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街が変わる、暮らしが変わる 水素社会の実現へトライ続々 第3戦オートポリス

2024.09.06

ただクルマを鍛えるのではない。開発を通じて水素社会を引き寄せる。社会実装を目指す新技術や世界に広がる仲間づくりなど、サーキットを起点に進む水素の最新動向をレポートする。

クルマづくりから社会づくりへ

もちろん、課題も少なくない。その一つが、水素ステーションの普及だ。

CJPTの試算では、ステーション1基を安定的に運営するのに必要な水素は年間70t

これは、人口30万人規模の都市にあるコンビニエンスストアの配送トラックをFCEVに置き換えたときに使用する燃料と同じ量だという。

さらに、その規模の都市で、救急車、給食配送車、ごみ収集車、コミュニティバスといった自治体のクルマがFCEVに置き換わると、水素消費量はステーション8基分に。

「それだけあれば、乗用車でもかなり恩恵が出てくるということがわかってきた」と中嶋副社長。

CVカンパニーの太田博文チーフエンジニアも、「自動車会社だけではできない世界がある。理解のある自治体の方と心ひとつにやることが非常に重要」とBtoGの重要性を語った。

大事なのは「参加しやすいこと」

レースのたびに進化を続ける液体水素カローラ。そして、その進化に負けないスピードで広がっていく、自治体も含めたパートナーとの水素社会づくり。

先が見えない時代の、答えのない挑戦では、実績の一つひとつが貴重なデータとなり、未来の水素社会を引き寄せるカギとなる。

自らハンドルを握り、レースに参加するモリゾウこと豊田章男会長は、モータースポーツでのクルマ開発と水素社会に向けた取り組みの関係について質問され、こう答えている。

「モータースポーツは誰でも覗くことができる実験室です。たくさんのステークホルダーがいて、競争しながらやっています。正解がないことをやっていて、普通だと納期もありません。でも、納期がないと前に進まない。モータースポーツで(レースがあると納期が決まり)アジャイルに開発する。みんなが参加しやすいことが水素社会の実現に必要だと思います」

撮影:三橋仁明/N-RAK PHOTO AGENCY

つくっているのは、クルマだけではない。モータースポーツファン、クルマファンに見守られ、ともに水素社会実現に向けた道筋をつくっていく。

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