「オレゴン2022世界陸上」に出場する陸上長距離部の西山雄介選手を特集! ゲストの服部勇馬選手と共に、大会に向けた調整方法やレース中のメンタル面などフルマラソンの全貌に迫った。
7月6日に配信されたトヨタイムズ放送部は、オレゴン2022世界陸上の男子マラソンに出場する陸上長距離部の西山雄介選手を特集。ゲストに先輩の服部勇馬選手を迎え、実際の練習の様子や調整の過程、さらにはマラソン選手の内面にまで迫った。西山選手のスピードに挑む森田京之介キャスターの体当たりレポートもあるので、世界陸上の予習としてぜひ見ておきたい。
スタジオゲストの服部選手は、東京2020オリンピックのマラソン日本代表で、福岡国際マラソン優勝などの実績を持つ。キャプテンとして陸上長距離部を牽引しているが、部のホームページの選手紹介では「ユーモア」だけ評価が低いことに納得がいかない様子。今回の放送では、随所にユーモアの才能を発揮して、新たな一面を見せてくれた。
マラソン選手の練習量やスケジュールは?
世界陸上に臨む西山選手は、2017年に入社。トラック競技で活躍していたが、今年からマラソンへの挑戦を始めた。別府大分毎日マラソンでは、大会新記録の2時間7分47秒で優勝。服部選手も「初マラソンとは思えないぐらい冷静に落ち着いた走りで、本当に強さを感じたレース。僕も刺激をもらいました」と振り返る。
スタジオでは、2月の前走から7月の世界陸上までの間、西山選手が調整を重ねていった過程をカレンダーにして紹介した。レース後の疲労回復、練習を再開してスピードやスタミナを強化していくプロセス、最終調整期の食事などについて、服部選手が一つ一つ丁寧に解説した。
西山選手の場合、練習で1日に走る距離は最大70km、1カ月で1000kmにも及ぶ。視聴者からは「1000キロって東京→山口よ!」と驚きのコメントも。
6月後半に標高1300mの長野県菅平で行われた最終強化合宿では、服部選手が練習パートナーとしてサポートした。「西山は仕上がっている状況で、私はコテンパンにやられました(笑)。そばで強さを見てきたので、本当に楽しみ」と、大一番のレースに向けて太鼓判を押した。
西山選手のスピードに森田キャスターが挑戦!
番組では西山選手への密着取材を敢行。森田キャスターが6月上旬、本拠地の愛知県田原市での強化練習に同行した。選手寮「ウィンヴィレッジ」から田原工場の敷地内にある練習場まで約4kmを走るウォーミングアップの様子も伝えた。
この日の西山選手の練習は、1周1000mのクロスカントリーコースを16周走り、1周約3分15秒から徐々にペースを上げていくという内容。「軽めのメニュー」ということで、森田キャスターも世界選手権代表のスピードを体感すべく、最後の1周だけ一緒に走ったのだが、その結果は無謀な挑戦だったことが明らかに。
序盤は全力疾走で懸命に食らいつく森田キャスター。しかし、みるみる引き離され、あっという間に西山選手の背中は遥か彼方へ。森田キャスターは息を切らしながら「50m走くらいのペースで走っていたつもりなんですけど。どんどん離されて、もう…」と必死にレポートを続ける。なんとかゴールにたどり着くも、西山選手とのタイム差は……?
