スタジオゲストに元パラ陸上選手の佐藤圭太さんを迎え、10月18日〜24日まで愛知・名古屋で行われるアジアパラ競技大会を特集。どうしたら熱狂できるのか、詳しく解説したが一番簡単なのは・・・・。
4月24日のトヨタイムズスポーツは、10月18日から24日まで愛知・名古屋で行われる第5回アジアパラ競技大会(2026/愛知・名古屋)を特集した。
日本初開催となるアジア版パラリンピックまであと半年。番組では「あのとき、分かち合えなかった熱狂や昂ぶりを、今度はみんなで味わいたい」という想いから、世界がパラ競技に熱狂する3つのポイントを解説した。
トヨタイムズスポーツが「熱狂しよう」を掲げる理由
4年に1度のアジアのスポーツの祭典がいよいよ迫ってきた。メインスタジアムの一つとなる瑞穂スタジアムもこけら落としを迎え、愛知・名古屋2026への準備は秒読み段階に入った。
トヨタイムズスポーツでは、アジア競技大会とアジアパラ競技大会で生まれる“熱狂”を多くの方に共有していただこうと「熱狂しよう」というテーマを掲げ、メッセージ動画(3:54から)を制作した。
「人はどんなときに熱狂するのだろう。
見たこともない超人技を目にした瞬間
誰かの物語が完結する瞬間
願いが一つになって叶う瞬間
人々の想像を超えて、何かが起こったとき
人は熱狂する。
スポーツにはそんな瞬間がたくさんある
あのとき、分かち合えなかった昂ぶりを
今度はみんなで。」
パラスポーツの国際大会の“熱狂”は、日本ではまだなじみが薄いかもしれない。その熱狂を、2年前のパリ2024パラリンピック取材で目の当たりにしたのが、番組MCの森田京之介キャスターだ。
会場の雰囲気を振り返り、「熱狂がそこいら中であってとんでもなかったのと同時に、一番強い想いは『(2021年の)東京もああやってやりたかったな』という悔しさがすごく募ったんです。そんな想いを持っていたら、『え、アジアパラ日本でやるの?』。これはもうリベンジ の機会なんじゃないかと。あの熱狂を日本でみんなで感じなきゃダメなんじゃないかと。熱狂を作りだせないかという想いで、我々はお届けしようと思っています」と語った。
義足のスプリンター佐藤圭太が感じた“熱狂”
スタジオゲストの佐藤圭太さんは、元パラ陸上の選手で“熱狂”を生み出した当事者の側の一人。右足の膝から下を切断し、義足で走り数々の日本記録を打ち立てた。アジアパラ競技大会には3大会連続で出場し、2014年の3冠(100m・200m・400mリレー)をはじめ8個のメダルを獲得している。
佐藤さんはロンドン2012パラリンピックに出場した際、スタジアムで地鳴りのような歓声を浴びて感激したという。「メイン会場の隣でウォーミングアップしている時から、隣ですごい歓声があって。『本当にこんなところで走るのか』と。360度いろんなとこから歓声が聞こえて、すごい経験でした」と話す。
フランスでの大会では、選手たちに子どもたちが熱心にサインをねだるのを見て、「なんでみんな熱狂してるの?」と聞いたら、「自分のできないことを彼らはやっていて、すごいじゃん。それは応援するし、やっている姿はかっこいいよね」という答えが返ってきたそうだ。
ヨーロッパでは「パラスポーツという括りじゃなく、ある意味いちスポーツとしてみなされて、市民の皆さんが気軽に触れてる」と佐藤さんは感じた。だからこそ、アジアパラ競技大会でも熱狂を作り出すことが大事だと熱弁する。
森田キャスターの迷いと意識の変化
森田キャスターは、パラスポーツに本格的に関わり始めた頃に、どのような言葉や表現で伝えるかを迷っていた。そんな折に、2人のトヨタの役員からアドバイスをもらったという。
豊田章男会長「彼らはスーパーヒューマンなんだ。そこにはオンリーワンのストーリーがある。それを伝えてほしい」
フィリップ・クレイヴァン元社外取締役(国際パラリンピック委員会の前会長)「パラリンピックでは、最も純粋なスポーツの姿を見ることができる」
森田キャスターのパラ競技への意識の変化や想いは、パリ大会への出発前の手記「パラスポーツを知って3年、もっとスポーツが好きになった 」に詳しく記されている。
①ヒトと道具が融合して競う!
