自動車業界を匠の技で支える「職人」特集。第15回は新しいセンチュリーの組立ラインで、設計値±0の精度で部品を組み付ける「組立の匠」に話しを聞く
「センチュリー教育」と「センチュリー職人認定試験」
センチュリーのプロジェクトについて上司から打診があった際は、「ヨシッ!」と思わずカッツポーズを上げるほどうれしかったと、田中は笑顔を浮かべる。
田中
トヨタの最高級車で、歴史もあるクルマを担当することには責任の重さを感じますが、最先端の構造であったり、従来とは違う工法であったり、新しいことにチャレンジできるのでモチベーションも上がりました。
私は新型車の生産準備に関わるのは今回が初めてなので、開発から生産技術、そして工場の現場まで、さまざまな人と連携しながら生産の立ち上げに携わることができて、多くのことを勉強させていただきました。
組立職人として、センチュリーを担当することを心からよろこぶ田中が、プロジェクトに招集されてまず臨んだのが、センチュリーの組立ラインに携わる40名全員が受けなければならない教育カリキュラム「センチュリー教育」と、認定試験「センチュリー職人認定試験」だ。
40名は「センチュリー教育」を通して、車両を一気通貫に組め、品質をつくり込める「高技能」、車両構造や各機能から、センチュリー特有の高品質なつくり込み方法、さらにセンチュリーの歴史に至るまでを理解できる「高知識」、そして、常にお客様目線に立ち丹精を込めたモノづくりを追求する「人間力」──これら3つの要素について約5カ月をかけて学ぶのだ。
認定試験は、基礎技能の習得レベルを確認する「プレ試験」、センチュリーの歴史や車両構造、お客様層の属性など、さまざまな知識の理解度を確かめる「筆記本試験」、そして実車を用いて技能レベルの最終確認を行う「実技本試験」の3段階となり、すべて合格してはじめて「センチュリー職人」として、組立ラインに立つことが許されるという。
田中
筆記試験は200問もあって実技試験より大変だったのですが、学生のとき以来、久々に猛勉強して乗り切りました。
トヨタやセンチュリーの歴史から、このクルマならではの高品質なつくり込み方法まで、今まで知らなかった多くのことを学べて、とても有意義でした。