父親”は全日本ラリーで9回チャンピオンを獲ったドライバーである。最近では、豊田社長(モリゾウ)がラリーに出るときのコ・ドライバーにもなっている。

モリゾウ

ラリージャパンは12年ぶりに日本に戻ってまいりました。それまでは、三菱さん、SUBARUさん、スズキさんが、このWRCに出場をされていました。ですから、今回トヨタとしては、はじめてのWRC参戦になったわけです。

その間、ずっとSUBARUのドライバーとして、そして、今はTGRのGRヤリスのドライバーとして、全日本ラリーに参戦いただいています。

“タカのお父さん”に全日本ラリーとWRC の違いを教えいただきたいと思います。あと…「息子さんの評価」も(聞いてみたい)ですね。

範彦

皆さんこんにちは。勝田貴元の父の範彦と申します。今は「全日本ラリーに出ている勝田です」っていうよりも「勝田貴元の父です」って言った方が、なんか知ってもらえるんですよね…。

嬉しい反面、ちょっと悔しいな…っていうのもありますけれども、親としては、本当に嬉しい限りでございます。

全日本ラリーに、ずっと参戦しておりまして、25年間SUBARUに大変お世話になっていました。

GRヤリスの開発で、ちょっとアドバイスをしていたんですけれど、その流れでモリゾウさんからオファーいただきました。

僕も引退を考えていたんですけど、最後のチャンスだなと思って、トヨタに移って、GRヤリスで全日本ラリーを戦うことになりました。

デビューイヤーの“できたてのクルマ”っていうと、トラブルも多くて、優勝とか良い成績を望めないんですけど、モリゾウさんのいう「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を、開発主査の齋藤(尚彦)さんやエンジニア、メカニックがしてくれました。

そのおかげで、とことんGRヤリスが鍛えられて、デビューイヤーでもチャンピオンを獲ることができました。これは本当にチームのおかげだと思いました。

僕はクルマをドライブするだけで、本当に乗りやすいクルマに仕上げてくれたんだなって思っています。

あと WRC…。待ちに待ったWRCがやっと開催になりまして、僕も出場しました。

おそらく貴元の影にずっと隠れていたと思いますけれど、出てみた印象はですね…、全日本ラリーといえども、WRCと比べると、大体半分以下の距離なんです。

なので、こういった長いラリーには、なかなか出られる機会がなくて、どうなるかなと心配だったんです。

ただ、レッキから「すごい、これがWRCだな!」と。その距離感といい…、雰囲気といい…、沿道で手を振ってくれるギャラリーの方もいれば…、会場に来ていただけるファンの方も多い…。

これぞWRCだな! これは絶対に続けていかないといけないな! WRCが本当に日本に来たんだな! っていう思いで、なんか気持ちがいっぱいになっていました。

あと、昔、自転車で色々走り回っていた道を通ったりとか、すごく思い出に残りました。

息子の評価はですね…。パワーステージで、僕、勝ちました。皆さん、拍手をお願いします!

これにはさすがに息子がカットインしてきた。しかし、もう一人の父親はさらに厳しい…。

貴元

言い訳していいですか! 言い訳していいですか! 父はレインタイヤ4本! 僕はレインタイヤ1本でした!

注)ラリージャパン最終日は雨。ドライ路面用のタイヤを多めに選択していた貴元には不利な状況だった。

モリゾウ

でも、(そもそもの)クルマの性能が違うじゃん!

注)貴元はWRC用の車両、父範彦は全日本ラリー用の車両で、ラリージャパンに参戦。

貴元

クルマは僕の方がかなり速いです。

モリゾウ

タカはプロフェッショナルだからね…。

範彦

そうですね。モリゾウさんは僕のシートも狙っていますし、貴元のシートも狙っています。僕は貴元のシートを狙っているんで、3人で一緒に頑張りましょう!

かわいがられる息子に、最後は実父が助け舟を出すように話を落ち着かせていた。

WRCドライバーよりモリゾウは速い!?

