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知られざる「廃車後の世界」。愛車は、形を変えて生き続けていた

2022.10.05

約3万点の部品でつくられたクルマを、99%もリサイクル?「廃車後の世界」にカメラが潜入した。

紙をシュレッダーにかけるように、重さ1トンを超える鉄のクルマが最後にはシュレッダーでバラバラと砕かれていく。みなさんは、たくさんの思い出が詰まった愛車が、廃車後どのような運命をたどっているかご存じだろうか。

ふだんは目にすることが少ない廃車リサイクルの現場を取材。すると驚愕の事実が次々と見えてきた。

99%もリサイクル!残り1%は・・?

2022年3月、トヨタの公式SNSで、レトロゲーム風のGIFアニメが公開された。

これは約3万点もの部品でつくられた巨大なクルマが、99%リサイクルされる様子を描いたもの。複雑な構造のクルマを、どのように分解し、資源に戻しているのか。そして記事後半では、リサイクルされていない“残りの1%の正体”も明らかに。

さっそくトヨタの環境エンジニアリング部を取材。リサイクルの秘訣は、クルマのつくり方にあるという。

つくる時から、壊すことを考えていた!?

トヨタでは、やさしい解体と書いて「易解体(いかいたい)設計」という考えでクルマをつくっている。果たして何がやさしいのか。

環境エンジニアリング部 江川昌宏主幹*

トヨタ車は、“つくる時から壊すこと”を考えています。壊しやすくすることで解体作業がラクになり、リサイクル効率も上がります。銅や希少金属など、廃車の資源循環を推進するため、解体・分別のしやすい設計を、2003年発売の「ラウム」以降、新型車両に積極的に採用しています。
*取材当時の所属部署

トヨタの製造現場では、自分の次に作業をする、後工程の働きやすさを大切にしている。とはいえ、まさか廃車になる「10年以上も後のことまで考えている」とは知らない方も多いだろう。

また、トヨタ車の解体には「とにかく気持ちいい瞬間」があるという。

それは、車内を縫うように張り巡らされているワイヤーハーネスという電線を抜き取るシーン。まるで「焼き魚の骨をスルスル~っとはがす」ように抜けていくのだが、これには秘密があった。

まず、電線を取り付けている金具は、「缶詰のフタ」のように引っ張るだけで簡単に外れる設計に。

そして電線の束には、この部分を引っ張れば「途中でちぎれず一気に引きはがせる」というポイントがあり、作業をする重機からでも見つけすいように「黄緑色」のテープが巻かれている。

実際に解体会社で使われている数千万円の重機を導入。解体のしやすさを研究し、自動車設計に反映しているという。

大宅梨沙主幹

「解体しやすい」ということは、クルマをつくる時は「組付けやすく」、販売店では「修理交換もしやすい」ということになります。多くの人の働きやすさにもつながります。

今後は電動車が増えていくが、すでにかなり先の解体時のことも考えているという。

三橋秀渡主幹

電気自動車では500kgを超える大型の電池が搭載されます。電池の取り外し方や、運び方の工夫も製造部門と一緒に考えています。

資源回収しやすくつくられたクルマたち。では実際に廃車後、どのような運命をたどるのだろう。

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