浮き沈みの激しいシーズンだったものの、チャンピオンシップ(CS)に進出した男子バスケットボール・アルバルク東京を特集。今季での引退を宣言した菊地祥平選手のインタビューなど、来シーズンにつながる内容となった。
5月8日のトヨタイムズスポーツは、男子バスケットボールのアルバルク東京を特集した。
Bリーグでは好不調が激しかったものの、アルバルクはチャンピオンシップ(CS)に進出。放送日の夜に控える試合に向けて、選手らにインタビューした。注目は引退する菊地祥平選手。今季は残念ながら敗退して天皇杯との2冠を逃したが、チームや後輩への熱い想いは来シーズンも受け継がれていく!
浮き沈みの激しいシーズン、最後の切符でCSへ
TOYOTA ARENA TOKYOが開業した初年度は、アルバルク東京にとって難しいレギュラーシーズンだった。開幕4連敗に始まり、8連勝や7連勝も経験するという浮き沈みの激しい戦いぶり。ケガ人も続出する中、1月にはカップ戦の天皇杯をわずか9人の選手で戦って14大会ぶり3度目の制覇。並行して臨んだ東アジアスーパーリーグ(EASL)は、3位決定戦まで進んで4位に。リーグ戦は後半も5連敗を喫したが、終盤で10勝1敗と盛り返した。
最終的な順位は41勝19敗で東地区4位。CSはワイルドカードで最後の切符を手に入れた。豊田章男会長も注目していたホームでの勝率は.733で、全体の勝率.683を上回った。
チームの浮き沈みのグラフを解説した元女子日本代表の三好南穂アスリートキャスターは「こういったシーズンになるのは珍しい。勝ったらすごい勢いを持てるけど、負けるとなかなか止められない苦しさもあったシーズン」とコメントした。
終盤の追い上げの原動力となった一つが、4月10日に発表された菊地祥平選手の今シーズン限りでの引退だった。2013年にアルバルクに加入し、強靭なフィジカルや勝負を読む力、タフなディフェンスを武器に、リーグ連覇にも貢献。2022年に越谷アルファーズへ移籍したが、2024年に戻ってきた41歳のベテランは、若手にも影響を与えるメンター的な役割も果たし、19年の現役生活の最後をこのチームで迎えることを決断した。
番組では、西地区1位の長崎ヴェルカと戦うCS準々決勝を前に、3人の選手に話を聞いた。
菊地祥平「一番いいチームで完結したいと思った」
「これだけのビッグクラブで、名だたる選手がいて、ちょっとそこのパフォーマンスに自分自身たどり着いていない部分もありますし。このチーム以外でプレーする気持ちにはなれなかったので、引退させてくれと伝えさせていただきました。他に魅力的なチームがあったらそこでやってみたいと思うかもしれないですけど、僕はこの一番いいチームで完結したいと思いました」
引退を決めた理由をこのように語った菊地選手。今シーズンのチームを「試合内容もそうですけど、今年はなかなか波が安定しないというか、それも相まって。最初の方はケガ人が出てしまったこともあるんですけど」と振り返る。
チームの課題を感じた時期には、後輩たちにあえてキツめに言うこともあったという。「でも、あいつらも本当にまじめなので、ちゃんと聞いてその後の試合でしっかり体現してくれる」と話す。
今季は短い出場時間でも役割を全うし、チームの勝利に貢献。ベンチ入りしていない時も後ろからチームに声援やアドバイスを送り続けた。献身的にチームを支える中で手にしたうれしいタイトルが、天皇杯の優勝だった。
「本当に取りたかったタイトルの一つでもありますし、ケガ人も多くてまともに戦えるような状況下じゃなかった中で、チームが強固な一つになったのかなと感じます」
インタビューした三好キャスターは「選手の立場でそこまで周りを見て考えて行動できる人っていないなと思って、本当尊敬しましたね。毎日の練習やプレーすることで必死なはずなのに、その先も見ている」と、菊地選手を称えた。
「悔いはないです。でも最後優勝してもう一回トロフィーを掲げて、それさえできれば」と語っていた、菊地選手のインタビューは15:10から。
安藤周人、偉大な先輩への感謝
菊地選手が特に気にかけていたのが、同じポジションの安藤周人選手と小酒部泰暉選手。安藤選手は「チームの中堅のポジションなので、上と下をつなげる役目として、祥平さんにはいろいろ相談に乗ってもらいました。メンタル的に苦しい時も何もできなかった時も、常に支えてくれる存在だったので、本当に助けられたと思います」と、師弟関係について話す。