パラスポーツで熱狂できる3つのポイントの1つめは、ヒトと道具の融合。佐藤さんが競技で使う競技用義足はブレードと呼ばれ、日常生活用の義足とは異なる形状で、カーボン樹脂がたわむことで走る力へと変える。
「最初は自分の足とは全く違う感覚があったんですけど、使い続けることで何度もトライ・アンド・エラーをしていく中で、自分の体になっていく感じ」と、身体と義足が融合していく感覚を語った佐藤さん。ブレードの角度などを調整して競技に臨み、「走っている最中は義足だってことはもう忘れますね」と説明する。
トヨタは佐藤さんの競技用義足づくりのほか、車いすマラソンで活躍する鈴木朋樹選手や車いすテニスの三木拓也選手らの車いす開発をサポートしてきた。車いすラグビーの試合ではモータースポーツのようなタイヤ交換が日常的な光景となっており、自動車メーカーがパラスポーツで果たせる役割は大きい。
アジアパラ競技大会の熱狂ポイント①は13:06から。
②スポーツの原点 公平に競う!
次の熱狂ポイントは「公平」。障害の箇所や程度は一人ひとり全く異なり、完全な平等は不可能な中で、パラスポーツは競い合う条件を整えることによって、できる限り公平性を目指している。
たとえばチーム競技の車いすバスケットボールでは、選手の障害の重さや性別によって持ち点が決められ、フィールドにいる5人の選手の合計点数には上限がある。それによって、多様な選手が活躍できるようになっている。
「公平性は一番の肝なところ。義足とひと括りに言っても、膝があるかないかで大きく違いますし、残存部が短い人もいれば長い人もいて、力を加えられる大きさも変わってきます」と佐藤さん。自身は最終的に下肢障害のT64というクラスだが、以前は足首の機能障害の選手と同じでT44のクラスだったのが変更された。「みんなで話し合って、それをいいものにしていこうという意思は、すごいいいなと思います」と語る。
2つめの熱狂ポイント解説は19:10から。
③障害をルールの1つとして競う!
あらゆるスポーツにはルールがある。障害をルールの一つとして捉えて戦い、課題を乗り越えて最高のパフォーマンスを見せるのは、パラスポーツの大きな魅力だ。
佐藤さんは「ルールがあるからこそ、障害があっても誰しもが公平性を保って自分が目指すところにチャレンジできるという意味では、パラスポーツは素敵だなと思います」と言う。健常者の足で走るのとは違う難しさがある中で、速く走るために練習を積み重ねてきた。
「身長が高い人もいれば、背が低くてピッチで走る人もいるし、目が見えない人もいる。でも、やっていることは、誰が一番早くゴールに着くんだっていうシンプルなスポーツだと。(他のクラスの選手と)差があることはむしろ、障害も要因になるかもしれないけども、やっぱり本来持っている選手の身体能力だったり、シンプルな陸上競技選手としての強さが影響して。障害を言い訳にしちゃいけないというのはすごい感じていました」
高橋峻也選手や石田駆選手らの競技VTRも交えた熱狂ポイント③の解説は27:50から。
「僕は足がないけど足速い」常識を覆す熱狂へ
アジアパラ競技大会での熱狂に向けて、国内でもパラ競技を先行体験できる機会は多くある。5月16・17日に名古屋市瑞穂公園陸上競技場で行われるジャパンパラ陸上競技大会や、6月13・14日に金沢市で開催される日本パラ陸上競技選手権は、トヨタアスリートが出場を予定している。
石山大輝選手も両大会に出場予定で、生放送中のチャット欄に登場し、「ジャパンパラはアジア大会、アジアパラ大会でも同じ会場なので観覧のリハーサルにもなります!!」とアピールしていた。パラ水泳では、南井瑛翔選手が5月29~31日に静岡県立水泳場で開催のパラ水泳ワールドシリーズに出場する。
3つの熱狂ポイントの解説を終えて、森田キャスターは「頭でっかちにいろいろ考えていたんですけど、いざ競技場に行って佐藤さんがバッと100mを駆け抜けたら、こんなこと忘れます。『うわ、すげえ』ってなる。これがたぶんパラスポーツの楽しみ方、一番熱狂する瞬間なんじゃないかなと思います」と締めくくった。
佐藤さんが好きでよく使っている言葉は「僕は足がないけど足速いよ」。常識を覆すような世界が、そこにある。スーパーヒューマンたちが生み出す熱狂を見届けよう!
毎週金曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズスポーツ。連休中は1週お休みして、次回(2026年5月8日)は、男子バスケットボールのBリーグで7年ぶりの優勝を目指すアルバルク東京を特集する。5年連続8回目のチャンピオンシップ進出を決め、5月7日から準々決勝を戦うチームを全力で応援! 今季での現役引退を表明している菊地祥平選手ほか、注目の選手たちの最新情報もお届けする。ぜひ、お見逃しなく!