2023.10.24
自動車業界を匠の技で支える「職人」特集。第15回は新しいセンチュリーの組立ラインで、設計値±0の精度で部品を組み付ける「組立の匠」に話しを聞く
憧れのクルマの生産に携われる喜び
田中は1988年生まれの35歳。中学生のときは全国大会に出場するほど部活動のテニスに打ち込んだが、トヨタ自動車に就職したいという気持ちを優先し、テニス部のないトヨタ工業学園高等部に進学した。
実は、田中の父親もトヨタ工業学園のOBで、現在は同じく田原工場でレクサス車の塗装工程を担当している。しかし田中は、「決して父の背中を追いかけたわけではありません」と苦笑いする。
学生時代からランドクルーザーが好きだったという田中だが、2007年4月にトヨタに就職して配属されたのが田原工場組立部で、しかもランドクルーザー プラドやレクサスGXなどのボディオンフレーム車を手掛ける組立ラインだった。
田中
ランドクルーザーには学生時代から憧れていたのですが、まさか就職と同時に自分が関わることになるとは思ってもみませんでした。
実は入社以来、無駄遣いせずにお金を貯めて、2年目で念願のプラドを手に入れたんです。
嬉々として当時を振り返る田中だが、仕事でも入社以来15年以上にわたって、ランドクルーザー プラドやレクサスGXなどの組み付けに従事してきた。
田中が一貫して担当してきたのが、アクスル(車軸)やサスペンションなど、駆動系や足まわり部品の組み付けだ。
そんな組み付け一筋で歩んできた田中だからこそ、センチュリーの組立工程が、いかに高い精度を求められているか、身をもって感じているという。