「カーボンニュートラルと未来のエネルギーについて、考えるきっかけをつくりたい」。会社の壁を越えて実現した小学生への特別授業を取材した。
ミライのエネルギーを考えよう
次に、子どもたちの自由な発想で、未来のエネルギーについて、アイデアを出してもらい、そのキャラクターを考えてもらった。
短時間に次々とアイデアを生み出す子どもたち。
「笑い」、「絶叫」、「クルマの振動」、「愛」、「ブランコの動き」、「楽器の音」、「摩擦」などエネルギーのアイデアが子どもたちから出された。
こども未来会議で出されたアイデアは、いろいろなパーツを組み合わせることで、どんなものでもつくることができるレゴ®ブロックを使用し、一人ひとりが考えたミライのエネルギーのキャラクターをつくる。
思い思いのキャラクターが、柔軟な発想でつくりあげられていく。
つくったキャラクターは、特別なレゴでつくられた未来のクルマの前に近づけると、そのキャラクターのエネルギーを表現する仕組みだ。
ドア部には、キャラクターに合わせてスマイルや音符のライトが点灯し、クルマの後部からは疾走感を表すブロックが飛び出すようになっている。
グループ発表では、選んだエネルギー、キャラクター名、特徴、キャラクターのテーマとなる決めゼリフが紹介された。子どもたちのユニークで柔軟な発想も相まって、教室は大いに盛り上がった。
この柔軟な発想で現在はエネルギー化できていない意外なエネルギーが、近い将来誕生するのかもしれない。
出張授業の先生を代表して、レゴランド®・ジャパンの田中さんから今日登壇した先生全員の想いが伝えられる。
「自分たちが未来にできることは何だろうと考えるきっかけになれば、うれしいなと思っています。それを考えることこそが、素敵な未来につながることになると信じているからです」
授業の終わりにサプライズで水素エンジンカローラクロスが校内に運び込まれていることが発表され、カーボンニュートラルの授業を受けたばかりの子どもたちは、興味津々で水素エンジンの説明に耳を傾けた。
本物の水素エンジンを見たあとに、授業は教務主任の先生の言葉で締めくくられた。
「いろいろなことや社会が変わっていこうとしています。みんなも今日つくったエネルギーのように、(自分たちの)力をこれからの未来に活かしていってほしいと思います。みんながカーボンニュートラルを実現する一人なので、頑張っていってほしいと思います」
好奇心旺盛な生徒たちを前に教壇に立った高橋部長は感想をこう述べた。
高橋部長
カーボンニュートラルは難しい題材ですが、最後にはみんなが笑顔で帰ってくれたのが一番印象に残りました。発想豊かに、(授業でも)いろいろなエネルギーのアイデアがたくさん出ましたが、子どもたち一人ひとりが、自分たちの将来について考えるきっかけをつくることができ、やりがいがありました。授業をやらせてもらって良かったと感じました。
敵は内燃機関ではなく、炭素である
また後日、子どもたちからアンケートが届いた。
「敵は内燃機関ではなく、炭素である」
豊田社長のこの言葉の意味は、カーボンニュートラルの授業を通して子どもたちにも確実に伝わっている。
この出張授業は石浦選手だけでなく、ROOKIE Racingでモリゾウ選手とともにGRヤリスで走り、早い時期から水素エンジン車にも乗ってテストしてきたレーシングドライバー佐々木雅弘選手も先生を務め、今後も続いていく。