森田キャスターがパリで魅了されたパラバドミントンを特集! ダイハツ所属の藤原大輔選手、今井大湧選手、梶原大暉選手を取材し、アスリートキャスター溝江さんと共に深掘りした。
10月4日のトヨタイムズスポーツは、パラバドミントンを特集。パリ大会に出場したダイハツ所属の藤原大輔選手、今井大湧選手、梶原大暉選手は、3人とも名前が「大」の字で始まる。今回はクラスもキャラクターも三者三様の日本代表“3大”パラバドプレイヤーから、勝つための極意について深掘りした。取材陣は車いすでのプレーにも挑戦し、ビーチバレーボール元日本代表の溝江明香さんも悪戦苦闘する結果となった。
ダイハツの藤原大輔、今井大湧、梶原大暉を取材
パリ大会を取材した森田京之介キャスターが、その魅力にとりつかれたパラバドミントン。帰国してさっそく、競技を正式に取材することに。同じく競技にハマったアスリートキャスターの溝江さんと一緒に、プレーする気満々でダイハツの3選手のもとを訪れた。
3選手を年齢順に紹介すると、藤原大輔選手は下肢障がいのSL3クラス。左足が義足で、立ったまま競技を行う。東京大会では混合ダブルスで銅メダル。シングルスは東京・パリと2大会連続の4位で、惜しくもメダルを逃した。
今井大湧(たいよう)選手は、上肢障がいSU5クラス。右手に障がいがあり、コートを全面使って動くスピード感あふれる選手だ。世界選手権では3大会でシングルスの銅メダルを獲得した。
東京・パリの2大会連続でシングルスの金メダルを獲ったのが、車いすWH2クラスの梶原大暉選手だ。パリ大会ではダブルスも銅メダルに輝いた22歳。鋭いチェアワークを武器に、国際大会125連勝の記録を更新中。
クラスによって違うコートの使い方
パラバドミントンのルールは、健常者のバドミントンとほぼ同じだが、クラスによってコートの使い方が大きく異なる。立位で上肢障がいの今井選手はコートの両端を除くほぼ全面を使い、下肢障がいの藤原選手がプレーするのは半面。車いすの梶原選手はコートの半面を使い、ネットの手前はアウトになる。
ラケットは100グラムを切る軽さで、握ってみた森田キャスターも「なんかちょっとできそう」。誰でも参加しやすい生涯スポーツであることもバドミントンの魅力だ。シャフトの硬さや重心の位置は初速や飛距離などに影響し、選手は自分の好みやスタイルに合わせて選ぶ。
125連勝中、梶原大暉の勝利への戦略
取材でまず3選手に聞いたのが、パリでの思い出のカミングアウト。今井選手がコーラをたくさん飲む羽目になったり、藤原選手が試合後に髪を切ったりするなど、それぞれが日本では味わえない体験を振り返った。
続いて「どうやって勝つ?」という質問には、個々のプレースタイルが色濃く反映された。今井選手の回答は「自分の良いところを出す」。「速い動きだったりスピード、攻めが自分の強いところだと思っていて。相手が焦っているのに自分が無理に攻めても意味がなかったりとか、空気感を読みながら自分のいいところを出さないと勝てない」と話していた。
コートの半面で戦う他の2人は、ラリーが長く続くことが多い。藤原選手は「頭脳」と答え、「相手がこういう球で来るだろうとゆっくりやっている時に、スピードを一気に速くして決めにいって終わらすとか。逆に相手が疲れているのが見えた時に、あえて決めずに相手がヘロヘロになるまでやって最後にとどめを刺すまでやるという、勝つための作戦が大事になってくる」と説明した。
梶原選手は「僕は『我慢』だと思います。ミスして終わらせることが、一番ダメージが大きいし、相手は楽に点数が取れるところ。そこをいかに相手より我慢して、いかに1本でも多くつなぐか」と答えた。「全部拾って、もっと厳しいところを狙わなきゃって相手に思わせてミスさせたりとか。ギリギリのところでも次は拾えるよみたいなプレッシャーを与えて、勝手に厳しくいってくれてミスってくれたりするので」と、守り切ることによって相手を精神的に攻める重要性を語る。
だが、我慢してシャトルを全て拾うことは至難の業。それを実現するチャンピオン梶原選手の強さについて、2人の先輩は「技術力も半端ないです。レベルが違います」と口をそろえる。今井選手は「ものすごく練習するので(プレーの)再現性が高い」と圧倒的な練習量を称えていた。梶原選手の両手のタコからも、ハードなトレーニングがうかがえる。
「(相手の)心を折りたい」と語る梶原選手の笑顔が印象的な、3選手への質問は18:04から。
溝江明香キャスターがプレーを体験
森田キャスターと溝江キャスターは、選手たちを相手にラリーに挑戦。後方へのショットや高いショットに戸惑いを見せ、空振りを連発しながらも2人の表情はとても楽しそう。溝江キャスターは、ネットを挟んで対戦するビーチバレーボールでのプレー勘が生き、ナイスショットを披露していた。
笑顔でプレーしていた2人だったが、車いすに乗ってのプレーでは苦しんだ。シャトルを打つ動作と車いすの移動を同時に行うのは非常に困難で、森田キャスターが後ろに下がろうとしても車いすはその場で回転するだけだった。
両キャスターのプレー体験は36:35から。
パラアスリートの「スゴ技」披露
3選手には、プレーの凄さを見せてもらうため、2つのチャレンジを用意。車いすに乗ってコートの四隅にタッチするチャレンジでは、森田キャスターが30秒93、溝江キャスターが25秒10を記録。それを圧倒的な速さで凌駕する梶原選手と、先輩の意地を見せる藤原選手の対決も見ものだ。
相手コートの隅に置いたリング内にシャトルを落とすチャレンジは、3選手とも苦戦し、2回では達成できず。それでも惜しいところに落としていた。3回目で成功して勝利を収めた今井選手は、「1球で十分です」と、1回で成功したように見せる演技もさすがといったところ。
3選手のチャレンジは41:34から。
東京で10月22日から国際大会を開催
パリでも活躍した“3大”選手や世界の一流選手たちのプレーが国内で見られる機会が、間近に迫っている。10月22日(火)から27日(日)まで、東京の国立代々木第一体育館で開催の「ヒューリック・ダイハツJapanパラバドミントン国際大会2024」。38カ国183人の選手が集結し、入場は無料。ぜひパラバドミントンの魅力を生観戦で感じていただきたい。
競技の魅力を初めて知った視聴者からも「パラバドミントンって奥が深くて面白い」などのコメントが多く寄せられ、溝江キャスターも「『攻めの我慢』をすごく学んだ」と話す。大会で見てほしいプレーについて、梶原選手と藤原選手は「我慢」、今井選手も「僕も全力で我慢します」と不思議なチームワークを見せており、パラバドミントンの世界はまだまだ奥が深そうだ。
毎週金曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズスポーツ。次回(2024年10月18日)は海の競技、セーリングを特集する。パリ大会の銀メダリスト、岡田奎樹選手を取材。泳ぎが苦手の森田キャスターは取材前から不安そうだが、岡田選手が「落ちる競技じゃない。フェリーに乗ってるのと一緒」と言うように、大船に乗った気持ちで恐怖を克服できるのか。ぜひ、お見逃しなく!