豊田社長は話題を変えていく。

モリゾウ

今回、ジャパンラリーが最終戦だったということもあって、翌週のラリーチャレンジまで、彼らは残ってくれていました。この1週間、一体、どういう生活をしていたのか。その辺りちょっとご紹介いただけますでしょうか?

ラトバラ

ラリージャパンが終わった翌日、“私たちにとってとても大事な日”だったんです。

朝はトヨタ博物館の見学に行き、その後「モリゾウチャレンジ」といったものがありました。これはモリゾウさんと私たちドライバーとが対決をする重要な大会です。

GRヤリスと86に、1回ずつ乗って(ダートコースで)戦ったんですけれども、一番、大切だったのは「自分 vs モリゾウさん」だったんです。

GRヤリスで走った1台目のとき(1回戦)は、結構うまく走れて、モリゾウさんより2秒速かったんです。なので「よし!」と思っていたんですけど…、2回戦の86での走りがダメだったんですよ。結果、トータルで負けてしまいまして…。

でも、ここ、大事なところなので、ちゃんと言いますけど、負けたのはわずか0.09秒差だったんです!

僕は負けちゃって本当にがっかりしてるんです。ですが、ひとつだけ言いたいのは…、負けたのは私だけじゃない‼ カッレもモリゾウに負けました‼ なので、皆さん! モリゾウさん本当に、すごいドライバーなんですよ‼

モリゾウ

僕に勝ったのはエバンスさんだけです(笑)。

周到な作戦でWRCドライバーに勝っていた

モリゾウは“いかにして勝ったか?”を披露した。

モリゾウ

世界レベルのプロに勝つためにはですね、普通に戦っては負けるんですよ。

だから、彼らは初めての道でしたが(下見は)1回しか走らせない。しかも、下見ではハンドルを握らせない。ただ、彼らは、新しいクルマでも、新しい道でも、瞬時に自分のものにしていました。

一方、私にとって、そこのコースはGRヤリスを鍛えてきた場所でもあり、そのコースを知り尽くしています。そういう中での戦いだったというわけです。

それに、1回戦と2回戦の車種を変えるというのも、彼らには言っておらず、乗る直前に告知をしました。このくらい(のハンデを)しないと、この差にはならないということを、ぜひ皆さんによく知っておいていただきたいな…と思います。

社長のリークがはじまった

続けて、ラトバラがなぜ「直接対決が一番大切」と言ったのかを解説した。

モリゾウ

実は“ラトバラさんと私”には、個人戦がありまして…。富士24時間レースでも(ラップタイムで)「どっちが勝ったか?」をやっていました。そして、今回が第2戦になるんですね。

スーパー耐久ではドローで、今回は私のホームグラウンドで勝ちました。そして、第3戦は来年、フィンランドで氷の上で戦おうと思っております。

ここでサラッと1発目のリーク。「モリゾウ vs ラトバラ 氷上ドライブ対決 @フィンランド開催決定」というニュースが出てきた。そして、話は続く…。

モリゾウ

勝つと何を賞品としてもらえるか…。彼が(WRCに)出場していたときのクルマを賭けています。

実は(ラリージャパンの)岡崎でのSS(スペシャルステージ)のとき、ちょっと、タカとカッレと私が話す時間がありました。

そうしたらカッレが「自分でミュージアムを持っている。ぜひそこに飾るために“今年のチャンピオンカー”をくれないか?」と僕に言ってきました。

なので、そのときは「いやいやいや、簡単にもらえないんだよ。ラトバラさんだって、僕と戦いながら揃えようとしているんだからね…。だから僕に勝ったらね!」っていうことだったんです。

ですが、彼は世界チャンピオンですので、そのご褒美として差し上げました。ただ、ラトバラさんにはまだあげていません。

2発目が飛んできた。「カッレ・ロバンペラへのチャンピオンのご褒美は今年乗っていたRally 1カーそのもの!」。そして、話はまた続く…。

モリゾウ

いつかはね、GRヤリスのカッレ・ロバンペラ エディションとか、そういうのも計画していこうかなと思っております。

「モリゾウエディションがあるならば、カッレ・ロバンペラ エディションがないのは、おかしいんじゃないか?」と多くの方が感じておられると思いますので、ぜひともそんなトヨタ自動車にもご期待いただきたいと思います。