今シーズンはアウトサイド陣の選手の3ポイントシュートが増えた。意識の変化について安藤選手は「今年と去年ではアルバルクのスペーシングが違い、外から打てる選手は去年よりも打つ本数がかなり増えてると思います。自分の仕事も3ポイントを打つことなので、自信を持って打たせてもらっていますし、今年はみんなやりやすそうにプレーしているのかなと思います」と語った。
安藤選手は菊地選手の引退について、昨年からほのめかされていたが、正式発表は事前に聞かされていなかったという。その理由を菊地選手本人は「あいつ(安藤選手)がちょっと波が激しい時だったんですよ。なので、僕的には『お前、しっかりしろよ』と、あえて言わなかったです。キツいことを言わせてもらった後にどうなるかなって様子を見て、その後に言いました」と説明する。
安藤選手が語る、先輩やタイトルへの想いは9:55から。
テーブスと小酒部、98年コンビに新展開
もう1人のインタビューは、司令塔であるテーブス海選手。「次のステップに行けた感覚でプレーしてたんですけど、ケガとかあってコンディションが整わない中で、間違いなく苦しいシーズン」と振り返った。
テーブス選手が3度にわたりチームを離れている間、チームは苦しんだが、意外な成長もあった。同学年の「98年組」である小酒部泰暉選手が、テーブス選手のポジションであるポイントガードに起用されて奮闘した。
「焦りましたよね。(小酒部選手が)普通にちゃんとガードしていたんで。ヤバいと思って急いで戻りました。一緒に出ている時間帯も、もう1人プレーメイクするハンドラーになったというか武器にもなりますし。自分がベンチにいる時もチームをまとめられるプレイヤーに1シーズンでなっているので助かっています」
2年半前の放送では、当時所属していた吉井裕鷹選手(三遠ネオフェニックス)を含む「98年組」の仲が微妙だという疑惑があった。今季はオフの日に、テーブス選手と小酒部選手で時計を買いに行き、同期のコンビネーションは深まったようだ。
ところが、三遠との試合の日に吉井選手から「(2人は)仲悪いらしいじゃん」と言われたそうで、テーブス選手は小酒部選手に向けて「吉井のウソかもしんないけど、もし何かあったら言って。俺は好きやで」とカメラ目線で強くアピールしていた。吉井選手の心理戦にハマったのか、だまされた演技をしているのかは不明だが、98年組の今後の動向にも注目だ。
テーブス選手のインタビューは24:53から。
最後の試合、ザックとの抱擁
放送日の夜に行われたCS準々決勝の第2戦。前日の試合を落として負けられないアルバルク東京だったが、長崎ヴェルカに握られた主導権を取り戻すことができず、2敗目を喫してシーズンを終えることになった。
試合終了のブザーが鳴り、コートで戦い続けた仲間をねぎらった菊地選手は、涙をこらえきれない。四方の観客に頭を下げると、長年にわたり苦楽を共にしたザック・バランスキー選手と抱擁。「レッツゴー東京」の歓声が響き渡る中、アルバルクの精神的支柱はコートを後にした。
ザック選手は試合後のインタビューで「最後このような形で終わってしまったので、(菊地選手に)ごめんねと素直に謝りました。僕がここまでやってこれたのも彼のおかげだと思っている。そのような人が引退していくのは寂しいと同時に、無理して体を酷使してきたので、ゆっくり休めよと思います」と感謝の想いを語った。
デイニアス・アドマイティスHCは「結果としてはクォーターファイナルで終わってしまいましたが、全員が本当に素晴らしい努力をしてくれました。心から感謝していますし、非常に誇りに思っています。そして、アルバルクのファンの皆さんには、改めて感謝を伝えたいです。良い時も悪い時も、試合中にうまくいかない時間帯でも、常に自分たちを支え続けてくださり、本当に大きな力になっていました。これからもアルバルクを応援し続けてほしいと思います」と今シーズンを総括した。
菊地選手が伝え続けてきた勝利へのメンタリティそしてチームへの献身性は、これからもアルバルク東京のDNAとなって受け継がれていく。厳しいシーズンを乗り切った経験と、2冠を逃した悔しさを糧にして、さらに強くなるチームに期待しよう。
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