VTRを見た服部選手は「長距離はやっぱりペース配分」と解説。自然な走り方からは想像できないマラソン選手のスピードに森田キャスターが驚いていたのに対して「いかに余裕を持って走るのが大事。躍動感やスピード感があるとダメな場合があります」と話していた。
レースを俯瞰して走れるか、メンタルも大事
続いて森田キャスターは、マラソン選手のメンタル面に迫った。西山選手へのインタビューでは「決めていたプランが42.195kmの中で崩れることもありますよね?」と質問をぶつけた。
西山選手は「どんなことが起きても対応できるのを意識して、いろんなパターンを想定しながら練習しています」と回答。あくまでも大事なのは「自分の走りを見失わないこと」ではあるが、集団でついていく場面、一人で離れて走る場面、自分が仕掛けて飛び出す場面など、日々の練習でイメージを重ねているという。
服部選手も「集団の中で自分がレースを動かしていると思い込めれば、仮に誰かが飛び出しても、ここは大丈夫だと冷静に見えたりする。レースを俯瞰して走れるかも、大事なポイントです」と語った。
密着取材した日の西山選手のスケジュールもグラフで解説。規則正しい生活がルーティン化しており、出演当日の朝にも服部選手は皇居周辺を15km走ったそうだ。「戦いを挑んでくる市民ランナーがいて、1回抜かされたんですけど、抜き返しました」と話す通り、どんな相手でも負けられないというメンタルは、選手に不可欠なのかもしれない。
オレゴンでも話題に?「服部スタイル」の給水とは
今回の世界陸上では「給水の時は注目していただきたい」と服部選手は語る。その理由が、自身が編み出して西山選手に伝授した「服部スタイル」の給水ボトルだ。
スタジオには、西山選手が実際に飲む2つのドリンクのボトルを針金で連結した「服部スタイル」の給水ボトルが披露された。中身は片方が水で、もう一方が水飴のような甘さのエネルギー系ドリンク。試飲した森田キャスターは、水分と糖質をバランス良く補給できることに納得していた。
「服部スタイル」のもう一つの特長は、首に掛けることによる安定性の高さ。「走りやすいんですよ。手が重いとすぐ捨てたくなるんですけど、しっかり長時間かけて飲むことでエネルギーが補給できる。これが服部(スタイル)」と、発案者本人のアピールも見事に決まった。
田原工場をはじめ、多くの応援が選手の力に
放送の前日には、世界陸上の壮行会が田原工場で開かれ、メッセージを寄せ書きした日の丸が西山選手にプレゼントされた。「頑張れ!すけちゃん」の呼び名が気になるところだが、その理由については服部選手がスタジオで明かしている。
陸上長距離部の佐藤敏信総監督は「従業員の皆さんにも、西山の粘りを見てほしい」とコメント。西山選手は「恩返しの気持ちを持って走りたい、というのがすごくあります。まずは自分自身の目標である8位入賞を目指して、頑張っていきたいと思います。たくさんの応援が自分の力になります」と力強く語っていた。
トヨタから2人でのパリ2024オリンピック出場を「思い描いている最高のもの」と熱望する服部選手も、西山選手の世界陸上での走りに期待する。服部選手自身が「ここからはもうノンストップで走っていきます!」と熱く語るように、パリに向けた両選手のスパートから目が離せない!
棒高跳の山本聖途選手も出場
今年の世界陸上にはトヨタからもう一人、男子棒高跳びの山本聖途選手の出場が決定した。山本選手からも、番組にビデオメッセージが寄せられた。
日本時間で西山選手は7月17日22時15分、山本選手は7月22日9時5分から競技が開始される予定。TBS系列で生中継もあるので、テレビの前から声援を送ろう!
実は、今回の放送では、いつものエンディング曲「Tokyo Summer」の後に、約7分のおまけ映像も収録している。実況しながら懸命に走り続ける森田キャスター35歳の姿をフルバージョンでお伝えしており、ライブでは見逃したという方も要チェックだ。
毎週水曜日11:50からYouTubeで生配信しているトヨタイムズ放送部。次回(2022年7月13日)は、都市対抗野球の本戦に向けて硬式野球部レッドクルーザーズを特集。細山田武史コーチと、OBでスポーツ強化・地域貢献部の竹内大助さんをゲストに迎え、去年からの“宿題”やチームの進化などについてお伝えする予定。ぜひ、お見逃しなく!