続けて、3発目!「GRヤリス カッレ・ロバンペラエディション発売決定!」

今後どういう商品を出していくかは企業の機密事項。普通なら「商品計画についてはお答えできません」と返ってくる。しかし、社長自らが“聞いてもないのに”話してきた…ということで非常に期待できるニュースである。

3連発では終わらない社長のリーク

話は、まだまだ続く…。

モリゾウ

ところで、先ほどデモ走行があったんですけど、ラトバラさんと私が運転していたのはRally 2という(規定でつくられた)クルマです。

Rally 1というのは、ワークスで彼ら(ロバンペラや貴元)が出ているクルマです。そして、(その下のカテゴリーとして)Rally 2、Rally 3、Rally 4があるんです。

Rally 2以降は、ほとんどプライベーターが参加しているんですが、トヨタ自動車は、そこにクルマをまだ出しておりません。そんなクルマが今日の“あの黒いクルマ”で、ラトバラさんと私がデモしたクルマなんです。

来年は“勝田お父さんの方”が、あのクルマで全日本ラリーに出場をするんですが、その全日本ラリーを盛り上げるために、ラトバラさんに北海道の全日本ラリー選手権に、ドライバーとして、参加いただく内諾も得ております。

我々の個人戦で決着がつかなければ、そこでの勝敗も、大きく影響するポイントになるんじゃないかと思いますので、その辺も含めて、ご関心いただきたいと思います。

勝田父のRally 2での全日本ラリー参戦は既にリリースされていたが、ここにはさらに2つのニュースがあった。

「ヤリ-マティ・ラトバラが全日本ラリー北海道戦(ラリー北海道)に出場!」。そして、「モリゾウもラリー北海道に参戦! フィンランドの次の直接対決は北海道!」。

負け嫌いなチーム

4発目と5発目を連発したところでリークはいったん収まった。ラトバラが話し始める。

ラトバラ

どんどんどんどんプレッシャーが高まっているんですけれども、なんとかこのプレッシャーに勝っていきたい、なんとかしていきたいと思います! モチベーションはすごく高いです! この“モリゾウファイト”に、私が挑むモチベーションはとっても高くなっています!

ただ、皆さんに、もう一度言いますと…、本当に、本当にモリゾウさんはすごくいいドライバーなので、私もベストを尽くして、臨まなければいけません。本気で勝ちを狙いにいきます。私にとって本当に大事な“あのクルマ”が本当に欲しいので、本気で頑張ります!

Rally 2カーでラリー北海道に参戦することができる機会をいただけたこと、大変光栄に思っていますので、もう一度感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。

モリゾウさんとの対決がいろんなところであり、大変なんですけれども、私は“楽しんで”います!こういった戦い、“大好き”です。このチームは全員がそうなんですけど、負けるのが大っ嫌い! 負け嫌いです!

モリゾウ

本当にそう思います。蒲郡の戦いでも、「世界レベルの彼らが誰相手に本気になっているのよ?」(という感じで)、驚くほど負け嫌いのメンバーが(トヨタでラリーを)やっております。

ただ、負け嫌いだからと言ってもですね…「いいクルマづくり」そして「ファンの方々への接し方」というのが、実に素晴らしい。チームワークのあるラリーチームだと思います。

そんなチームであるのも、ラトバラさんがチームプリンシパル(チーム代表)であって、自らがそういう態度をして、いろんな方に見せていて、若いメンバーやレジェンドドライバーに、いい影響を及ぼしているからかなと思って、チームオーナー(モリゾウ)としては、感謝申し上げたいと思います。

リーク連発から読み解けたこと

このトークショーの2日前、トヨタは来年のラリー参戦体制をリリースしている。このリリースには「①勝田貴元のワークス昇格も含むWRCの参戦体制」「②Rally 2(開発中)での勝田範彦の全日本ラリー参戦」「③スポーツ自動変速機(開発中)での眞貝知志選手の全日本ラリー参戦」、そして、「④草ラリー大会ラリーチャレンジの開催日程」と、ラリーに関するトップからボトムまでが網羅されていた。

