出張授業で子どもたちと考えるカーボンニュートラル

2022.09.26

自分たちが未来のクルマをつくれるようになりたい

「自分たちが未来のクルマをつくれるようになりたいと思いました」

「(未来のクルマをつくるためには)数学と理科ができないといけないと思うので、得意になって(安全な)クルマをつくれないと事故を起こすクルマになってしまうと思います」

「スポーツカーをつくりたいです。でも地球温暖化が進んでしまうので、電気自動車でスポーツカーをつくりたいです。速くて、かっこよくて性能がいいクルマをつくりたいので、自分たちで(未来)変えていきたいです」

カーボンニュートラルとクルマの未来について、授業を受けた小学生たちからこんな感想が寄せられた。先生を務めたレーシングドライバーの石浦宏明選手は目を細めて言う。

石浦選手

想像していたよりも、子どもたちの反応が良く、環境問題に対しても知識があると思いました。カーボンニュートラルという大人でも正確に理解するのが難しいテーマの中で、思っていたより、伝わった感覚が授業の終わった今はあります。子どもたちが家に帰って、こんな事を学んだよと家で話したり、少しでも、(これらの)言葉が出てきてくれたらうれしいです。また、クルマが好きな子どももいて、みんなの発言も積極的だったので、やってよかったなとうれしい気持ちになりました。


この授業はカーボンニュートラルと未来のエネルギーについて、考えてもらうきっかけをつくりたい。その共通の想いで会社の壁を越えレゴランド®・ジャパン、中部電力、Toyota Gazoo RacingTGR)の3者が合同で行っている。

先生を務めるのは、スーパーフォーミュラという日本で一番速いレースでチャンピオンに輝いたこともあり、スーパー耐久というレースでは水素エンジンカローラ(水素カローラ)のステアリングも握る石浦選手に加え、水素カローラの開発などを行っているトヨタ自動車GR車両開発部の高橋智也部長。そして、レゴランド®・ジャパンと中部電力でんきの科学館スタッフだ。

モリゾウ選手とカーボンニュートラルとレースの意外な関係性

授業は、教室の前にある画面に登場したGRのロゴではじまった。

「このロゴを見たことある人いますか?」と高橋部長が聞く。この質問には、クラスの半分くらいの子どもたちの手が挙がる。

次に画面が変わると、スーツ姿に眼鏡をかけた豊田章男社長の写真が映し出された。「この人誰だかわかりますか?」と問いかける。この質問にも、生徒が「はい、豊田さんです」と手を挙げて元気よく答える。

「実は豊田社長はレーシングスーツを着て、“モリゾウという名でレーシングドライバーとしてレースで走っています」。石浦選手からの説明に子どもたちの驚く声があがる。

ここで、モリゾウ選手と一緒にレースに出る石浦選手の写真とともに、豊田社長がなぜ、モリゾウ選手としてレースに出るのかが説明される。

石浦選手

なぜ、豊田社長がレースに出るのかというと、豊田社長は自らがクルマの運転が上手くないと、自分でクルマの評価、判断ができない。自動車をつくる会社の社長が自らハンドルを握り、プロドライバーと同じレベルで運転できるようになることで、『もっといいクルマ』がつくれるようになるという情熱を持ちレースに参加しています。

大きな会社の社長が自分たちのようなプロドライバーと一緒に走ることは、すごく勇気がいることですが、その挑戦の中でモリゾウ選手の運転が着々と上達し、今ではレーサーと同じようなタイムでサーキットを走れるまでに上達されました。耐久レースなどでは、豊田社長と交代しながら一緒にレースに出ています

さらに、トヨタが発売前のクルマや、未来の技術を取り入れたクルマで耐久レースに参加するなど、モータースポーツの現場で「もっといいクルマつくる」活動を行っていることについて子どもたちに説明をした。

水素カローラは他のクルマと何がちがう?

子どもたちにスーパー耐久レースで走る水素カローラの映像を見てもらい、レースの中で走る他のクルマとの違いについて聞いてみる。

さっきまで活発に挙手のあった教室は静まり返り、手は挙がらない。それもそのはず、水素カローラは燃料に関わるところ以外に、他のレースカーと大きな差はない。

そこで石浦選手から「(見た目で)違いに気付かないのが正解です」と答えが告げられる。

水素カローラはガソリンの代わりに、専用のタンクに気体の水素を入れて、ガソリンエンジンとほぼ同じエンジンで気体水素を燃やして、エネルギーに変えて走っている。

エンジンはガソリンを使って走るというのが今までの常識。将来的にガソリン以外が燃料となる可能性を考え、実験的に水素を燃やしながら走るクルマで、あえて過酷なレースに参戦する。

レースで故障などの不具合を洗い出し、走り込んでクルマをよくしていく。これが水素カローラでレースに出る意味だ。

水素を燃やして走る水素カローラはガソリン車のようなCO2の排出がなく、きれいな水しか出さない。他にも地球にやさしいクルマづくりをするトヨタの挑戦が次々と紹介された。

走るときにはCO2を出さないバッテリーEV(BEV)車のbZ4X。水素と酸素の化学反応で発生した電気で走り、水しか出さないFCEV(燃料電池車)のMIRAI

水素カローラと同じスーパー耐久を舞台にして合成燃料を使用して走るGR86合成燃料は燃やすときにはCO2を排出するが、燃料をつくる際に空気中のCO2を使うなど、空気中のCO2を増やさない燃料として注目されている。

地球環境を悪化させないために、いろいろな種類のテクノロジーを駆使して、挑戦を続けるトヨタ。選択肢を狭めないクルマづくりの説明に、子どもたちが興味深く聞き入る姿が見られた。

なぜ、さまざまなエネルギーで走るクルマを
開発するのか

豊田社長は2022年の年頭に日本自動車工業会の会長として「550万人が行動を起こせば、未来の景色は、きっと変えることができる。『豊かな日本』と『美しい地球』を子どもたちに残すことができる。私は、そう信じております」とメッセージを出している。

豊かな日本と美しい地球を子どもたちに残すために、トヨタ自動車は一丸となって、カーボンニュートラルの達成に向けた取り組みを続けていく。

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