ドコドコドコ・・・受け継がれるボクサーサウンド

2024.08.20

クルマ好きを惹き付けてやまないエンジンの音。エンジンの形が変わると奏でる音も違ってくるのか。第2回は水平対向エンジンについて、ボクサーサウンドを愛するがゆえのエンジニアのこだわりを聞いた。

ボクサーサウンド復活の秘策

その秘策が、STI * によるスポーツマフラーだ。

*スバル・テクニカ・インターナショナル。SUBARUのレース活動を支えるチューニングファクトリーで、パーツ開発なども行う。

平野氏

STIがスポーツマフラーをつくってくれるだろうという確信があったので、そのアフターパーツに換えられるお客様には、ボクサーサウンドが復活して、いい音がすると喜んでもらえる音の設計をしていきました。

「規制の厳しい現在の純正モデルではどうしても静粛性を求めざるをえない」と残念そうな表情を見せる高嶋氏も、平野氏と共に取り組んだ初代BRZの音づくりは楽しかったと振り返る。

高嶋氏

スポーツカーをつくっていい、吸気も排気も好きにつくっていいって言われて、楽しかった。

ドライバーのわくわく感につながる音の演出をしていこうというコンセプトで、「ダイレクト感」「広がり感」「レスポンス」。この3つにこだわった音の開発をやっていました。

初代BRZでは、特にドライバーの後ろにある排気系の音と、前から鳴る吸気系の音をハーモナイズさせて車室内に広がりを持たせています。

それを実現させるためにサウンドクリエータ® * という吸気音を車室内に届けることができるシステムを導入しました。拳ほどの大きさの部品ですが、エンジンルームの中にそれを置くのが、ものすごく大変でした。

*サウンドクリエータ : 株式会社マーレフィルターシステムズの登録商標。エンジンの吸気音を室内に引き込み、加速時のサウンドを強調して聞かせるシステム。

初代BRZサウンドクリエータ配置図

高嶋氏はエンジンの設計をしていた平野氏にどうしても取り付けたいと相談したが、最初は断られてしまった。しかし、どうしても諦めきれなかった高嶋氏は平野氏をはじめ関係者に「これだけいい音がするんだから」と説得し続けた。

高嶋氏

試作品をつくって、みんなをテストコースに呼んで、乗ってくれ!聴いてくれ!って。それでみんなが前を向いてくれたんです。

平野氏

はい、前を向かされました(笑)。吸気側と排気側で喧嘩もしたけど、楽しかったですね。

高嶋氏

本当に楽しかった。

サウンドクリエータを配置するためのレイアウト整理や、どの周波数帯をどれだけ強調するか、性能面の議論と試行錯誤をみんなで繰り返し、納得いくまで検討したという。

これだけ音にこだわったのだから、初代BRZが最初に音の演出に取り組んだモデルなのかと思いきや、そうではなく「4代目レガシィ」からではないかという。

平野氏

SUBARUは昔から「ドロドロドロ」した音やエンジンパッケージがずっと変わらなかったのですが、初めて等長化に踏み切った4代目のレガシィをつくるときに、すごく音質はこだわって新しいSUBARUサウンドをつくるんだっていう取り組みをしていましたね。

高嶋氏

最初にエンジンをかけて乗ったときは、「ドッドッドッ」という音じゃない新しいSUBARUサウンドが聞こえてきて、わくわくしたのをはっきりと覚えています。

個人的に好きな音の車種を挙げるなら?と問うと、平野氏は「僕はずっと昔から初代インプレッサのターボですね。あの『ドッドッドッ』って音を中学生のときに聞いて、すごいなって思って、今ここにいるんだと思います」と答えた。

高嶋氏は「私は2つあって、1つは入社して初めて買った3代目レガシィGT-B。初めて乗ったときのボクサーサウンドの感動は忘れられないですね。もう1つはやっぱり初代BRZです」と答えた。

やはりボクサーサウンドは、ボクサーサウンドを愛するスバリストたちによってつくられているようだ。

ボクサーサウンドを語って、その音に触れないわけにはいかない。

ぜひ、LAYBACKのボクサーサウンドとSTIのスポーツマフラーを装着したボクサーサウンドを聞き比べていただきたい。

LAYBACKノーマル
LAYBACK STI装着

ボクサーサウンドをもっと聞きたい方はこちらからたっぷり堪能していただきたい。

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