今までも、全てのカテゴリーに携わっていたが、今回注目したいのは「どのカテゴリーにも対応する“お客様向けのクルマ”をつくろうとしている」ということである。

トークショーにも出ていたRally 2は上級者向けではあるが、豊田社長はRally 3、Rally 4のことも口にしていた。

注)数字が大きいほどスペックは低くなり、幅広い人が扱えるクルマになる。ちなみに2と3までは4WD、4は前輪駆動。

また、スポーツ自動変速機はアクセルペダルとブレーキペダルだけの“2ペダル車”。すなわち、クラッチのないクルマである。ラリービギナーがラリーに参戦しやすくなるための商品を開発中ということである。

注)ちなみに、リリースには記載されていないが、トヨタ自動車の早川茂副会長は、このスポーツ自動変速機のついたGRヤリスでラリーチャレンジに参戦している。

リリースに記載されたコメントでも豊田社長は「“自分たちが勝つためのクルマ”ではなく、“お客様が勝つためのクルマ”への挑戦です」と語っていた。ロバンペラエディションも含め、GRヤリスはさらに広がっていきそうである。

最後のニュースは…

トークショー終盤、司会の豊田章男は、観客に向けて「ラリージャパン、これで終わってほしくないですよね!? 続けたいですよね!?」と呼びかけた。

そして、観客席に豊田市の太田稔彦市長がいるのを見つけると、「あそこに豊田市長がいるんですけど…、ちょっと上がってきてもらえますか?」とステージに呼び込む…。

注)豊田市は、2023年以降のWRC開催の主催となるべく「FIA世界ラリー選手権日本大会開催準備委員会」を設立している。

モリゾウ

突然ですが、豊田市長です。市長は以前からね、豊田市のいろんな道、そして、この日本の道、これをWRCの国際映像として世界の方に見てほしいとご希望されていましたよね。

太田市長

はい。

モリゾウ

今回どうなんでしょう? そのお気持ちはどのくらい達成できたんでしょうか?

太田市長

先ほどの(ドライバーの)コメントをお聞きすると、狭くて、くねくねしていて走りにくいと。あの話を聞いちゃったもんだから、ちょっと喋りにくいんですけれど…。

貴元

いい意味ですよ! いい意味です! いい意味で…。

太田市長

どこがいい意味なんですか(笑)。だけれど、日本の山道ってなぜ走ることができるかといえば、そこに暮らしがあるからです。

山の人たちが、水や空気やそして町の人たちの癒しだとか、そういう空間を提供しているのが、日本の山なんです。

その山の価値をぜひ国内外の人たちにしっかり届けて、もう一度、私たちにとって、山がどんなに大切なのかということを、みんなで考える機会にしたいという…。

豊田社長は市長に直球を投げ込んだ。

モリゾウ

(ラリージャパンは)来年あるんですか? ないんですか? やってくれます?

太田

こんなにファンが集まっていて、来年ありませんなんて言ったら、(ファンの皆さん)石投げるでしょ!? ぜひ、続けたいです!

モリゾウ

そうですね。続けてやるためには、やっぱり皆さんの応援が必要だと思います。

カーボンニュートラルとか色々あります。ですけど、やっぱり、この世の中にはクルマ好き、運転大好き、クルマづくり大好きの人間もたくさんいるわけです。

そんな世界を続けていきたいと思いますので、今年以上の応援を…。彼ら頑張ってまいりますので、ぜひとも今後も応援をよろしくお願いして、このトークションは終わらせていただきたいと思います。

11月25日、来年のWRCのカレンダーが発表された。ラリージャパンは11月16〜19日、今年と同じ“最終戦”として記載されている。来年も、また彼らの走りが、日本で見られることになる。

その先のことは分からないが、ラリージャパンが日本の秋の風物詩になっていってほしい…と心から願っている。

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